お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係  TEL 0742-27-8325

司会:
 ただいまから年頭の知事記者会見を行います。
 本日、案件はございませんので、ご質問をよろしくお願いします。



質疑応答
知事の年末年始の過ごし方について

朝日新聞:
 知事は、年末年始はどのようにお過ごしになられましたか?

知事:
 家内と年賀の参拝に行きました。その後は東京で知り合いと会ったりしました。霞が関に行こうかと思って近くまで行ったのですが、中へは入りませんでした。あと本を結構読めたのでおもしろかったです。2日に奈良に帰ってきて、昨日はこの周りのお寺参り、神社参りをしました。

朝日新聞:
 読まれた本の中で、参考になったことなどはありましたか?

知事:
 おもしろかったのは「光圀伝」です。冲方丁の「光圀伝」という本です。前に「天地明察」というのを読んだのですが、すごくおもしろくて、人気が出て映画化されました。それで「光圀伝」を買ったのですが、とてもおもしろくて、近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら読み終わりました。

 その前に「チャイナ・ジャッジ」という本と「チャイナ・ナイン」という本も読みました。「チャイナ・ナイン」はちょっと前に出た本ですが、これもとてもおもしろくて、遠藤誉さんという方が書いた本ですけれども、実名がどんどん出てきます。中国の権力構造がわかります。「チャイナ・ジャッジ」は薄熙来さんの話ですが、奥さんの谷開来さんの裁判判決が出る前あたりまでの情報です。遠藤誉さんは日本人ですが、長春で生まれ育ち、敗戦で生死の境をさまよって日本へ帰って来られたそうで、中国のおつき合いも広くてとてもおもしろい。記憶とかいろいろな経験で書いておられるので、学術的ではないという人もいるのですが、中国研究者の間でも目にとまっている本らしいです。

 年末は「チャイナ・ナイン」、「チャイナ・ジャッジ」、「光圀伝」と、それからもう一つは、古事記出版大賞で稗田阿礼賞を受賞された「古事記 不思議な1300年史」という佛教大学の教授の斎藤英喜さんが書かれた本を読みました。古事記出版大賞の表彰式では、受賞者の皆さんがそれぞれ発表されましたが、それがとてもおもしろかったです。斎藤さんは、佛教大学で古事記を勉強すると、それは仏教の教えでは外道とされていることから、そういうことを勉強しているのは外道だ、外道の斎藤と呼ばれているんだと言って笑わされました。「古事記」に関する本がたくさん出ている中で、その人の本もおもしろかったです。


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今年の目標と県政運営について

奈良テレビ:
 今年一年の目標、抱負などはありますか?

知事:
 年末、籔内佐斗司さんから電話がかかってきて、「東京にいるならお昼食べませんか」と言われたので、一緒にご飯を食べました。今年の秋、籔内佐斗司展をされるのですが、その構想を随分練っておられて、その題が「やまとぢから」だったんです。「やまとぢから」は日本人の力みたいな意味もありますが、「奈良県政の一つのフレーズに使っていいですか」と言ったら、「どうぞ」とおっしゃったので、新年のあいさつでも「やまとぢから」という力を自覚するというか、発揮するような目標という言い方をしました。何か震災があったりいろんなことがあって力がなくなってきているのではないか、虚脱というようなところまでいかなくても、力が失われているのではないかと見る向きもあるのですが、日本人はこういうときに力を発揮することが歴史上多かったので、その力のもとをどこにたどるか。偉大な為政者が力を出してくれることも多いのですが、国政だけではなく地域でもそうだと思います。

 奈良は南部で災害がありましたが、そういう力が身の回りにあることを自覚していないのではないかと思います。少しですが新しい事業の発想も「光圀伝」から生まれましたが、総じて「やまとぢから」というのは、徳川光圀の時代は戦闘がなくなると武士が廃業ですけれども、そのときに武士の生きる道をいろいろ探る人が出てきて、徳川光圀もそうですが、山鹿素行や山崎闇斎など、武士の生きる道を儒教や学問に向ける、あるいは武士を官僚化する動きが大きな流れだったように感じます。今は企業戦士といいますか、企業侍を同じパターンで養ってきましたが、企業侍が失業して浪人化しているような面もあるので、その浪人勢力を「やまとぢから」、国の力に向ける手はないのかということです。

