第4回臨時会議(平成29年12月19日開催)

平成29年度第4回(臨時)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
平成29年12月19日
16時30分

<閉会>
平成29年12月19日
17時50分

 
<会議場所> 
教育委員室

<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(出席)

 

議案及び議事内容

<議事内容>
○吉田教育長 「それではただいまから、平成29年度第4回臨時教育委員会を開催いたします。本日は全員出席で、委員会は成立しています。」
○吉田教育長 「それでは本日の案件に入ります。議決事項、報告事項はございません。その他報告事項1『第1回奈良県立高等学校の適正配置検討地域別協議会実施報告』と、その他報告事項2『県立高等学校の今後の在り方に関するアンケート集約結果』について、ご報告をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長 「その他報告事項1と2を合わせて報告させていただきます。まずその他報告事項1について、資料『第1回奈良県立高等学校の適正配置検討地域別協議会実施報告』をご覧ください。
 この地域別協議会については、1の実施日程・出席者等にお示しさせていただいておりますとおり、県内3地域で開催させていただき、合計38名の方にご出席いただきました。今回の地域別協議会は、『県立高等学校の特色化について』と『地域を支える人材の育成について』の2点について、ご意見をいただきました。
 まず、2の(1)のこれまでの特色化の成果等については、十津川高校、王寺工業高校、磯城野高校、大和中央高校、二階堂高校等の校名を挙げながら、これまでの特色化について評価をいただいたところです。ただ、これから更に特色化を推進することについては、『15歳のときに選択させるのは難しい』という意見に象徴されますように、中学生の進路選択の問題として、特色化に対する不安の声がございました。このことは、次に報告させていただきますアンケート調査においても意見として出されており、本日の三つ目として報告させていただく論点整理において、特色化を推進することについて、しっかりと論点を整理したいと考えております。また2ページになりますが、実際的な課題といたしまして、各高校の特色の内容が中学生や保護者に十分届いていないとの意見も多くいただきました。3ページには、『高校の出口が分からないと選びようがない』というように、特色化には高校卒業後の進路の保障が重要という意見等を書かせていただいているところでございます。特色化の具体といたしましては、3ページの後半から4ページになりますが、様々なご意見をいただきました。『専門性や高いスキルが身につく学科を』、また『第二外国語を学ぶことができれば』等、現在の特色化をさらに推進する方向のご意見をいただいている一方で、理数科や福祉科の在り方についても課題の提起をしていただいているところでございます。
 4ページの下の(2)、地域を支える人材の育成については、『地域の強みや課題に対して頑張るという子どもたちだけでなく、世界へ羽ばたいていける子どもを育成する観点も必要』というご意見をいただいており、『奈良に貢献することだけととらえるのではなく、もう少し広く地域に貢献する人間像を求めていくことが重要』という意見もいただきました。さらには地域を大切にするというマインドを育成するには、中学校のキャリア教育を充実すべきという意見もいただいております。
 なお、このほか、5ページ下(3)の県立高校の配置についてもご意見をいただいております。アンケートにもたくさんのご意見をいただいておりますので、ここでは説明を省略させていただきます。
 続きまして、その他報告事項2について、資料『県立高等学校の今後の在り方に関するアンケート集約結果について』をご覧ください。このアンケートは先月、県内市町村立中学校の校長の及びPTAの会長を対象に、『特色化の方向性』、『さらなる特色化に向けた具体策』、『適正配置に関する考え方』の3点について、計11問の質問を行いました。回答率は、校長が94.1%、PTA会長が76.7%となりました。
