ウメはバラ科サクラ属の高木性の落葉果樹です。原産は中国ですが、日本には既に弥生時代に存在していたという文献もあり、歴史の古い果樹といえます。ウメは食用だけでなく、観梅用としての栽培も盛んで、300を超える品種があります。

ウメの主産県は和歌山県ですが、奈良県でもウメの栽培が盛んで、出荷量は全国で4位(平成20年農業白書)になります。奈良県内では毎年約2500トンのウメが生産されており、五條市や下市町を中心に「白加賀(しろかが)」や「南高(なんこう)」といった品種が栽培されています。

ところで、県内の今年のウメ生産量は平年と比べて少ないといわれています。原因の一つとして、「開花時期に寒波に遭遇し結実が悪くなった」ことが挙げられます。ウメは開花時期が3月でもともと寒波には遭遇しやすいのですが、特に今年は開花期が例年より10日程度早まったため、寒波の影響をより強く受けたと考えられます。早春の低温時期に開花するウメは、気候条件で生産量が大きく変化しやすい果樹なのです。

最後に、皆さんは梅干しや梅酒等の加工品が、自宅で簡単に作ることができるのをご存知でしょうか。ウメの生果実は5月下旬~7月上旬の限られた期間にしか入手することができません。そのため、ウメの加工は今の時期しかできない旬のイベントといえるでしょう。ウメ果実は非常に酸味が強いことから生食はできないので、他の果物とは異なり加工を必要とします。しかしながら、ウメ特有の「すっぱさ」の成分であるクエン酸には強い殺菌効果、疲労回復効果、食欲増進効果等の機能性が認められており、ウメはこれからの暑さを乗り切るのにぴったりな食材といえます。手作りのウメの加工品は、市販品とは違うおいしさを感じることができるでしょう。今年の夏は奈良県産のウメを使って加工に挑戦してみてはいかがですか。

 豆知識「梅干しの作り方」 

材料:梅(完熟のほうが良い)1kg、あら塩180g
   赤シソ葉200g、シソもみ用のあら塩40g

(1)ウメは一晩水に浸しアク抜きをする。
(2)水気を切り楊枝等でヘタを取る。
(3)容器の中に梅とあら塩を交互に入れる。良くなじませるのがコツ。雑菌繁殖で失敗しやすいので、ホワイトリカーを霧吹きで吹きかけ、容器や梅を殺菌するとよい。
(4)落し蓋をして約1kgの重しをのせ、冷暗所で保管する。数日で塩が溶けて梅酢があがる。
(5)約2週間で梅酢が完全にあがるので、赤シソを準備する。よく洗い水気を切った赤シソ葉に塩20gをまぶして良くもみ、強く絞りアク汁を捨てる。これを2回繰り返す。その後、梅にシソ葉を和えて再度保管する。
(6)7月下旬頃の晴天が続く日に「土用干し」をする。梅を梅酢から出し、陽のあたる場所で2~3日間干せば完成。完成後すぐ食べられるが、2ヶ月程おくと塩がなじみ、より美味しくなる。  

ウメ

写真:ウメの加工は今が旬

奈良県農業総合センター
果樹振興センター
特産開発チーム 主任技師 植木勧嗣

掲載日:2009年6月28日