第2回臨時会議(平成29年10月31日開催)

開催概要

議決事項

1

 第1回奈良県立高等学校適正配置検討地域別協議会の実施について(pdf 133KB)  <教育振興大綱推進課>

その他報告事項

1

 県立高等学校の適正配置に関する検討に係るヒアリングの実施について(pdf 1848KB)  <教育振興大綱推進課>

平成29年度第2回(臨時)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
平成29年10月31日
15時05分

<閉会>
平成29年10月31日
17時05分

 
<会議場所>
教育委員室


<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(出席)

 

議案及び議事内容

議決事項1
 第1回奈良県立高等学校適正配置検討地域別協議会の実施について(可決) 

<議事内容>
〇吉田教育長 「ただ今から、平成29年度第2回臨時教育委員会を開催いたします。本日は委員全員出席で委員会は成立いたしております。」
〇吉田教育長 「本日の議案は、第1回奈良県立高等学校適正配置検討地域別協議会の実施についての1議案でございます。これに先立ち、第1回臨時教育委員会で議決をいただいた、県立高等学校の適正配置に関する検討に係るヒアリングを行いたいと思います。」

〇前田教育振興大綱推進課長 「前回の臨時会でご提案を申し上げましたとおり、本日と来月11月30日の臨時会におきまして、高等学校の各学科等の関係の学校長等から課題と今後の在り方を中心としたヒアリングをお願いいたします。
 予定につきましては、本日の会議資料の2枚目のとおりに行っていただきたいと思っております。本日は農業から福祉まで6学科等から説明及び質疑応答をお願いいたします。お手元に別の冊子といたしまして、ヒアリングに関する資料を置かせていただいております。こちらの方をご参照ください。
 なお、質疑応答の際には、今後の適正配置の検討に関するご意見がございましたら、あわせてご発言をお願いいたします。事務局の方で整理をいたしまして、今後の議論の参考とさせていただきます。
 それでは、まず農業科からヒアリングを開始したいと思います。説明者は、県立磯城野高等学校桝田校長でございます。入室いただきます。」

〇桝田磯城野高等学校長 「農業学科の現状でございます。全日制は(県内で)4校ございます。磯城野高等学校については、現在、農業科学科、施設園芸科、バイオ技術科、環境デザイン科と4つの学科を設置しております。またそれぞれ学科に2コースずつ、農業科学科には食料生産コースと動物活用コース、施設園芸科には季節野菜コースと施設草花コース、バイオ技術科には生物未来コースと食品科学コース、環境デザインには造園緑化コースと緑化デザインコースと特色を設けております。
 簡単にご紹介させていただくと、食料生産コースは、主に作物・果樹、米、水稲です。水稲、あるいは奈良県の果樹である柿等そういった果物類と作物、穀物などを教材として提供しています。動物活用コースは本校、豚、羊、それとニワトリをメインにしております。あわせてウサギ、モルモットのほか、特徴的なのは、奈良県の大和肉鶏を預かっております。
 施設園芸科について、季節野菜コースは野菜をメインに、年間を通してトマト、キュウリなどを中心とした教材を使っています。施設草花コースは、主に草花、季節に応じた草花ということで、春のアジサイなどから始まり、式典の草花も含めて、パンジー、ベゴニアあるいはミネラリアやシクラメン等を教材にしています。
 バイオ技術科について、生物未来コースでは、バイオテクノロジーに関して無菌室で様々な植物を培養するという基礎的な研究をしております。今は大和野菜である、大和ショウガ、味間いも、それとシャクヤク等を、県の農業研究開発センターとも提携しながら教材として使わせてもらっています。食品科学コースでは食品加工で、春からイチゴジャム、トマトケチャップ、みそ、その後には秋に収穫をしたものを使ってミカンジュースを作っています。ただし、ミカン等は学校にありませんので、卒業生等から購入をさせていただいて加工の勉強をするといったことをしております。缶詰等を作ることができる設備等も入れていただいて実習をしております。また、一部、パンを焼く電気窯もありますので、パンやクッキーを焼いたりというようなこともしています。ここ最近では、シャクヤク入りのクッキー等も近畿農政局等の取材も受けたのですが、生物未来コースと食品科学コースを一緒にしたようなこともさせていただいています。
 環境デザイン科について、造園緑化コースは、主に庭造りの基礎知識の学習し、造園技能検定3級や2級といった資格検定をもって卒業しています。一番分かりやすい成果としては、今年度も近畿の若年者ものづくり大会に参加させていただいて、1位・2位・3位という成績を残してくれています。またここ近年ずっと技能五輪でも銅賞、あるいは銀賞等を含めて賞をいだいているのが現状です。今年度も11月下旬に、栃木県で技能五輪の全国大会あり、参加生徒が9時過ぎまで競技の練習をしています。また本校の卒業生2名が、技能五輪で金賞をいただきまして、ブラジルであった国際大会にも参加してくれています。緑地技術コースは、主にコンピュータ制御です。造園CADのプログラムを使用し、デザインを学習させていただいています。実際にはデザインコンクール等にも出させていだいて入賞したりといったこともしております。就職先では、造園の事務所でデザインのプロとして製図をしている卒業生もいます。
 御所実業高校は、御所東高校と御所工業高校とが統合され、農業科を1クラス設けていただいています。環境緑地科には、磯城野高等学校とよく似た緑地技術コースというものがありますが、本校と同じように技能検定の造園3級や2級の取得等に向けた学習活動を進めています。環境技術コースでは、橿原の昆虫館等も含め、水田の水生昆虫等の環境に関する学習を中心に進めてくれています。様々な賞もいただいてるようで、成果を現してくれています。
 山辺高校ですけれども、総合学科が農業科に変わっています。生物科学科は、動物、特にラブラドール犬を2頭を教材として飼っており、それを中心に犬のしつけ等も含めた学習をしています。また高等養護学校の分教室も併設されており、高等養護の子どもたちにとっても動物を使って学習することで、子どもたちの心の癒しといいますか、そのような学習にも効果が現れているのではと思っております。あと、小動物としてウサギ等、めえめえ牧場の方からポニー等も入っているように聞いています。また山辺はお茶の産地ですので、お茶畑で地元のお茶をつくる学習活動も続けているというのが現状です。
 吉野高校、森林科学科では、子どもの数が集まらず50人を切っておりますが、地元の林業に密着した『吉野探検隊』ということで、地域の割り箸業者さんともコラボしながら活動しています。今は、東京オリンピック・パラリンピックに、吉野高校で製作した割り箸、文様入りの割り箸を使ってもらえないかということで、アプローチもしていると聞いております。実際いろんな活動をしてくれているのですが、ここ最近子どもの募集に対して少し集まりが悪いというのが現状です。」

