日本では、一年を通じ季節の行事や祝いごとのようなめでたい日には、餅をついて食べる風習があります。最近では家庭で餅をつく機会は少なくなってきているようですが、お正月に新年を祝って雑煮などでたくさん食べられたのではないでしょうか。 
  餅は精白した「もち(糯)米」を蒸し上げてついてつくりますが、日頃ご飯として食する「うるち(粳)米」と「もち米」ではどのような違いがあるのでしょうか。
 まず外観の特徴です。収穫直後の玄米はどちらの米も半透明ですが、もち米は乾燥すると白色不透明になります。これを「りょく化する」、または、「ハゼる」と呼んでいます。これは、胚乳組織のデンプン粒の構造の違いによるものといわれています。
 また、玄米中に含まれるデンプンの成分が異なります。うるち米のデンプンはアミロースとアミロペクチンの2成分からなり、アミロースが15~30%、アミロペクチンが70~85%含まれますが、もち米のデンプンはほとんどがアミロペクチンです。米はアミロース含有率が低くなるほど粘りが強くなり、ほぼアミロペクチンからなるもち米は、蒸してつくことによって餅にすることが可能となります。
  奈良県では、もち米だけでつくる餅だけではなく、もち米につぶし小麦を加えてつくる「半夏生餅(はんげしょうもち)」や、うるち米と一緒に蒸してついた「どやもち」など、いろいろなもちが食べられてきました。「どやもち」は、うるち米がつぶれずそのまま残るのでプチプチとした食感があり、歯切れがよく、胸やけしにくい餅です。
 今年一年、様々な機会に奈良県に古くから伝わる餅をつくったり、食べてみるのはいかがでしょうか。


kome
写真:「旭糯」(もち米、左)と「ヒノヒカリ」(うるち米)の玄米


idea豆知識「ヨードチンキを使った玄米のもち米とうるち米の判別法」
  もち米は通常乾燥すると白色不透明になりますが、条件によってはりょく化せず(ハゼず)、外観上うるち米と区別しにくい場合があります。このような場合、市販のヨードチンキを使ってヨウ素デンプン反応試験をおこなえば、判別ができます。
方法
1.玄米をカッターナイフやカミソリで半分に切る。(手を切らないように注意。)
2.ヨードチンキはそのままでは濃すぎて色の判別がしづらくなるので、20~40倍程度に水で薄める。
3.切った玄米をシャーレ等の皿に入れ、薄めたヨードチンキをスポイト等で玄米の上にたらす。
4.玄米の切断面の色によって、うるち米ともち米に判別をします。ヨウ素デンプン反応によって、アミロペクチンは褐色から赤紫色、アミロースは濃青色になります。そのため、もち米の切断面は褐色から赤紫色、うるち米の切断面は青紫色になります。

奈良県農業総合センター
生産技術担当 作物・資源チーム
主任研究員 杉山高世


掲載日2012年1月15日