 1ページからご覧ください。一つ目の問いでは、県立高等学校の『特色化の方向性』について(1)から(4)まで、それぞれ『専門的な技術や資格を取得できること』、『興味・関心がある事柄が学べること』、『基礎的な事項を幅広く学べること』、『自分の生活スタイルやペースに合わせて学べること』について尋ねました。この4項目は、前回の平成16年度からの再編に示されておりました『時代を担うスペシャリストを目指す高校』、『好きな分野・得意な分野を伸ばす高校』、『基礎的な事項を幅広く学ぶ高校』、『学びたいときに学べる学校』といった高校のコンセプトに対応しております。集約結果といたしましては、1ページの(1)『専門的な技術や資格が取得できること』について、校長の85.6%、PTA会長の81.0%から肯定的な回答をいただいている一方で、4ページ(2)の『自分の生活スタイルやペースに合わせて学べること』については、過半数の方から肯定的な評価をいただいているものの否定的な意見も多くいただいている状況でございます。ただ、これまでの臨時会におきまして定時制・通信制教育の重要性についてご意見をいただいており、また、先ほど申し上げたように地域別協議会においても同様のご意見をいただいておりますので、この項目も含めて、四つのコンセプトについて、次にご報告する論点整理において、今回の適正配置検討においてもベースとなる考え方としたいということを明記したいと考えております。
 5ページから8ページにかけましては、二つ目『さらなる特色化に向けた具体策』として、それぞれ、(1)『国際社会で活躍する人材育成』、(2)『高度情報化に対応する人材育成』、(3)『地域を支える人材の育成』、(4)『本県の芸術文化を支える人材の育成』について問うた結果でございます。これら4項目につきましては、一番低いものでも7割近い肯定的な回答が得られております。今後具体策を検討する際の参考にしたいと考えています。
 9ページから11ページにかけましては、三つ目の『適正配置に関する考え方』に関する質問でございます。(1)『各地域にバランスよく学校を配置すること』、(2)『どの地域に居住する生徒にとっても、幅広い選択肢を確保すること』、(3)『特色を発揮した学習活動ができるよう規模に配慮すること』の3項目について質問をいたしました。中学校の校長、PTA会長ともに、全ての項目で配慮が必要という声を多くの方からいただいたところでございます。
 以上で、地域別協議会、アンケート集約結果についてご報告をさせていただきました。ここで、ご質問等をいただき、後ほど、これまでの議論や今回の報告事項を整理いたしました『奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理』を、その他報告事項3としてご報告させていただきます。以上でございます。」

○吉田教育長 「ただいま、地域別協議会の実施報告とアンケートの集約結果についてご報告いただきました。以上に関しましてご意見、ご質問ございますか。」
○佐藤委員 「地域別協議会実施報告資料1ページの中学生の進路選択という項目に、15歳の中学生が進路を決めるのは厳しいとありますが、今までもそのような状況があったのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「中学校においてもキャリア教育の充実ということで、様々な勤労観、職業観を養っていくということで学校でも取り組んでいただいているところでございますが、やはり個人差があるかと思います。これは、地域別協議会においても意見としていただきましたが、やはり早くから様々な職業観を伸ばして将来を決めていくことができる、自立した生き方ができる(力を身に付けさせていく)ということが求められている中で、そういった選択ができている生徒もいる一方、なかなか決めきれない生徒もいるということが、現在も見られるということでございます。」
○佐藤委員 「(将来が)分からないから普通科の方へ行っておけば、進学の選択肢もあるということも(考えるのではないか)。職業高校でも進学率が結構高いので、そういう意味では、(特色化を推進することについて)あまり問題が出ないようにも思います。
 アンケート結果には大体はっきり出ているので、方向性は出せると思ったりもします。」
○花山院委員 「特色が分からないということは、一定程度、皆感じることだと思います。多くの県民の方は、こういう特色があると、それを身に付けてこういう職業に就きやすいっていうことを考えがちです。そういうことも必要ですが、一方でそれが教養になっていくということも少し理解してもらうべきではないかと思います。
 例えばドイツ、日本でも引き合いに出されますけども、職業訓練を徹底されています。それがドイツの伝統でもありますが、現在は、やはり思春期に(進路を)判断したことが最後まで正しいか分からないので柔軟性をもたせるように、この10年程で変わってきています。進学するということになれば、そのことのフォローできる教育環境があります。
