最近、台所掃除などで大活躍の「重曹」と「食酢」、実は農作物の病気の防除にも有効なのはご存じでしょうか?これらは、「特定農薬」とか「特定防除資材」と呼ばれており、農薬として使用することが認められています。
 農薬の容器や袋には、必ず「農林水産省登録第○○号」といった表示があります。これは、人間の健康や環境に悪影響がなく、農作物の病害虫に効果を持っていることを国が保証したものであり、これが記載されていないものは農薬として販売や使用をすることができません。しかし、安全性や防除効果が確認されているものは、農薬登録を受けなくても使用できる仕組みが作られており、これが特定農薬といい、「重曹」や「食酢」がこれに当たります。
 重曹は、食品用として煮豆を柔らかくするためや、ケーキなどのふくらし粉としても利用されていますが、病害防除では病原菌の胞子形成や発芽を抑える働きがあり、その発生を抑制することができます。これまでに、野菜や果樹類のうどんこ病や灰色かび病などに対して防除効果が確認されており、病気の発生初期に効果があります。
 食酢は、酢酸を主成分として多くの有機酸類を含んでおり、食酢を使った酢の物やお寿司などの料理は、腐りにくく殺菌力があることが知られていますが、植物の病害への効果は、処理によってpH(酸度)が急激に低下することで病原菌が死滅することにあると考えられています。さらに、食酢は強い浸透力があるため、植物の組織内にいる病原菌にも効果を発揮します。これまでに、希釈した食酢液に水稲の種子を浸漬することで、種子に感染している病害を防除できることが確認されています。
 さらに、化学農薬を多用すると薬剤の種類によっては耐性菌が発生しますが、重曹と食酢では、発生する可能性はほとんどありません。このように、重曹と食酢は、身近で効果が安定した防除資材と言えます。
 
 豆知識 「重曹の使用法」
 ここでは、家庭菜園でよく発生する「うどんこ病」に効果のある重曹の使用法について説明します。まず、食品用として市販されている重曹を、水で500~1000倍に薄めます。これをハンドスプレーなどを使って、病気が発生している部位を中心に株全体にまんべんなく噴霧します。散布のタイミングは、病気の発生初期で、例えばうどんこ病などでは葉の一部に白い粉の斑点が発生したときになります。葉一面に発生してしまうと、手遅れになります。そのために日頃から病気が発生していないか、こまめに観察することが大切です。
 注意点は、作物の種類によっては、重曹の濃度が高いと、奇形、硬化など、ひどいときには枯死するなどの薬害が生じることです。前もって一部の株に散布し、薬害がでないことを確認しておくとよいでしょう。また、育苗期や高温時なども薬害が発生しやすいので使用を控えるようにしましょう。

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図:食酢、重曹の効果が確認されている病害

奈良県農業総合センター
環境・安全担当
病害防除チーム 主任研究員 平山喜彦

掲載日:2009年11月22日