〇吉田教育長 「平成16年から再編を行う中で、農業に関しては、学科の中にコースを設置しましたが、再編当初は中学校や中学生になかなか理解が進まず、定員割れしたような時期もあったように思います。しかし、最近ではかなりコースというものの理解が進んでるためか、逆に農業に対する子どもたちの関心が高まっているのか、募集に関しては、磯城野ではかなりの(高)倍率になってきています。農業に関しての再編に対して、校長先生自身どのようにお考えでしょうか。(平成16年の再編が)うまくいったのか、うまくいってないのか、課題が大きいのか、総じてどのように感じておられますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「磯城野高等学校については、再編は成功していると思います。」
〇吉田教育長 「磯城野高等学校の農業については、再編によって様々な取組により学校活性化がされているということですね。」
〇桝田磯城野高等学校長 「農業科学科が2クラスでしたが、3年前に(1クラスを)施設園芸科として、分かりやすく野菜、草花と分けさせていただいています。」
〇吉田教育長 「農業教育が子どもたちにとって、“こういう面で役に立つ”ということはありますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「生きたものを扱っているというのが一番の子どもたちにとってはよい学習効果を生むと思います。今日も午前中、ふれあい動物園に地元の小学生が来ていて、テレビの画面で見ることはできても実際にはなかなか触ることができない小学生を相手に、高校生が『さわってごらん』といって手を持っていって『こわくないから』と言いながらやっているうちに、服の後ろに『私は猫が苦手です』とか、『私は犬が苦手です』とか貼っている小学生も、もっと大きな豚を怖いなりにも触っています。またニワトリの集卵もしていましたが、産んで間なしの卵に『この卵温かい』と言いながら触っている。そういう意味ではこころの教育の面で、私は農業教育というのは非常に有効だと考えています。」
○花山院委員 「心といのちの教育というのは、本当にそういうものと触れ合うことで豊かになるというのはよく分かります。
 総花的な話なんですけども、農業は今から50年ほど前であれば、産業の割と大きな部分を占めていましたが、現在は兼業農家の数が多く、例えば奈良県では平群周辺で菊を栽培する等熱心な地域があったりはしますが、専業はなかなか難しいというのが現実の問題だと思います。当然、子どもたちは素直で心が豊かですので、この教育の中でいろんなことを感じて、場合によっては将来そういう仕事にも就きたいという興味・関心をもってくれることは大変素晴らしいことだと思います。
 そこで、磯城野高校の卒業生の進路が就職67人、進学60人、その他6人ということで教えていただきたいのですが、例えば興味・関心をもったところへ比較的スムーズに就職できるのかどうか、それから進学についても、例えば農業大学校や動物系の専門学校等、進学先はどのようなところでしょうか。もう一つは動物や植物のことを勉強したことをもって普通の大学に行くということは、それを身に付けて、でも他のことも勉強したいというのも悪いことではないので、また素晴らしいことだと思います。その状況を教えていただいたらと思います。」
〇桝田磯城野高等学校長 「就職については、私が勤務させていただいた頃には現業職がかなり多かったというのが事実です。また関連産業というのも比較的少なかったのも事実です。
 でも昨年、一昨年くらいのデータを見せてもらっていると、比較的、農業に関する産業も、いろんな企業が入ってきています。例えば企業の関連施設として野菜工場をもってたり等、直接ではないんですけれども、そのような企業に就職を希望する等、あるいは、実際に養豚農家に行きたいという子も何人か出てきているというのが最近の傾向です。高校で学んだ専門知識・技術を基に、関連したところに飛び込んでいこうとしている子どもが若干増えてきていると思います。
 2週間ほど前も、四国の養豚農家の方が、本校から応募があるということで、女子生徒であり遠方なので心配いただきましたが、本人も保護者も行きたいと言っているということで来てくださいました。その方は、愛媛県で太陽ファームという多くの豚を飼っておられる会社の専務で、事前に本人が会社を見て納得していることを前提に、現場まで試験を受けにきてもらうのは大変なのでと、学校に来られて本人と面接してくださいました。今年も2名そのようなところに就職をまとめていくことができており、そういった考えをもった子どもが育っているいうことを肌で感じます。
 進学については、専門的な大学、昨年度は帯広畜産大学に公募推薦で行けたということがあります。あと最近龍谷大学に農学部が開設されまして、そちらにお世話になっている子もいます。そういった心意気をもった子どもも以前に比べると少し増えています。もちろんトリマーなど動物スタッフは以前から希望があります。憧れであって、それが収入につながるのかということを子どもと話することもありますが、やりたい自分の夢だからそっちに進みますといった子どももいます。以前よりはそのような方向にシフトしていっているのかなと感じます。」
〇高本委員 「例えば、公務員でうだ・アニマルパーク等への就職を希望することはありますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「あります。」
〇高本委員 「実際に就職に至っていますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「まだそこまで至っていません。ただ、卒業して本校に臨時の実習助手として戻ってきてくれている生徒は3名ほどいます。まだ採用試験は通っておりませんが、母校ということもあり、一生懸命やっております。話すと『自分が学生の頃と随分違いますね』と。他にも家庭科に実習助手で戻っている生徒が同じようなことを言っていました。」
〇吉田教育長 「農業教育は大事なので、農業教育に携わる教員の人材を確保しなくてはならないが、今、そのような人材がいるのか。磯城野から農業教育に携わるような人材はつくれますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「今のところ、本校を卒業して現場に戻ってきてくれてる人は2名です。1名は、一昨年採用で山辺高校に勤務しております。もう1名は御所実業で講師をしておりますが、本年度の採用試験で採用していただきました。」
〇吉田教育長 「頑張ってくれていることが分かりました。農業は、今は磯城野高校が中心であることは事実です。他の学校は1学科ずつで分散されていますが、集約化した方が良いのか、分散して1学科ずつでも活性化できるのか。農業教育の魅力というものを、どの学科で子どもたちに訴えていくのかということを考えたい。森林科学科は現実的には、子どもの数が少ない。一方で山辺高校は農業に戻して、子どもの数は増えてきたようには思います。」
〇桝田磯城野高等学校長 「以前の総合学科の時と比べるとそう思います。」
〇吉田教育長 「造園系とか森林系というのはどうでしょうか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「他府県を見ても、そのような学科は少ないですが、ゼロではないです。例えば和歌山県だと森林科があります。」
〇吉田教育長 「奈良の森林科学ですね。」
〇桝田磯城野高等学校長 「奈良には吉野の美林があります。」
〇吉田教育長 「今、子どもにマッチしているかどうかですね。」
〇桝田磯城野高等学校長 「学習場所をどこにするかというのはまた別の問題で。どこかに集中するということは、学習のたびに演習林にバスで移動するとか、そのようなことも含めて検討しなくてはならない。」
〇吉田教育長 「吉野は演習林には近い。そのようなことも学科の配置について考える必要あるように思います。」
〇森本委員 「卒業後の進路についての説明をいただきましたが、進学の方が多いです。今ご説明いただいたそれぞれのコースの中で、昔ながらのコース・学習と、今にマッチングした新しいバイオテクノロジーの学習の二つに分かれています。新聞等によれば、両方ともピックアップされてきていると思います。農業にしても、今ものすごく広がってきていて、大事に大事にということが起こってます。そのような意味では、これから将来的に見た時、やはり実学を充実させるための配置をしていただかなくてはならないと思います。そこで、集約するかどうかということについて、生徒が移動するなど新しいやり方が出てくると思いますが、地理的なこともあります。どのようにお考えになりますか。」
〇桝田磯城野高等学校長 「奈良県の農業を、県としてどのように考えているかというところもあると思います。奈良県として、食料生産的、或いは、専業農家を育てるとかといった方向があるのかどうか。今農水省がしきりに言っているオリパラに向けてのJGAP、いわゆる世界基準の食料安全に関して、オリンピックの食材として東北のものが使えるのかどうかといったことがあるようです。先日、岡山県の農業高校で開催された農業の大会でも、国会議員の小泉氏が、農業高校で生産したものをオリパラの食材に使えるようにぜひGAP認証できるようにとはっぱかけてくれました。東北等農業が主産業になっているところもありますので、それによっては農業高校の立ち位置も随分かわってくるかなということを、私は現場におりながら思っています。」
〇吉田教育長 「これからは森林環境どうするかといった県としての考え方を、高校の学科とどのように結びつけていくのか等を考えることも大事かも分かりません。」
〇森本委員 「農業にしても、林業にしても、兼業でやってこられたところが多いです。けれども、今60歳、65歳定年された方が戻ってきて、兼業ではなく、農業をやろう、林業をやろうという方々も出てきています。そのような中でその方たちがいなくなったときはどうなるのか。そのような中で、今進めてもらっている学業というのは大切だと思います。今おっしゃったように県の方針をつくっていただいて、その観点の中で今回の見直しをしなければ、無くなってしまうと僕は思っています。」
〇佐藤委員 「私どもの会社では、今奈良県が推奨している大和トウキを単味のエキスで申請して許可を取ろうとしたり、シャクヤクを漢方薬化しようとしたりしていますが、これらは結構それなりの量では作られていると思います。造園にしろ、そういうものを作るにしても、作るだけではなくて、最終の製品までつながって商売や仕事が生まれてくれば、農業を志向する人も増えてくるのではないか。
 それと造園一つにとりましても、個人でやっておられるところに新卒の子が就職することは、独立しようと思う気持ちがあればいけると思うんですけど、なかなか難しいのではないでしょうか。やはり法人化して造園業しているところだと、会社で務めるのと同じですので、そのようなところがどれくらいあるのか。会社もつくっていけるように県がフォローするというようなことも必要だと思います。
 それと休耕田が多く、それを何とかできないかということで、近所に無償で借りまして、草の管理するということで、健康食品の野菜、例えばショウガやニンニク等、漢方薬ではトウキやシャクヤクもつくっておりますが、今年、近大の農学部に募集を出しました。そしたら1名来てくれました。そして県内の高校にも、磯城野高校と山辺高校に募集を出しましたら1名ずつ来てくれました。地産地消ができないかという思いで、3名のメンバーをそちらに振りわけようかと思っています。作業場が要りますが、建てられるのかどうか法的な面がありますので、設計業者に話をしているところです。早ければ来年の夏にはできるかなと思っております。新卒を採用すれば、育てる場所も大事なので、環境づくりも必要だと思っています。
 私たちの近所だけかもわかりませんが、田を売りたくなくてそのままもっておきたい人が、お金を出さないという条件で、米作りを他に任せていることもあります。専門の人がおられて、何町(=ヘクタール)も作られています。またJAが小麦の休耕地を草の管理を条件に貸すということもあります。そのような方向が今後出てくるのかなという気はしないではないです。
 しかし農業の6次(産業)化をやらないと、たぶん若い子は農業だけだとおもしろくないと思います。そういう点では磯城野などが色々栽培物や漢方薬をつくってみたりされています。クッキーも先ほどの話で、焼いてみたり利用方法も色々やっておられます。それがどこまで市場ニーズがあるかはちょっと私も分かりません。しかし一度やろうということで、来年度からは本格的にやってみようかという思いでやっています。そういう面では受け皿を法人化した業者が増えていけば、たぶん高校の30人や40人の受け皿が増えてくると思います。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「ありがとうございました。引き続きまして、情報科でございます。ご説明いただくのは、奈良情報商業高等学校鶴田教頭先生でございます。」