 いわゆる15歳の思春期なので、一度決めたレールから外れるとそのフォローができないということではなく、それが逆に人生のプラスになるような方向へもっていけるということが、特色と同時に出ていかないといけない。実際には学校では教育保障をしていますが、そういう説明は意外と無いと思います。特色をしっかりと打ち出すと同時に、そういうこともフォローとして出していくと、保護者としては、また選択の幅が出てくるのではないでしょうか。
 子どもたちは入ってからまた考えたらいいし、また学校の方はプラスの面で教えていけば良い訳です。(職業高校で、もし進学したいとなっても)それもフォローできるといったことを、はっきりしておいた方が分かりやすいと思います。」
○森本委員 「資料1ページのア『これまでの特色化の成果等』について、肯定的なご意見ばかりですが、否定的な内容はありましたか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「これは地域別協議会の場で、それぞれ発言として出てきた部分でございます。これまでの特色化に関する意見としては、肯定的なものばかりでした。」
○森本委員 「こうしないといけないというのはなかったのですね。分かりました。前向きなご意見が多いですね。
 北部はある程度充実されている一方で、南部はこれから生徒数もどんどん減っていきます。それに対して全県一つとしての目標もあるだろうし課題もありますが、そのようなことが(ご意見として)顕著に出てくると思います。」
○吉田教育長 「我々の立場から『特色化』というのは、中学生から見たときは、どのような『学校づくり』かということですね。何を大事にしようとする学校でしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「やはり特色がある学校を選んでいる中学生にとっては、例えばこんな資格が欲しい、こんな勉強がしたいというようなことで特色選抜を受験していると思われます。」
○吉田教育長 「資格までありますか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「中にはあると思います。磯城野高校でしたらパティシエ、調理師等があります。」
○吉田教育長 「好きであるとか興味・関心であると思います。子どもにとってはそういった興味・関心といったことを伸ばす学校づくりになるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「その点は考えるところです。」
○吉田教育長 「なりたい職業が何もはっきりしないから、普通科を選択するというのがそれで良いのかどうかを考えなければならないと思います。偏差値による学校選択が行われている現状の中で、単に普通科を増やすことはそれを助長するのではないか。それなら、学区制をというのも時代に合わない。ですから、『ものづくりをしたい』、『インターネットの勉強がしたい』、『商業についての勉強がしたい』というような関心や意欲によって、行きたい学校(が選べれば)。それで将来の職業と大学進学をどうするのかという時に、職業が見えていなくても、好きなことを学んだ結果、大学に結び付くのは現実には起こっています。場合によればそちらの方が近道になる可能性もある訳です。だから、中学生から見たときは、興味・関心等を伸ばしていける学校づくりになるのかなと思います。
 ではそれを中学生にどう発信するか。例えば、語学にものすごく興味があって、『好き』あるいは『伸ばしたい』という生徒には、この学校であれば第二外国語まで勉強できて、将来は語学系の大学に行ったり、別の分野の大学に行って語学を生かしたりできるよとか。もちろんそのためには、語学に関心がある生徒が理系にもいける仕組等様々なことを考える必要がありますが。」
○花山院委員 「今までは塾が中学校での偏差値、内申を計算して、それを基に保護者が合格できるように中学の先生と進路相談をして決めていくというのが根底にあると思います。偏差値だけで進路を決めるのではない、特色ある学校づくりというのはやはり大切で、これから必要になってくると思います。中学生が高校を選ぶっていうのは大変難しいことだし、高校生が大学を選ぶっていうのも大変なことです。高校生でさえも大学選ぶときはオープンキャンパスへ行ったり、いろんなことをしたり、してもなかなか判断がつかないくらいのことが多い。まして中学生が高校を選ぶっていうのはもっと難しい。偏差値による学校選びがすぐにはなくならないと思うが、本当に特色化がこれから進んで、地域で活躍し、世界に羽ばたくという方向性をもった新しい人材育成が奈良県の教育の中で進めばよいと思う。
 もう少し特色が出てきたら、自分たちのやっていることを文化祭等で成果として披露する。成果を披露する場としてオープンになってくると、そこへ中学生が行ってみた時に『こんなことしているんだなぁ』と目で見て分かる。高校がそういうことをすれば大変だっていうのはよく分かりますが、オープンキャンパス的なそういったことがないと、特色がどうであるかはなかなか伝わらないし、これから特色ある学校づくりをしようと奈良県の教育でやっていこうという中で、中学生にどうアピールするかっていうことも、やはり必要になってくるのかなと思います。」
