サトイモは北海道を除く日本各地で栽培されており、私たちの食生活に欠かすことのできない野菜です。この季節になるとあちらこちらの家庭菜園でサトイモを植え付ける風景が見かけられます。サトイモの原産地はインド周辺の熱帯地域で、その後、中国や東南アジアに広まり、日本にはイネより前に縄文時代に伝わったとされています。サトイモは「万葉集」にも詠まれており、平安時代前期には既にいくつかの品種が存在していたようです。
 みなさんは、自分が栽培あるいは購入しているサトイモの品種名をご存じでしょうか。サトイモは品種によって食べて美味しい部位が違ってきます。例えば、「石川早生(いしかわわせ)」、「土垂れ(どたれ)」、「えぐ芋」、「烏播(うーはん)」などは子芋を食べる品種、「筍芋(たけのこいも)」は親芋を食べる品種、「セレベス」、「八頭(やつがしら)」、「唐芋(とうのいも)」などは親芋・子芋両方を食べる品種、「蓮芋(はすいも)」は葉柄を食べる品種です。
 奈良県には「味間芋(あじまいも)」という戦前から田原本町味間で栽培・維持されてきた品種があります。この芋は収量性が高く、良食味であるため、天理市などでも栽培され始めています。また、福井県大野市には「上庄(かみしょう)サトイモ」という良食味で人気のあるサトイモがあります。これらのサトイモはいずれも来歴に不明な点が多く、もともとの品種名が何であったか分かっていません。
 このようにサトイモには品種がたくさんあり、地方によっては同じ品種に別の呼び名が付いていたり、違う品種に同じ呼び名が付いていたりすることもあります。どの品種も種芋の形は似ており、一旦、品種名の混同や種芋の取り違えが起こると、正確な品種名を特定することは非常に難しくなってしまいます。
 しかし、サトイモの品種識別を行うことができれば、品種名不詳のサトイモでも、その特性や適した食べ方も分かってきます。農業総合センターでは、DNAに着目したサトイモ品種分類に取り組んでおり、DNAの違いを調べることで、日本各地の在来品種と一般流通品種の類縁関係についても調査していく予定です。

奈良県農業総合センター 
研究開発部 生産技術担当      
野菜栽培チーム 主任技師 米田祥二

掲載日:2008年4月26日