〇吉田教育長 「鶴田先生は情報のご専門をされていたということで、今回は商業よりも情報というものを中心に質問させていただきたいと思います。前回再編時に、志貴高等学校の情報コースと、桜井商業高等学校の商業とが統合するという中で、情報科、商業科が設置されましたが、商業高校に設置されたということに対しては、どのようにお思いですか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「情報は新しい教科でしたので、どういう形で進めていくか、当初はあまり分からなかったということがありますが、時代とともに情報科の内容も進んでいます。
 最初は資格とか検定をとって自信をつけるということで、コンピュータを覚えていったらということでしたが、どんどん技術が進んで、ニーズ的には上の学校に進学していかなければ達成できない分野になりました。専門学科の情報というのは、専門教育のなかで職業学科のグループで、産業教育であり実践力をつけるというグループに入っていますので、そちらにどうしても時間がとられて、なかなか大学進学への形ができていません。実際には資料のとおり、理工系の大学に行かせたいということについては、職業教育という位置付けの学科からは難しいというのが現実だと思います。」
〇吉田教育長 「商業科でも情報を取り扱うのは奈良朱雀高校にもあります。商業の中で情報を取り扱うという形で、ある程度専門レベルに扱っていたということがあります。商業の中で取り扱う情報と、情報科という学科があるということについては、中学生にとってはどう思いますか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「当初はそれを分けることについてどうするのかということが課題でありました。一緒になったときに、商業の、また工業の情報系との区分けをどうやってするのかがあって、結局のところは、現状では結論が出ていません。」
〇吉田教育長 「スタート時点ではそこを明確にはできていたのですか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「商業のビジネス系はいわゆる文系に近いもので、他府県の成功事例を参考にして反対の理系型でつくっていこうと考えましたが、商業高校の中では理系という位置付けで作るのはなかなか厳しい。」
〇花山院委員 「保護者には、商業高校、例えば奈良情報商業、以前の『桜商』は様々な会社とのつながりをもっていて、一般の普通科高校へ行くよりも、就職が良いというイメージがあります。そのようなイメージをもっている人が大変多いです。商業高校として、ニーズが大きいと思います。普通科にはないニーズが私はすごく県民にとっては大切だと思います。早く就職したい中学生にとって、商業関係の学校にいけたら良いというニーズをもっておられるところがあると思います。会社との関係もあり、そのようなことから、商業科というものが私は大変大切だと思っています。
 これから教科の再編等で様々なことがあると思うのですが、将来的に商業というものは、今申し上げたように、希望まだまだあると思うんです。情報科はやっぱりなかなか展望は開けないものでしょうか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「商業の中でも情報系を選択してとれるという科目はいくつもあります。ですので商業高校の中で情報という分野で達成できる分野もあると思います。今からの情報といえば、一般的にAIであったりとか、全てのものがインターネットにつながるとか、プログラミング学習が出てきている中で、小学校でプログラムをやってきて高校では何をするのかというくらいになってきているので、やはり職業高校としてではなく、さらに上の学校にも進学するという教育する方が良いと思います。」
〇吉田教育長 「大学進学の状況はどうですか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「3分の1くらいは進学するんですが、学校全体の指定校から選んでくるということで、結局のところ情報系には行けていません。情報系を続けていくとしたら専門学校になります。また、高卒すぐの情報系の求人がありません。就職も全て他の業界に行ってしまうということになります。」
〇吉田教育長 「指定校は学校の指定校であって、情報科に、例えば関大の情報工学から指定でくるとかということは、現状は厳しいということですね。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「はい。指定校といったら、校内の頑張った順番にやっていけると思うんですが、結局情報科の生徒も頑張っているのですが、商業でないので(推薦できない)と言われる場合もあります。設置の頃に自分が描いていたイメージは、全国に増えていくだろうという流れだったんですが、19校減っていったぐらいで、無くなった県もあります。」
〇森本委員 「科学分野は日進月歩で、何が出るかわかりません。おっしゃっている意味はそういうことですね。」
〇佐藤委員 「みんな進学になるんだったら、大学でその情報のコンピュータ関係に行って、それを目指した方が良いという感じのニュアンスで今聞かせてもらっています。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「そういうこともあるかと思います。いま多くは進学してるのはそのような形だと思います。」
〇吉田教育長 「要するに普通科の中に、情報を取り扱うというコースを設定すればどうか。商業科の中に設定すると、情報科自体が、商業にとっても非常に分かりにくい。情報科の指定校がもらえれば、それはそれなりの位置づけでできるのではないかと思います。
 情報科を作って、大学進学を目指すという必要性ですね。それは例えば、理数科でできるのでは等を考えられるということですね。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「はい。これからコースやプログラムというものが、恐らく小学校の段階から、国語、算数と同じように一般常識化してくるので、それが得意という子どもが出てくると思います。高校でそれをたくさん学べるという学科の設置があっても良いと思います。その先の職業までつなぐとすれば、今の状態からすれば厳しいというのが我々の考えです。」
〇森本委員 「県に工科大学とかあれば、そのようなラインですね。」
〇吉田教育長 「それは先端科学技術大学院大学と連携するといった方向性等ですか。」
〇鶴田奈良情報商業高等学校教頭 「専門学科の情報で成功しているところは、地域にそのような産業があって、近くに工科大学があって、そこと連携するという趣旨があってつくっているというところがあります。」
〇森本委員 「将来の展望も見えてきますよね。」
〇吉田教育長 「分かりました。ありがとうございました。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「以上で情報科に関するヒアリングを終了します。鶴田教頭先生ありがとうございました。なお、商業科につきましては、14ページから16ページに資料がございます。少し補足をさせていただきますと、商業科の最近の動向といたしましては、奈良情報商業高校におきましては現在の1年生から、募集の時点で3つの学科の区分を無くし、入学後2年生から各学科に分かれるといった入試の形態をとっています。現在のところ、来年の2年生は、流通ビジネス科1クラス、会計ビジネス科2クラス、情報ビジネス科2クラスとなる予定でございます。取組の面におきましては、資料の2にございますのでご覧いただければと思います。特に地元商工会等と連携し、具体的な販売活動を行うということを今準備・検討いただいているところが特徴でございます。
 それでは、引き続きまして、定時制・通信制課程の状況につきまして、県立大和中央高等学校山本校長先生にお願いしたいと思います。」