 発想の方向としては、自然科学系だけではなく、社会科学系の力が弱くなっているような気がして、やはり国力のもとは経済力だけではなく、文化といいますか学問の高さが大きな国力になると思います。いろいろな国がどうしようか悩んでいるから、よく考えることがとても大事な時期で、生産に従事している人は忙しくてなかなかできないのですが、少し時間がある人を学問に向けるという仕組みができたらいいのかなと思っています。県でも、雇用対策も兼ねて学問振興と文化振興というふうな方向がとれないかなと思います。

 昔からそのように思っていた面もあったのですが、雇用対策上あるいは国力充填の発想で、日本はすごく学びの力があり、多分江戸時代は文武両道でやってきたと思うのですが、もう一度学問で国力を充填するということになってもいいのかなと思います。

 昨日、「ザ・外交」というテレビ番組を観ましたが、とてもいい番組でした。政治が国内問題化していて、外交で事を起こさないで国力を充実させることにいろいろな国が走り出して、日本もほかの国がどうだというよりも、国力をどういうふうに充実させるか、経済力も大事ですが、考える力を充実させないといけないというように、特にアメリカの学者のインタビューで思いました。

 外交も奥深いし、国内政治はこれと連動していて大変奥深いですが、考えるとか学ぶというのは県政の一つの柱でもできるのかなと思ったりしますので、注目されなくてもちゃんとしなければいけないと決心をしたわけです。

読売新聞:
 具体的に、新年度から何かの事業に?

知事:
 できたらと思っていますので、またそのうちに姿をあらわすと思います。予算は雇用などとても大事ですが、一番悩ましいのは、どこの国もそうですけれども、国の経済の形をどのように定めるかということで、それぞれの国で試行錯誤が始まっています。

 明治以降の日本型パターンは、技術移転と生産効率で世界のマーケットで優位を保つというものです。自主的な戦略というか、経済戦略というのはなかなか見出せない国が多い。日本もそうだと思うのですが、景気対策といったときに、財政と金融、成長がありますけれども、成長戦略の中身がもう少しはっきりしないといけません。どういうやり方で成長させるのか、例えば外需なのか内需なのか。外需中心で日本は発展してきたわけですけれども、内需とかあるいはサービスとか、そのことが既存の経済団体を追従しています。

 新しい産業の勃興をどのように応援しようかということも試行錯誤しなければいけませんが、国が応援してもできないかもしれません。国主導で発展したのは製鉄や造船など、軍需的な背景にしたものだけだったかもしれません。だから、国は発展するインフラ、情報などを充実して、考えて起業する、イノベートするための環境整備をするのが大きなことだと思います。それと規制を外すのが大きなことだと思います。

 勤めていると、その組織の枠の中でしか考えてはいけない、余計なことを考えてはいけないと言われるのが普通でしょうから、それをイノベーティブに考える企業戦士は、普通はなかなか生きていくのは難しく、その組織の中で安住するという面がありますが、これは日本のピラミッド型経営組織の危ないところです。

 イノベーションが要るときにどういう経営組織にするかというについて、日本はピラミッド型で大きくして潰れるという同じパターンになってしまうのかなと思うのですが、違う発展パターンを考えなければいけません。それと、若い時代からの教育を基本にしなければいけません。やはりアメリカは強いなという感じがするんです。そういう発展の素地があって、どんな困難があっても七転び八起きで乗り切ります。日本も七転び八起きの精神がありますが、転んでるのをわからないといけないかなと、転びそうなのがわからないといけないかなと思います。

 昨日の番組では、リチャード・ハースさんというCFR(外交問題評議会)会長と、バーナード・ゴードンさんという日本のこともよく知っている方が出演されていて、日本から中国をどう見るかなども含めて、質問よりも答えの方が幅広いような感じがしました。そういうようなことで、視野を広げたり考えを刺激される時間があればいいなと思います。