○吉田教育長 「二階堂高校のキャリアデザイン科っていうのはどのように発信しているのでしょうか。ホームページでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「ホームページもリニューアルというか、随分手を入れておられると思いますが、先日、高田高校、登美ケ丘高校の3校で30分ぐらいのテレビ番組にて、それぞれの取組を発信されて、更にそれをYouTubeで配信したりされているようです。動画を使うことによって、より分かりやすいPRにもなっているかと思います。また、産業教育フェアに今年は二階堂高校が参加され、会場でその動画も流しておられました。中学生が立ち止まって見るという場面は少なかったと思うのですが、いろいろな形でアピールをされています。
 文化祭につきましては来年、天理駅前のコフフンを使って、生徒の成果発表をしようということで計画を立てておられるようです。学校の中だけでなく、積極的に外に出ていく取組もされているようです。」
○吉田教育長 「例えば、ダブルスクール制度を導入しましたとか、そういったことを学校が様々な努力で全ての中学生に発信できることに限界があるから、県教委としてきちっと表に出さないといけない。だから、これから学校づくりをしていくときに、やはり県として、全ての中学生に周知していくために、正しく発信していく必要はあると思います。特に職業科、キャリア教育の実践を、どのように学校紹介したらいいのか、ホームページを見て欲しい、また学校へ見にいくだけでは分からないこともある。
 今は学校紹介の冊子を中学3年生の学級を対象に配っているだけですか。」
○深田学校教育課長 「いえ、冊子は配っていないです。学校紹介につきましてはホームページ上に載せています。また学校の方に配っているのは、入試に関わっての冊子のみです。なお別途、職業学科につきましてはリーフレットを配らせていただいています。」
○吉田教育長 「発信については考えていかないといけません。」
○花山院委員 「中学校の先生が理解してくれるような状況にならなければ、おそらく進路指導では使われない。中学生が自分たちで見たら見たまましか理解できないので、その授業風景であるとか、どういうキャリアがある等分かりやすくなったコンテンツがあって、それを指導の先生も見て、またそこを受けたいという中学生がいたら、『ここの学校に行くならこういうことだよ』、『ここを見れば少し分かるよ』と指導できる。そういったことが全県の中学校にないとなかなか分かりにくいだろうと思います。
 特色を出そうとするならば必要かとは思いますが、整備するのは大変ですので、難しいですね。」
○森本委員 「それと、地域別協議会での校長先生とPTA会長の皆さんでご協議いただい結果を見ていましたら、特にPTA会長さんの思いとして、特色を(将来)どれだけ生かせるのか、中学校の時にその選択ができるのか、できても、行って間違って3年間ダメになるのではないか等といった懸念があります。そこは先生とPTAの間でちょっと違うと感じました。
 特色を教育委員会として発信して、先生方がそれに基づいて、小・中・高という形で指導されていくと思いますが、PTA会長さんには、そのことが十分伝わりきらずに、生徒のことを中心に、将来的な職業観とか、大学に行く等の次のステップを考えておられる。それからいくと、教育委員会として精一杯にレールを敷いても、奈良県としての方針、方向性、例えば産業・雇用振興部で、国と一緒になって雇用創出の取組や仕組づくり等をしていかなければ、教育委員会だけで、今の特色ある学校づくりだけで奈良を良くしようとなっても上手くいかないような気がします。だから発信も(中学生だけでなくて)県に対して、県も国に対しての発信も並行して行いつつ、特色性を生かしていくというようなことも考えなければならないと思います。
 例えば、職業観でいけば、何故奈良県で仕事をしないのか、それをもっと深く掘り下げていけば、最低賃金制度があります。それは大阪や京都の方が奈良より高い。プラスアルファ、昔は殆ど正規社員しかいないので論議にはなりませんでしたが、今、高校出て働くのにアルバイト、非正規社員がいます。同じところで働いていて、同じ仕事をしていても、大阪へ行けば高い、京都へ行けば高いので、奈良から自動的に外れていきます。
 一例ですが雇用のことも含めて、トータル的な部分でやっていかなければ、教育委員会でいくら良いものを作っても、そのレールにはなかなか乗ってこないと思ったりもします。」