〇吉田教育長 「夜間定時制の倍率が非常に高かった時が、何年か前にあったと思います。子どもたちのセーフティネットを張るために、通信制や定時制教育というものが必要であるということは事実ですが、三部制単位制高校を設置して10年経ったということで、定時制、特に夜間定時制がどうあるべきかということについて、校長としてどのように思っておられますか。」
〇山本大和中央高等学校長 「今おっしゃっていただいたように、本校の場合は三部制で、朝、昼間に比べて夜間の方が定員の充足率は低いです。それと、奈良県全体で見ましても平成29年度に関しては、入学生は若干増えたとはいうものの、やっぱり非常に厳しい状態です。夜間定時制が必要であるかということで言うならば、やはり無くすことは難しいだろうと思います。昼間出ていけなくて、夜だったら行けるという生徒もいます。実際、中には昼間働かれて夜毎日来られる人もいます。ただ、現実問題として、夜間定時制の部分で教員の不足の問題があります。本校のことを例に挙げますと、単位制高校で、生徒は自由に授業を選べるはずです。ところが、教員の数が限られてくると選ぶ選択肢がない、ということは、学年制と変わらない状況になりかねないということがあります。」
〇吉田教育長 「三部制は、今は増加しているのですか。全国的にはどうですか。」
〇山本大和中央高等学校長 「増加しているかどうかは今は分かりかねますが、県によっては三部制の学校が複数ある県と、それと本県のように1校だけという県があります。おそらく私の認識が間違っていなければ、滋賀県も同じような形態の学校が1つだったと思います。新設に関しては聞いていません。」
〇花山院委員 「今おっしゃったように、夜間でしか教育を受ける機会が得られないという子どもの数が少ないとしても、これは要ると思います。ですので、その子たちにどういう形で、機会を均等に出していくのか。また、それぞれの家庭のご事情もあって、またそのご本人のいろいろな精神的な部分もあって、夜の方がいいという子どもたちもいると思います。適正化という言葉の中では、なかなか進められない部分があるということは感じます。でも、一方でそのままでいいというわけにもいかないとも思います。
 現場からみて、これからの動向はどのようになっていくとお感じになっておられますか。」
〇山本大和中央高等学校長 「定時制・通信制というのはもともと、勤労青年のためにということでしたが、今は不登校を経験した子どもたち、それから他の高校を中退した子どもたちが在籍しています。また学び直しをされる方も、数は多くないですがいます。これから先はこのような子どもたちが多くなってくると思います。
 ということは、三部制でいえば、昼間に学べる定時制にニーズはあると思います。定員が割れているとは申しますけれども、1部は今年は75名の定員に73名でした。2部は75名のところ63名、今年は少なかったです。この2年間若干少ないんですけれども、それまでは75名の定員をなんとか守っていくことができた。今は、生徒の大半が不登校の生徒たちで、その子どもたちの学びやすい環境をつくるという意味でいったときに、夜のニーズはもちろんありますが、やっぱり多いニーズとしては、朝、昼というのがやっぱり多いと思います。これからもその傾向は続くと思われます。」
〇吉田教育長 「1部は午前中4時間、2部は昼から4時間、3部は夜間で4時間で、この授業をベースにして、4年間で卒業する。場合によってはダブルスクールということで、午前中1部に行って、昼から予備校へいっても良い等、そのような話だったと思うのですが、現実的にはそのような子どもは、今はいますか。」
〇山本大和中央高等学校長 「どちらかといえば、少ないです。」
〇吉田教育長 「2部の昼から4時間をベースにするといいながら、この子どもたちは、昼から来るよりも、例えば、10時くらいになった行けるという子が実際はいる。逆に言えば昼まで時間をもてあます可能性があると思います。早朝には登校できなくても10時くらいになったら登校できる、だから2部であっても1部の授業をとれるようにしていこうというようにかなり変わってきているんじゃないかと思っています。」
〇山本大和中央高等学校長 「三修制ということでもともとありましたが、今、本校でしたら、2部は10時50分から授業が始まります。ですから、一時間目、二時間目の授業をとることはできる。二期制の前期後期になっていますが、前期の学習状況をみながら、後期から、他部の授業を履修することを認めているという形でやっております。」
〇吉田教育長 「1部と2部の区分けが徐々に無くなって、実態的には全日制単位制高等学校化している。全日制単位制高等学校というのは、1時間目から8時間目までを設定して、自由選択しながら3年間で卒業できるようなもの。ゆっくり学びたい子どもは4年間で卒業できる等、そのような方向になっています。」
〇山本大和中央高等学校長 「その傾向はかなり強いと思います。
 一昨日も学校説明会を開催し中学生に来ていただいて、その後質問コーナーを設けましたが、やっぱり、朝どうしても起きられない。夜型の生活になっているということもありますが、朝、大勢が一斉に動く中がしんどいという子どももいることは事実です。ですから、説明会でも初めから『後ろの席をお願いします』ということでちょっと離したところに座らせて欲しいという子どもも、数的には多くはないですが毎年いるというのが事実です。」
〇高本委員 「私が関わっている人が2人お世話になっております。1人は途中まで某県立高校で学んでいましたが、途中から登校できなくなって、退学になりましたが、元気になって学習できる状態になったということで受け入れていただき、今年3月で卒業できて、社会人になってくれました。もう1人は、転校、転校で、親の仕事の関係でアメリカで中学校生活して、帰国してから奈良県の私学に入学しましたが、うまくいかず不登校になった。そこで、大和中央高校に入学して、その子の場合は10時からきっちりと授業を受けられるので、行かせてもらって、終わってから2時くらいまで勉強して、それから大阪の予備校に行って、今、国立大学目指して勉強しています。だからものすごくきめの細かい見方をしてくれておられるので、単位制ということもあって頑張ってくれています。だから、すごい、大事な学校だと思います。」
〇山本大和中央高等学校長 「いろんな子どもがいるのは事実です。今すごく多様だと思うのは通信制です。中には何かをやりたいとか、自由な学校に行きたいという子どもも少しはいます。ただほとんどは学校のシステムにのりきれないという子どもたちです。夜間の定時制を卒業した子ですが、今難関大学入学を目指していて、今年は合格できるかどうかというところまで、非常によく頑張っています。数は少ないですがそんな子どももいます。」
〇森本委員 「卒業後の進路をみれば必要性もあり、大事なところと思います。進学、就職、頑張っておられる方もたくさんおられると分かります。教員の確保も大事なところと思います。」
〇吉田教育長 「教員については、夜間の定時制だったら定時制に配当していますが、三部制という教員の中で、夜間に割り振りしているのですね。」
〇山本大和中央高等学校長 「三部制ですから、夜間の先生も昼間からの授業をもたれます。クラブ活動もそこでやっていただいています。よく夜間の先生が『授業して、クラブやって、それから授業して』いう話をされていますが、ただ先生方も、ハードな中でやっぱり思いをもってやってもらっています。
 資料のとおり、本校ができたときは充足率がどこの学校も高かったですが、その後どんどん下がっていきました。さらに平成16年~20年の間に行われた前回の高校再編が終わった後、定時制の充足率が増加したという気がしています。また今回、高校の再編、適正化というのが行われたら、その影響というのが後に出てくるかなと思います。」
〇吉田教育長 「1部、2部、3部の必要性を考えたい。例えば、全日制単位制高校に夜間定時制をつくるという方法もあります。今の大和中央の子どもたちを受け入れて運営する手法の中には、1部、2部、3部という当初の必要性と、全日制単位高校と夜間定時制をくっつける、そのどちらが良いとかいうことはないですか。ただ子どもたちにとってみたら、どちらであっても大きくは変わらないですよね。」
〇山本大和中央高等学校長 「おそらく1年生の時が変わってくると思います。1年生の時には、単位制といいましてもとらなければならない必履修科目があります。」
〇吉田教育長 「ただ子どもたちが、3部に入った、夜間定時制に入った、そこからは午前の授業や昼の授業はとれないかも分からないという制度設計ですから。だから入り方は定時制か昼間の単位制高校か、1部、2部、3部では無くなりますが、これは教員の働くという観点から考えた時はどのようになりますか。」
〇山本大和中央高等学校長 「そうなったときの教員数という部分があるかと思うんですが、もし、1部、2部、3部と夜間の教員数と、例えば今おっしゃっていただいたような教員数が同じであれば教員の負担的な面でいうと若干減るかも分かりませんが、そう大きくは変わらないかもしれません。ただ夜間のみということになれば、昼間を企業訪問に充てる等に使えるというメリットがあります。」
〇吉田教育長 「分かりました。」
〇花山院委員 「将来的にどうなるか、そのことを踏まえないとだめですね。」
〇山本大和中央高等学校長 「はい。」
〇吉田教育長 「大和中央高校の必要性です。」
〇花山院委員 「大切なことです。」
〇高本委員 「本年度の入学者数を見たら、定時制課程で185名募集したのに対して147名、つまりマイナス38名、通信制課程に対しては、150名募集したところに約100名となっています。」
〇山本大和中央高等学校長 「この通信制約100名のところに、他の学校を退学して編入してくる子ども、または転校という形でくる生徒が21名おりましたので、今年は120名が新入生として入ってきています。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「山本先生、ありがとうございました。資料に少し補足をさせていただきます。19ページから21ページの資料は、昨年から本年度にかけて県立の定時制、通信制にお勤めいただいております主に教務担当の教員の方々に出席いただき、今後の定時制、通信制の在り方について懇話会ということで何度か会合をもたせていただき、その話合いの論点を整理したものです。今後の在り方などについてもまとめさせていただいておりますので、こちらもまた、参考にご覧いただければと思います。
 引き続きまして体育科のヒアリングをさせていただきます。
 ヒアリングの方は県立添上高等学校の木村校長先生です。よろしくお願いいたします。」

