意見書第8号

意見書第8号

    「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の施行に関する意見書

 国においては、平成17年6月から生態系等に係る被害の防止を図るため、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(「外来生物法」)が施行され、外来生物が地域によっては自然生態系に大きな影響を与えかねない状況にあることは周知の事実であり、外来生物法の趣旨が我が国の自然環境保護にあることは十分理解している。
 昭和30年代の電力需要に呼応して建設された坂本ダム、池原ダム、七色ダム、小森ダムの4つのダムのうち、閉鎖系水域と一般的に言われている池原ダム湖においては、この外来生物法によって指定されたブラックバス(オオクチバス)が、過去の放流により繁殖しており、また、昭和63年4月にオオクチバスの亜種であるフロリダバスが日本で最初に放流された。この相乗効果により、今日では、釣りのメッカとして年間3万人から4万人の釣り人が地場産業の少ない過疎の村に訪れ、これに伴う地域の活性化(都市と農村の交流)に対する経済的波及効果は多大なものとなっている。
 さらに、当地域においては、昭和62年以来、青少年を対象として夏期に「ブラックバス・フィッシングスクール」を開催し、釣りを通じて生命の尊さや自然に対する啓蒙を進めてきた。
 奈良県漁業協同組合連合会は、こうした上北山村・下北山村、両村の取り組みは意義あるものと認識し、積極的に支援するものである。
 また、国は三位一体の改革を推し進め地方の自立を求めているが、関東地域において四湖(芦ノ湖、山中湖、河口湖、西湖)がブラックバスの魚種認定がされている事実を踏まえ、関西地域においても上記の4湖と同様に許可条件が整備されるならば、新規に漁業権魚種認定される地域があってしかるべきと考える。
 よって、国におかれては、過疎地域にはまれな新しい産業として定着し、地域の活性化や経済効果をもたらしている両村におけるブラックバス釣りを楽しむルアーフィッシングの灯を消し去ることがないよう、漁業権魚種認定あるいは経済特区等の施策も配慮されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 6月30日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
農林水産大臣 
内閣府特命担当大臣