 奈良県政であれば、「やまとぢから」に転換する行政を多少でもできたらと思うんです。昔、そういう時代をくぐり抜けた為政者が奈良にいたというのはとても大きなことです。今、藤原不比等がいたらどういうふうに外交や内政をするのだろうかというような発想です。藤原不比等が言い残した書物はないだろうかと思ったりするのですが、足跡を残さないで去った人のようので、すごいなと思います。

 「古事記」もそうですが、大宝律令も、日本国をつくった天武天皇、藤原不比等のペアはすごかったのかなと思います。それは奈良であったのだから、それを学ぶ。「光圀伝」でおもしろいのは、彰考館(しょうこうかん)という修史局が水戸藩にできましたが、彰考の由来は「彰往考来(しょうおうこうらい)」という言葉で、歴史に学び未来を考えるということです。「春秋左氏伝」という歴史書の言葉ですが、水戸光圀はそういう学識があって彰考館をつくったということです。奈良県がやっている勉強会は彰往考来かなと思ったのですが、彰往考来が今、日本の国力養生に役に立つのかなと思います。「古事記」や藤原不比等は古過ぎるということもありますが、同じパターンが起こっているような気もします。しかし、それを乗り越えて日本国をつくってきたというのは、とても頼りになる歴史のような気がして、奈良でせっかく仕事してるのだから、奈良の歴史を学ばせてもらう幸せを感じて仕事をしようかと思います。

朝日新聞:
 まだいろいろ温められている最中だということですが、差し支えない範囲で、その「やまとぢから」をどういうところに特に振り向けていこうとお考えですか?

知事:
 新年に静岡県の川勝知事と、熊本県の蒲島知事とたまたま話をしました。とても気の合う二人で、奈良県のそういう考える姿勢を評価していただいているのですが、一つ刺激されたのが、静岡県知事が健康長寿は静岡県が今一番だとおっしゃったことです。奈良県も健康長寿全国1位になろうという志を去年から立てています。静岡県知事は、「静岡県が健康長寿1位なのは、食材が豊富だから」と言われましたが、奈良県にも健康長寿全国1位になれる要素が随分あります。

 健康長寿は、体の健康だけではなく、学ぶということもあります。いいことを考えたり、いいこと言ったりという活動です。高齢化になると国力が衰えると言いますが、中国では仙人は老人であることも多いし、老人の知恵が出る国というのも一つのイメージであろうかと思います。健康長寿は老人の大きな生きがいでもあるし、それを発揮する場所を地域でつくっていく、地域ごとでそういう工夫をするということです。国が全部奨励するたぐいのものでもないと思います。

 健康長寿という志を立てて、奈良県が健康長寿全国1位になろうと思います。既に近畿では1位ですけれども、近畿1位で満足しないという志を立てました。県警本部長は治安日本一も手が届くと発想されています。健康長寿の中で大きな要素は医療ですが、奈良県は医療が遅れていましたけれども、病院と医療をよくするということで急速によくなってきた面があります。大都市の高齢化は環境的に大変ですが、大都市から少し離れた地域では健康長寿を守りやすい面があります。努力しないとだめですけれども、守りやすい面もあろうかと思います。

 そのようなことが一つ大きな志で、健康長寿プロジェクトがずっと続いていますが、その中に文化活動もありますので、文化振興条例をつくるとかというふうに志しています。健康長寿につながる、経済活性化にもつながる文化振興条例をつくるとか、1年から1年半かけて教育基本条例をつくろうと思っています。

 江戸時代の学ぶというのは初期だけではなく、社会が250年安定しました。学ぶ力の充てんというのは江戸時代のとても大きなことで、経済が士農工商の中ですがそこそこ回っていて、現実的な政治が行われていました。建前ばかりできりきりしないで、日本式の民主主義があったのかもしれません。それが西洋式の民主主義に変わって、そのときに天皇を担ぎ出したというような政治構造になっりましたが、江戸時代から明治、大正、昭和と移り、平成はどんな政治経済社会のパターンにすればいいのかということを考える時期に来ていて、そういうことを考える時代に生きているのはありがたいので、せいぜい考えようと思います。

司会:
 ほかにご質問ありませんか?
 それでは、以上をもちまして年頭の記者会見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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