○吉田教育長 「もう1点、実際にPTA会長からいろいろ話を聞いてみて、保護者が例えば、工業であれば就職、普通科であれば進学という、ステレオタイプでものを見ているところはないですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「資料1ページ下から2ページにかけてですが、やはり、そういった考え方が多いのは事実かと感じました。」
○吉田教育長 「実学も含めて学校づくりをしていこうとしているので、考え方や意識について、1月に開催するPTAの研究大会でアンケートをしてもらえませんか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。1月20日に実施される予定なので、それに向けて検討させていただきます。」
○吉田教育長 「そのあたりの意識を確認しておきたい。実際のところ、専門学科でも指定校推薦で大学進学へというのは、かなりあったりすると思います。ではアンケート調査をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長 「分かりました。」
○吉田教育長 「それでは、その他報告事項1とその他報告事項2については承認してよろしいですか。」
※各委員一致で承認
○吉田教育長 「その他報告事項1と2については承認いたします。」

○吉田教育長 「それでは、その他報告事項3『奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理』について、ご説明をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長 「それでは、その他報告事項3についてご説明します。資料『奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理資料』をご覧ください。
 この論点整理の位置付けでございますけれども、これまでの臨時会、事務局内の議論や先の地域別協議会、アンケート集約結果、各学科等のヒアリングでいただきましたご意見を踏まえ、今後の論点を整理したものでございます。今回、この場でご報告をさせていただき、ご意見を頂戴し、次回の臨時会には、基本方針の素案となるものを提示させていただきたいと考えております。基本方針策定に向けた最初のたたき台になるものとお考えいただければと思います。
 それでは、内容をご説明いたします。まず、1として『今後の社会の変化を見据えた県立高等学校の在り方』という項目を立てさせていただいています。ここでは概ね10年ごとの見直しについて、また先ほど申し上げた、前回の再編の時の四つのコンセプトの踏襲、多様な人材育成の必要性等について記述し、最終的に特色化推進という方向性を示しております。
 次に2として『県立高等学校の特色化をより有益なものとするための方途』として、特色化を推進する上での配慮事項を挙げております。これは、先ほどご報告いたしました地域別協議会やアンケート集約で見られました特色化推進への不安を受けて、特色化には、積極的な評価及び消極的な評価の両面があることを明記した上で、高等学校教育の目的にある『進路に応じて』という部分により対応した学校づくりを行うこと、普通科は進学、専門学科は就職という硬直的な見方を打破すること、変化の大きな社会において選択するということの意味が変わってきていること、高校においては、広報の充実や柔軟な教育課程に関する検討が必要であること等の点をお示ししております。
 3の『各学科等の今後の在り方』といたしまして、職業に関する専門学科、その他の専門学科、普通科、総合学科、定時制通信制課程に分けて、今後検討すべきではないかと思われる点について記述しております。(1)の職業に関する専門学科では、専攻科の設置、情報科の整理、福祉科の在り方等を検討の項目として挙げています。(2)のその他の専門学科では、芸術教育の拠点校づくり、グローバル化への対応、理数科の在り方について、(3)の普通科については、コースの検討、(4)の総合学科については、設置校が少ない地域での総合学科設置等による選択肢の確保、最後に(5)については、募集人員の見直しの必要性及びその時期について記述しています。
 4では、県立高等学校の配置に関する考え方をお示ししています。試算では、平成39年度までに約1,100名28学級の減が必要であることを示し、再編と学級減を併せて対応することを記述しています。
 最後に5の『施設設備について』ですが、耐震早期完了と長寿命化計画への着手、さらにはフォレストアカデミー等、県の他の機関との併置等について記載をしているところでございます。
 次のページ以降につきましては、関係する資料を添付しておりますので、参考としてご覧ください。
