野菜を作っていると、いろいろな害虫に被害を受けます。その中でも身体の小さな害虫は、人目に付きにくいだけに、気が付いたら大きな被害を受けてしまったということがよくあります。ここでは、近年被害が増加しているキスジノミハムシを紹介します。
 キスジノミハムシは体長5mmに満たない小さな甲虫です。黒色の背中に黄色いスジが2本入っているのが特徴です。春から秋にかけて、ダイコンやコマツナなどのアブラナ科植物の葉に小さな穴を沢山あけます。捕まえようとすると、ノミのようにピョンと飛び跳ねることからノミハムシとも呼ばれます。葉に小さな穴を見つけたら静かに近づいて観察して下さい。葉の上にゴマ粒のような虫がとまっていたら、この虫の仕業の可能性が高いです。葉にそっと触れるだけで一瞬にして跳びはねて消え去ります。ただし、これは緊急避難でジャンプしているだけで、実際には数十センチ以内におり、すぐまた戻って食害します。
 成虫は植物の地際に産卵し、白いうじ虫状の幼虫が地中で根を食害します。根の太い部分が大好きで、植物をそっと引き抜くと身体を半分以上根に潜り込ませた3~4mmの幼虫が観察できます。特にダイコンでは、根に丸い小さな窪みを沢山つけてしまうので、葉の被害よりも深刻です。ミズナやコマツナのように葉を利用する野菜でも沢山発生すると、幼虫に根をほとんど食害されて株が立ち枯れてしまうことがあります。
 冬は成虫が畑に放置された野菜などの株元や枯れ葉の下に潜みます。ダイコンのような大きい根があれば幼虫が根の中に潜り込んで冬を越します。春にアブラナ科植物の花、いわゆる菜の花が立ち上がってくると、キスジノミハムシの成虫は一番上まで登り、羽を広げて春風に乗って分布を拡大します。一生で地上と地下部を加害する、とてもやっかいな「小さな大害虫」なのです。

 豆知識 「ダイコンの防除方法」
 ダイコンのキスジノミハムシに対する防除は、播種時に農薬の粒剤を施用するのが一般的です。播種時の処理なので、発生の有無にかかわらず予防的に使用する必要があります。その他にエンバクを利用した防除法があります。エンバクには、キスジノミハムシに対する忌避物質が含まれています。ダイコンの前作に、緑肥用エンバクの種子を10平方メートルあたり10gを全面にばら播きし育てます。春まきの場合だと約2カ月後に穂が出だしたらすぐに土に混ぜ込み、2週間以上十分に腐熟させたあとにダイコンを播種します。エンバクは、種苗店等で1kgあたり500~600円で市販されています。この方法はいろいろな利点があります。キスジノミハムシだけでなく線虫類の被害も減少し、エンバクの根が土壌を柔らかくしてくれるので、ダイコンの岐根(また根)も減少します。この方法は、残念ながらヨトウムシ類、モンシロチョウなどのガやチョウの仲間には効果がありません。

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写真:キスジノミハムシの成虫

奈良県農業総合センター
高原農業振興センター
営農技術チーム 総括研究員 中野智彦

掲載日:2009年9月27日