〇吉田教育長 「体育科は添上高校と大和広陵高校。実績で申し上げますと、(部活動の成績が)少し落ちてきている。落ちてるから悪いという意味とは違いますが、体育科の実績が陸上競技で全国でインターハイで総合1位、2位であった当初の成績から落ちてきて、優秀な選手が、悪い言い方でいうと(他府県に)とられる状況ですが、その原因は何でしょうか。」
〇木村添上高等学校長 「私学であれば、費用面といいますか、いわゆる授業料免除であったり、というような誘いをかけられます。」
〇吉田教育長 「しかし添上高校の魅力が低下しているように思います。前はそうではなく、来ていたわけです。それは添上高校の体育科の魅力が低下しているというようにはお思いになりますか。」
〇木村添上高等学校長 「正直、実績からも魅力は落ちてないとはいえないと思います。本校の指導者も必死でと取り組んでいただいています。他府県にもっていかれてもおかしくないような選手も、多数ではないですが来てくれたりしています。
 先ほど言われたように、全国の活躍というときに、監督されてたような方が出られた後、厳しい状況になってるわけですけど、徐々に積み上げがされてきている部分もあります。全国優勝ではないですが、昨年で、個人種目ですけども全国4位、6位ということで、人数は少なくなってますけども、頑張りはみせてくれています。」
〇吉田教育長 「指導者が大きいのですね。『教育は人なり』ですから。」
〇木村添上高等学校長 「それはあります。本校も頑張っていただいていると思っています。」
〇花山院委員 「教育長は単刀直入にクラブ活動の成績のことを言われましたが、ここでもう少し議論をするなら、体育科の存在ということを考えたい。
 それぞれ、このスポーツをやりたいと入ってこられますが、現実にはクラブ活動とのリンクというのが大きな課題だと思います。添上の40人、大和広陵の40人というのは、主にどのクラブか教えていただけますか。」
〇木村添上高等学校長 「今まで陸上が一番強かったです。今も成績が全国レベルというのが陸上ですので、40人のうち約半数弱です。そこに、団体種目のバレーボールとハンドボール、後は入試の時は9種目限定とさせてもらっていますので、個人種目については、3名、4名ぐらいの幅で40名の構成をしております。」
〇吉田教育長 「王寺工業高校の子どもたちは、車が学校に入ってきたら振り返って挨拶をしてくれるのですけど、添上高校の子どもたちは、学校に入るときと出るときに、礼を言っています。」
〇木村添上高等学校長 「子どもによります。強制しているわけでもないので、全員ということではありません。帰るときに『ありがとうございました。』と声を出して帰る子も、一礼だけの子もいます。」
〇吉田教育長 「あの伝統はどうやってできたんですか。体育科ができてからでしょうか。」
〇木村添上高等学校長 「体育科が中心になっていることは確かです。それが核となって普通科にも広がるということですね。体育に関する専門的な話もさせてもらいますし、その意識が普通科にも広がっていくというのが本校の特性というものでしょうか。
 進路については、体育科の子が体育大学に行って体育の先生になるという形だけではなく、体育クラブの中に体育科の子がおり、普通科も一緒に入り、そんな中で、普通科の子が体育大学に行って、体育の教員になっているという子もたくさんおりますし、そういう相乗効果のようなことはあると思います。礼についても、体育科の子だけではなくて、普通科の子にも広がっています。」
〇吉田教育長 「全部体育科ということはどう思いますか。また、定員を増やすことは考えておられませんか。」
〇木村添上高等学校長 「今のところは40人という数字が適正だと判断させていただいております。」
〇高本委員 「今の40歳代の、添上高校出身の卒業生が作業療法士と理学療法士になってくれている方がものすごく多くいます。国家試験はかなり難しいですが、添上高校がかなり学習の方にも力入れてくれておられたみたいです。彼らがもし今やめてしまったら医療界は大変なことになるくらいです。今もそのようにできると就職も困らないし、『やっぱり添上やな』って言ってもらえることはあると思います。」
〇花山院委員 「大和広陵の場合はどうですか。」
〇木村添上高等学校長 「大和広陵の場合は、サッカーも野球も、生涯スポーツ科の子が入っています。」
〇花山院委員 「スポーツをする目的がはっきりしています。学校の中で一つ筋の通った教育方針があると、外から見てても、同級生から見てても分かりやすいのでしょう。」
〇森本委員 「世相の変化というのもあるのでは思います。大和広陵ではなく、添上の陸上については、企業が昔採用していたと記憶しています。昔は陸上部というのが企業の中にあったから、そこは多く就職されてたと思います。そういうのが、世相が変化して無くなっています。」
〇木村添上高等学校長 「以前でしたら、大和ガス等、そのようなところに行ったりとかしていましたが、それは、もうない状態です。」
○森本委員 「私学でトップアスリートとして入学させて、大学まで引っ張っていくということもあって変わってきたのではないかと思います。」
〇上野委員 「一番思っているのが、先ほど言われましたけど指導者についてです。やはり体育科というのはクラブだけではなく、人を育てることも大事です。指導者が変わられて、すごく頑張っておられましたけども、なかなか人が集まらなくなるという悪い循環が起きてしまって、今の状態になってしまっているんですね。」
〇吉田教育長 「指導者を育てる、高校で指導者をつなぐのが大事です。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「木村先生ありがとうございました。それでは続きましては国際科・英語科についてヒアリングをさせていただきます。国際科・英語科につきましては、法隆寺国際高等学校の森本校長先生でございます。よろしくお願いいたします。」