 以上です。」
○吉田教育長 「論点整理について説明がございました。基本方針のたたき台になる論点整理でございます。ご意見、ご質問よろしくお願いします。」
○花山院委員 「平成30年度と比較して、9年後には28学級減る。これはクラス数ですから、例えば小規模校のイメージで3学年各6学級の18クラス、そこにプラス10クラス程度減るということですね。39年度以降はどうなるのでしょうか。論点整理としてはもう少し先まで考えないといけないのではないでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「最初の1回目の臨時会のところで、概ね10年ごとに今後検討していくというようなことを決定していただきましたので、まずは10年ということでお示しをさせていただきました。もちろん10年後の数年前から、再度検討するということが必要になってくるかと思いますので、あくまでも目安でございます。」
○花山院委員 「この協議会は10年ごとに見直すが、実際にこの協議会で見直そうということになり、結果的に整備された時には既に目標年度の5年後くらいだったりしませんか。10年後を検討しながらも、もう少し先まで見て検討するというのが論点の中に必要ではないかと今、見ていたら思います。」
○吉田教育長 「今10年を見直すということですが、実際にはないと思いますが、例えば次の10年で生徒が増えたらどうするのか。そういうことは30年スパンで生徒の減少、増減等を捉えた上で、この10年をどうするのかと考えないといけない。」
○花山院委員 「恐らくこの論点を外に出したとき、短いのではないかと突かれる。多くを踏まえた10年であると、しっかりとメッセージを入れた方が良い。」
○前田教育振興大綱推進課長 「分かりました。」
○高本委員 「(各家庭において)高等学校の教育にお金をつぎ込むことができるということになってきたら、どうしても、普通科を希望する子どもが増えると思うのです。『3年間でゆっくりしようか』のような考えで。だから、それも見越しておかないといけない。」
○吉田教育長 「高本先生のおっしゃっている普通科というのは、例えば語学を中心に学習する普通科を含むのか、それとも均等に学ぶ普通科を希望する子どもが増えるというお考えでしょうか。」
○高本委員 「このAIの時代になってくると、ロボットのことを勉強したいという子どもが、この10年で増えてくると思います。」
○吉田教育長 「AIまで学ぼうとすれば、高度な情報技術について学ばないといけないので大学の役割です。だから、AIを学ぶ子どもをつくるのか、AIに負けない子どもをつくるのか。高等学校の教育はどちらに行くべきかいうことですね。
 恐らくAIの最先端を学ぼうとすれば、かなり高度な数学が必要になってきます。」
○高本委員 「そのような人が増えてくれたら良いですが。」
○吉田教育長 「それはかなり難しいです。そこまでいくのは本当に一部の人間だけです。その目的をもった普通科があって、志望する子どもが増えればそれで良いですが、とりあえず大学へ行くから普通科に行くというのは、多分これからは通用しないと思います。難しいですがしっかり目的をもつことが必要です。」
○花山院委員 「論点整理案は、よくまとまっていると思います。新しいいろいろなことに対して学校の多様化を図り対応していくために様々な特色をもたせるというのは、方針として正しいし、素晴らしいと思います。今まで学校教育は教育委員会が中心になってくれていましたが、ここには奈良県の地域(との連携)等、いろいろ書いています。例えば、工業科であれば、本県の産業等とより連携した専攻科を設置するであるとか、情報に関する学科では学校と奈良先端科学技術大学院大学と連携する等とあります。私は、奈良県の中にもっといろんな能力をもった人材があると思うのです。例えば、奈良県庁には農林の関係課であったり、国際課、国際芸術家村整備推進室等いろいろできたりしていて、そういう人材は今までは県の仕事をして教育関係とはある程度一線を超えないような状況にあったと思います。学校がより多様になる中でそれぞれの特色出すために必要なものが県庁には全部そろっていると思います。そういったものの協力、知的な人材の交流によって、全県で、県庁で子どもたちを育てていくというものもあって良いのかなと思うのです。
 具体的にどういう形になるかは難しいですが、例えばこの間も農業大学校の後に『なら食と農の魅力創造国際大学校』ができましたが、そこと(磯城野高校の)パティシエコース、シェフコース等がつながっていく。そういう部分があって、特色を県全体が支えていく構造が新しく生まれても良いのではないかと思います。