〇吉田教育長 「バカロレアは目指す必要があると思いますか。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「近畿の英語科・国際科高校設置校長会という組織があります。今年は会長をさせていただいており、先月、全国のその校長会が秋田県でありました。全体の議題には挙がってなかったですが、神奈川県の横浜国際高校の校長先生が国際バカロレアに向けてスタートさせてますという話がありました。あの高校は県立高校でありながら海外の帰国子女をたくさん受け入れている学校で、普通の県立とは少し違うと感じました。奈良県で実施する場合、ディプロマプログラムというものをするとなると、それをできる教員の確保が必要です。また、高校卒業後、海外の大学に進学するという意欲をすでに中学校卒業時の段階で持ってる子どもたちでないと、そのディプロマプログラムのある学校にはハードルが高いかなと思います。それと、ディプロマプログラムを認定してもらうのに、年間で約120万円の登録料としてかかりますので、3年間で約360万円のお金がかかる。そしてまた、3年修了時に試験に通らないと、当然海外の大学に進学するチャンスがない、ということでかなりハードルが高いなと思います。文科省の方は確か2018年度には200校という目標を掲げておられます。」
〇吉田教育長 「今の学校運営では、ハードルは高いけどできるということですか。ハードルが高いだけで無理とはおっしゃってませんね。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「無理だとは思わないです。そういう国の方針が示されているので、奈良県にない状態というのはどうかと思いますし、ディプロマプログラムを設置している学校があれば、それを目指す生徒たちもいると思います。実際には父親の仕事で、海外で生活して日本に戻ってきている子も奈良県にはいますし、本校にも海外にルーツを持っている生徒が20数名います。県全体でも40人でスタートするのかどうかということもありますが、財政的なお金のこと、教員の確保と、それと高校卒業後に海外の大学を目指す生徒と、課題はいくつもありますが、取り組んでも良いと思います。」
〇吉田教育長 「既存の学校でそれをやるのか、新しい学校づくりを目指すべきなのかということを我々は考えていかなければいけない。高取国際、それから法隆寺国際という、既存の学校では、かなりハードルが高そうに思います。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「現状では難しいです。全ての科目を、まず1年生の学習指導要領の必履修科目に対応して、2,3年で、英語、スペイン語、フランス語のあたり、当然、国語、日本語の授業は英語でというわけにはいかないんでしょうけれど、理科も数学も、現代社会も日本史も、全て英語でやらなければならないということで、まずその教員の確保がかなり難しいです。」
〇吉田教育長 「おっしゃったのは、新しい学校づくりの中で目指すという方向性ももつべきだということですね。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「そういう学校が1校あってもいいのではと思います。実際、神奈川県の横浜国際高校がそうです。」
〇花山院委員 「今、法隆寺国際は115人ということですが、3クラスですか。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「3クラスです。帰国特例措置として5名の枠がありますので、2月の特色選抜では、定員115人で入試をやってます。今年度の入試では、ネパールの出身の帰国特例の子が1名本校を受検しまして、116名が入学しております。
 今年は116人が出願してくれましたが、当日残念ながら2名欠席で、114人。一般入試で1名、残りの入試を行いました。」
〇花山院委員 「私、片桐高校に勤めていたんですが、学力的には中くらいでしたが、英語科は英語の授業が多いので、意外と話せるようになります。ただ、ちょっと難しいことは、日本のことを知らないので、外国人に日本のことを聞かれても何も答えられない。例えば、ファッションとか、ディズニーランドの話とか、そのような話だったら結構話せるんです。ただ、外国に1か月短期留学に連れて行くと、向こうの方は『能』とかを尋ねたがります。そうすると答えられない。『能』を知らないのです。でも少しは話せるのです。こういう教育は、なかなか素晴らしい。ただし当時、倍率はもう少し高かったという記憶しています。そういう意味では、多分普通科の同じ学力の学校に行っても、将来アメリカの大学に留学をする子はほとんど出てこないと個人的には思います。ここのクラスの子は結構行きます。10人ぐらい卒業後に行っている子がいるんじゃないか、というときもありました。そういう意味で、本当に子どもたちの興味・関心を喚起する教育環境というのが整っていたというのは、なかなか素晴らしい。日本のことをもう少し勉強しないといけませんが、そういう意味では、すごく素晴らしい学校の特性をもっていると思います。」
〇吉田教育長 「斑鳩と片桐で法隆寺国際高等学校となりましたが、本来的に歴文(歴史文学科)が(課題です)。」
〇花山院委員 「人数が少ないんでは。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「歴文は40人です。」
〇吉田教育長 「歴文と英語科とはどのようにコラボできるのか。歴文の子が英語で説明できるということになっていますか。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「片桐のときに、オーストラリアのマウント・リリデールというところと姉妹校提携しています。また今年の夏に私がドイツに行かせてもらって、教育委員会から紹介いただいたリンテルンていうハノーバーの近くの学校と姉妹校提携してきました。海外から生徒とか先生が来たときに、法隆寺に必ず連れて行っていますが、その時に歴文の生徒が説明しています。原稿は事前に教員の方も目を通していますが、生徒たちもそれを覚えて英語で説明するようにしています。」
〇佐藤委員 「総合英語学科いうことなので、3年間で英語会話力を含めた4技能は相当なレベルまで上がるのですか。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「そうですね。高取国際と本校の場合、専属のALTという恵まれた状況にありますので、本校でしたら総合英語科の生徒たちは、英会話の授業時には、クラスを半分に分けてALTと英語教員で20人の指導を受けることができています。それを必修科目として2年間、3年でも選択できるようにしていますので、聞き取るとか、話すということに関してはかなりできるようになります。」
〇吉田教育長 「せっかく、歴文と総合英語科があって、それぞれでこっちは英語、こっちは歴文っていうよりも、通訳ガイドを育てたいと思います。
 奈良TIMEができたのも法隆寺国際の子が知事に提案してくれました。それを英語で説明できるような子どもをつくっていくというのは、すごいことではないですか。」
〇森本法隆寺国際高等学校長 「その姉妹校から先生や生徒が来たときには、生徒が案内しています。総合英語科の子どもたちは基本的に法隆寺ぐらいは案内できるように、1年の時にはちょっと無理ですけども、2年、3年になったらできるようにしています。」
〇佐藤委員 「だから今、小学校から英語を授業に入れようとしているでしょう。法隆寺国際で英語ができるようになるならば、3年で(通訳ガイドが)できるいうことになりますね。全生徒に英語が話せるようになるまでというとなかなか大変でしょうけども、特別なところは、できれば英語会話できるように、そういった仕事に就ける、大学も留学もできる等、そのような流れができれくれば、目的達成になります。」
〇花山院委員 「英語で社寺を説明することは、普通に英語を話す人はほぼ100%できません。例えばネイティブな方を連れてきても、それを本当に理解させて通訳をするというのは難しい。
 本来日本の文化っていうのは外国とは異なるので、それを外国人に説明するというのは、不可能です。でも、法隆寺が近くにあって、法隆寺国際があって、歴史文学科がある、ということは自分のためにその英語を話すが、自分が日本の文化を知るための勉強として、英語を教え、英語で伝えるという努力をするということは、すごいプラスになる。ただ、通訳、通訳といってもなかなか難しいと思います。」
〇吉田教育長 「要は、せっかく総合英語科と歴文があるので、学科間の学びあいをしてコラボする学校であってほしいということです。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「校長先生、ありがとうございました。では、以上で英語科、国際科に関するヒアリングを終了いたします。引き続きまして、本日最後のヒアリングです。福祉科について、よろしくお願いいたします。説明の方は県立榛生昇陽高等学校の川北校長先生でございます。」

〇吉田教育長 「先ほど商業科のことを聞けなかったので、商業に関することから聞かせてください。商業教育ってのはどうなっていくとお考えですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「実務経験がやっぱり大事です。簿記専門、また、最近コンピュータも広がっており、いろいろ分野があります。」
〇吉田教育長 「それを踏まえて、どういう方向にとお考えですか。例えば簿記会計を中心として、資格を取らせながらであるとか。高田商業はどうですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「高田商業の資格は、ほとんど1級を三冠。」
〇吉田教育長 「それを取らせることによって指定校等があり、7割5分が大学に行くという一方で、就職が中心となっている学校もあります。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「傾向としては、高田商業は、資格を重視しておられますが、様々な分野があるので、全てにオールマイティに役に立つかっていうと分からない。簿記だったら簿記、コンピュータだったらコンピュータができるスペシャリストを目指していく、それが今の流れだと思います。(資格取得を重視することが)大学進学とかにつながって大学でさらに深める、そういう方向では良いと思います。基本的には高校を卒業して就職となると、やっぱり簿記ができる、コンピュータができる、マーケティング、営業的なことができるとか(が重要です)。」
〇吉田教育長 「ただ、出口が少ないんです。僕らが教員になった時のように、都市銀行が高校生を採用してくれたとか、今はもう全くそんな時代じゃない。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「ほとんどコンピュータやATMでできます。人がいらない。」
〇吉田教育長 「商業科というものをどのように存続させるのがいいのか。農業科は、細かくある程度の専門性をコースに分けて成功している。商業科はどちらかというと、細かく分けたのをまとめる方向になっている。中学生にとってはまとめないと、なかなか選択しにくい。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「中学生の段階で、簿記っていうものをまずは知らない。」
〇吉田教育長 「農業だったらはっきりしてますね。農業科は園芸や動物とはっきりしてます。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「入ってみて、『こんなはずやなかった』という子が結構います。科をかわりたい、コンピュータはもっと楽しいことかと思ってたけど『こんなん、ついていかれへん。』等。」
〇吉田教育長 「だからある意味では、大くくりにしながら、子どもらが自分の興味・関心に応じてコース選択するという方向性は、商業にとっては必要になります。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「正しいというか、1つの方向だと思うんですよ。ただ、資格をとって就職とかに役立てようと思えば、3年生の6月に最終の、日商の簿記があります。それ取らないと、8月の就職、9月の就職には間に合わない。ということは、2年半でとらないとということは、1年の間に早くやっておいた方がいい。どっちも痛しかゆしです。どう狙うかです。」
〇吉田教育長 「次は福祉科ですね。福祉科はなかなか増えないですね。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「はい。少子化もあると思いますが、生徒たちにとって介護職が厳しいと思います。また、社会的評価が厳しい。賃金的にも(安い)、そういうイメージが強いです。
 そこがやっぱり弱いとこですよね。本校もここ数年、定員ぎりぎり、もしくは定員割れが続いています。本校だけではなく、私学では20人規模でやっておられるところもあります。さらに閉じていっているところもあります。
 奈良県でも従来は、奈良文化高校、それから天理高校の2部に介護福祉士をとれるコースがありましたが、今は閉じています。
 現在では、磯城野高校や、二階堂高校にあるコースについては、昔でいう2級のヘルパー、今は介護職員初任者研修、そういったものがとれる高校ですが、本校のように介護福祉士の受験資格を取れるというのはかなりハードルが高いです。」
〇吉田教育長 「介護福祉士の資格となると厚労省養成施設となるので、実習時間も含めハードルはものすごく高い。文科省のいう標準単位数でなく、何時間学習するということになっています。それを資格取って就職したら、給料が良いとはなっていない。」
〇高本委員 「正直言って、高校時代はもっと自由に伸び伸びとしたいことをしてという考え方になってきたんです。介護の資格を取りたかったら、学校卒業してから。広陵町の商工会では、毎日通う必要がありますけど3か月で取れるんです。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「それはヘルパーの方です。介護福祉士はいろんなルートがあります。一般で言うと、実務経験3年以上で実務研修を受けないといけない等、ハードルが高い。」
〇高本委員 「若い人では、ヘルパーから入って、それから介護福祉士に挑戦していく人も多い。」
〇吉田教育長 「介護福祉士になったときの待遇はどうなのでしょうか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「賃金的には大きく変わらず、優遇されているということはないと思います。ただし高校で、丁寧に指導して、実習もこなしている子ですから、即戦力でいけると思います。資格をもたずに入って、その中で研修を積んで介護福祉士になる方もおられると思いますが、やはり即戦力的な意味では、介護福祉士が取得できることが、本校の福祉科の値打ちだと思います。」
〇吉田教育長 「即戦力ということを課すということですね。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「先ほど、高校生は伸び伸びとという話がありましたけど、実際には、専門の授業時数を53時間とらないといけない。全部で90時間くらいの授業ですので、37時間しか一般教科できない。英語でいうと3年間で4時間。だから、進学しても、果たして英語でついていけるか心配になります。」
〇吉田教育長 「進学する生徒も介護福祉士を受験しているのですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「はい。資格を持ちながら、福祉系の大学にも、違う分野に進学したりします。」
〇吉田教育長 「進学後は、社会福祉士の資格を目指すのですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「大学にいったら、介護福祉士と社会福祉士の2つの資格があれば、将来的には施設長等の新しい道が開けます。」
〇高本委員 「もうちょっと勉強してもらえたら、ケアマネ―ジャーもとれます。」
〇花山院委員 「この国家試験(介護福祉士)は全員通るんですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「73%でした。その前の年は93%でした。去年と今年どう違うのかということですが、まず5問増えたのと、問題の傾向も変わったので。受験者も今年、日本全体で少なかったです。」
〇花山院委員 「この学科ができたときは、この資格を持ってる方が有利であるから、この資格が取れる学校を作られたのですが、高本委員がおっしゃたように、ヘルパーで入って、そのうち資格もとりましょうという方もおられる。37人来てるってことはニーズがないとはいえませんが、職場環境があまり良くないとか、給与的に難しいとか、いろんなことで希望者がいない、思った以上にいないということは、あまり予想どおりにはいっていないということですね。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「昔は、もっと脚光をあびてました。いざ、走ってみたらついてこなかった、そういう状況です。」
〇吉田教育長 「介護福祉士の資格を取らせるということになると、やっぱり教科の勉強があまりにも少なくなって、大学にいったときの学力が不安になるということですね。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「要は、即戦力の養成です。」
〇花山院委員 「看護師でも離職率は結構あります。介護福祉士についても、資格をとり就職され、また進学する人はたくさんいるでしょうけれど、就職した方は、やっぱり、長くそこで働かれるというよりも、離職してどんどん変わっていかれたりしていますか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「あまり離職は聞いてはいないです。」
〇吉田教育長 「就職は、半分ぐらいですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「はい。半分ぐらいです。そのうち、福祉系にいくのは11名。本来の思っていた方向に進むのは3分の1ぐらいです。」
〇花山院委員 「それは行きたくないから行かないということですか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「中には、特に成績の上位の子に多いのですが、看護専門学校に進学します。いろいろ介護現場を見ながらも、看護の方向もあるんだと。」
〇吉田教育長 「介護福祉士を取りたい子は集中的に2年、3年生に取るコースとか、あるいは、勉強しながら看護学校に行くコースとか、福祉科の中でもある程度、大学行くコースとか、バラエティがあれば、もっと集まる可能性はありますか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「福祉と看護、混同して入ってきてる子もいます。福祉士の受験資格を取ろうと思うと、(施設実習は)全部で59日必要ですので、1年生で5日、2年生27日、3年生27日という時間をとっていかないといけない。」
〇吉田教育長 「それを全部2年、3年生に全部積めないんですか。そうでもしなかったら、子どもらのニーズに応えにくい。子どもたちにとったら、福祉系の大学に行きたい子も当然出てくるし、即戦力で働きたい子もでてくる。そこで、即戦力で働く子だけを養成しているというから、なかなかやっぱり集まってこないという実態があるのではないでしょうか。カリキュラムの関係があるように思う。」
〇森本委員 「大学だけじゃなく、専門学校に進学する子もいるのではないでしょうか。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「はい。いろんな専門学校、福祉系もいけば、もっと違う分野の、全然畑違いのところにいく子もいます。」
〇花山院委員 「畑違いのとこに行く子どもたちも結構いるということですね。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「はい。去年でいえば、進学者は観光に行ったり、幼児教育に行ったり、経営情報に行ったり、美容の専門学校に行ったりしています。」
〇高本委員 「今また、保育士が足りないという状況がある。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「だから本校の場合、人間探究コース、保育士、幼児教育のコースは常に1.5倍来ます。」
〇吉田教育長 「教育、福祉系というものに対して、どのような制度をつくっていくかですね。子どもたちは、1年生の時点ではやっぱりまだ進路が決まってないですから。」
〇川北榛生昇陽高等学校長 「中には、兄弟とか親がそういった方向であって、理解して入ってくる子もいます。でも、全部ではない。そこで、『特色だから実力試しで受けみて』って形で受けられて、入ってみたら『何これ』といった感じになり、今年も既に1人やめています。
 商業、工業でしたら専門科目は3年間で30ぐらいの単位数です。さっきのように53単位。倍とはいいませんが、そこへ夏休みもちゃんと補習もし、試験中も試験終わってから授業したりとかしています。監査があるので適当なことができません。
 教員の要件も複雑で、最近、医療的ケア、痰の吸引ですが、医師や看護師の指導も要ります。非常勤で雇うとなれば、普通の非常勤の2,000円ちょっとの報酬では来ていただくことは気の毒というか。ボランティアでとはいいませんが、かなり誠意をもってやってくださっています。医師の場合は倍の5,000円くらいですが、それでも現実どうかなと私は感じるところです。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「ありがとうございました。高校の関係者からのヒアリングの方はこれで一旦終わらせていただきます。委員の先生、ありがとうございました。」