 私も教育現場にいましたが、どこかの企業の人を呼んできて、ちょっと話をしてもらうことはあっても、県の専門の人が来て教えてくれるというのはあまりありませんでした。
 そういったことも論点整理の中で見せてもらえたらと思います。」
○吉田教育長 「時々、官と学校が、何か頼まれる等によって定点でつながる。今おっしゃっているのは継続的にということですか。」
○花山院委員 「知的な(財産を)、一番もっているのがこの県庁。県という組織。奈良県の中では大企業で一番事業規模が大きい。」
○森本委員 「各学科等の今後の在り方のところで、一番下に理数科における中高一貫教育のスーパー・サイエンス・ハイスクールについて書かれていますが、素晴らしいことで、未来的にも良いと思いますが、このようなことは中高一貫でしかダメなのでしょうか。また、他のことも含めて、中高一貫で奈良県として県立で作っていくということを目指すのは無理ですか。分からないので教えてください。」
○吉田教育長 「無理ではないです。極端にいえばバカロレアはそうです。中高一貫でバカロレアを目指すと、それを私学が担うべきか、県立で担うべきか、その点、議論が必要でしょう。今多くの各府県でその議論がされています。」
○森本委員 「普通科との併設校については、普通科理系との関係を整理することが考えられるとありますが、これはどういう意味ですか。」
○吉田教育長 「これは奈良北高校ですね。奈良北高校に理数科があって、普通科がある。個別の話ですけども、今、理数科を設置しているのは青翔高等学校と奈良北高等学校です。青翔高等学校は、理数科単独の高校だったので、理数科といいながらも、文系的な社会科学等の方へ進む生徒にも対応できるようにはしています。一方、奈良北高校に作った理数科は、完全に理科系の進路をとる生徒のためのもので3クラス作ました。残りの6クラスは普通科で、その中にも2年生の類型選択の時に理系を選ぶ生徒もいます。この理数科と普通科の理系をどのようにすべきか。極端にいえば、理数科を2年から作れるのかどうかとか、そういったことの整理ですね。」
○森本委員 「それと、先ほど申しました、中高一貫を作っていくということはいかがでしょうか。」
○吉田教育長 「検討していきます。」
○森本委員 「今後は小学校から英語教育も入ってくるし、10年間の間隔も広がっていく可能性もありますね。」
○花山院委員 「先ほど森本委員がおっしゃったように、地域の人口分布によるとどうしても学校が北部に偏ってしまう。それをどのようにバランスをもって奈良県全体のことを考えていくのかは、すごく大きな課題だと思うのです。子どもたちにも分かるような感じで、地域をばらけたイメージのものを、特色化の中で何かあれば良い、そういうことを目指していくと思うのですが、いかがでしょうか。」
○吉田教育長 「その最大の要因になっているのが、要するに普通科高校への偏差値による進路指導。普通科の在り方について見直すべきと考えていますが、前田課長はどうお考えですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「普通科の在り方の問題というのは大きいと考えています。南部・東部の生徒たちが地域の学校でも選択の幅を広げられるようにという意味で、普通科の中身をどのように変えていけるかということを検討したいと考えております。」
○吉田教育長 「実際にある学校で、地元の中学校から1割程度しか地元の高校に行かないという実態があったと思います。普通科志向の中で、学力層が狭い幅で固定されてしまう結果生徒が集まりにくい。このことは、他の地域の高校に行くといった流れにもつながっている。高校が地元の中学校とどのように連携するのか非常に大きいと思います。コミュニティスクールを高校に導入しているのも、中学校としっかり連携をして、中学生に地元の高校の良さを伝えてもらいたいため。企業もそうです。奈良県にも良い企業がいっぱいあるのに、高校生はそれを知らない。身近にあるものをなかなか知ってもらえていない現状を打破するということをしていくべきかと思っています。
 それから、2番目の項目に『有益なものとする』とありますが、特色化をより有益なものとするというのはどういう意味でしょうか。言葉も含めて考えていただきたい。また1番目に『社会の変化を見据えた』とありますが、視点を子どもに置いたときに、その言葉はどうなのかと思います。特色化が子どもにとってどうあるための方途となって欲しいと思います。」
○吉田教育長 「どうですか。ご意見はこれからも、基本方針検討の中で述べていただくことになると思います。
 それではご意見がないということで、その他報告事項3については承認します。基本方針に向けての意見を集約して欲しいと思いますので、よろしくお願いします。
 それではこれをもちまして、本日の臨時会を終了します。」