〇吉田教育長 「それでは、議決事項1についての説明をお願いいたします。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「それでは、第1回奈良県立高等学校の適正配置検討地域別協議会の実施の内容等についてお諮りをいたします。資料は3ページ目以降にあります。前回の臨時会でお諮りいたしましたとおり、11月と1月に地域別検討協議会を実施いたします。この協議会では、中学校長及びPTA協議会の代表の方に出席をしていただきまして、事務局から県全体及び地域ごとの中学校卒業者数の推移や学科の設置状況等を説明した後、意見聴取を行いたいと考えておりますが、本日はその聴取内容についてご提案を申し上げます。聴取内容は資料『県立高等学校の協議会の意見聴取、意見交換内容の骨子』のとおりでございます。奈良県の教育振興大綱に示されている県立高校の役割のうち、特に今後、特色化を進めること、地域を支える人材の育成を行うことについて意見を聴取したいと考えております。
 地域別協議会は2回予定しており、その第2回に、議論を深めていただくために、アンケートを実施したいと考えております。こちらの方のアンケートは協議会に出席していただかない方もいらっしゃいますので、全ての中学校の校長とPTAの会長を対象に、実施したいと考えております。内容といたしましては、今後の県立高等学校の姿として望ましい高校のイメージ、今後の県立高校の魅力づくりとして大切だと思うこと、今後の県立高校の適正な配置の視点として大切だと思うことの3点について、それぞれの複数の項目を立てて意見をいただきたいと考えております。この項目等につきましてもご審議の方、どうぞよろしくお願いいたします。」
〇吉田教育長 「ただいまの件について、ご意見ご質問はございますか。アンケートの項目です。その前に、地域別の協議会の実施についての案は、よろしいでしょうか。意見聴取の骨子案が、特色化の推進、それから地域を支える人材の育成の推進ということです。県立高等学校が地域の活性化に資するためという必要はありますか。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「教育振興大綱の方に示されている内容から、とっているところでございます。地域を支える人材の育成の推進について意見を聴取したいと考えております。」
〇吉田教育長 「このアンケートは、どういうふうに聞くんですか。〇をつけてもらうのですか。」
〇前田教育振興大綱推進課長 「先日、中学校長会の会長にも、相談をさせていただきました。複数の○をつけていただくのか、または、『そう思う、ややそう思う、あまりそう思わない、そう思わない』というような段階をつけて選んでいただくかについては、後者の方が回答しやすいというご助言をいただきましたので、その方法については、今検討しているところです。」
〇花山院委員 「例えば、『専門的な資格、就職に必要な能力を身につけられる学校』っていっても、それを選ばれた理由っていうか、その具体的なことを書いてもらうことが必要ではないでしょうか。」
〇森本委員 「教育委員会でとるアンケートですので、素晴らしい教員の確保の要請について求められているような項目は要りませんか。『教員だけでなく、各分野で優れた専門性をもつ人材からの授業を提供できること』とありますが、その中で教員の確保といったようなことで全部ミックスして、記載してもらっていますけども、その教員の確保については要りませんか。」
〇吉田教育長 「望ましい高校のイメージと魅力づくりとして大切だと思うことについて再度整理して検討してほしいと思います。
 今後、このアンケートに基づいて、新しい学校づくりを検討していきたいいうことですのでご意見ございましたら、教えていただいたらと思います。最後は、私の方で決裁をさせていただいてもよろしいですか。」
〇各委員 「はい。」

〇吉田教育長 「それでは、そのように了承させていただきたいと思います。それではこれをもちまして、本日の臨時会を終了いたします。ありがとうございました。」