日本最古の私設の薬園 をつくった森野藤助

森野旧薬園

今回紹介するのは、国の文化財史跡に指定されている宇陀市の「森野旧薬園」

こちらは、日本最古の私設の薬草園 として知られている場所です。
そしてこの薬園を作った初代森野藤助(もりのとうすけ) とは一体どんな人物だったのかを紹介します。




古いまち並みの中にその薬園はあります

森野吉野葛本舗

森野吉野葛本舗

ここに店を構える森野家がおよそ250年の間維持してきた歴史ある場所です。



 

森野吉野葛本舗 森野旧薬園の森野燾子(てるこ)さんにお話をお聴きしました

森野燾子(てるこ)さん

 

森野旧薬園についてお伺いしたいのですが
森野:江戸時代にできたままの薬草園がこの裏山にあります。
現在も250種類ほどの薬草があり、なかには珍しいものもあります。









こうした薬草は、もともと自然の中で自生する山野草で人間の手が入らないとすぐに荒れてしまうといいます







キキョウ


ヤマトトウキ





この森野旧薬園で薬草の世話をされている原野悦良(えつろう)さんにお話をお聴きしました

たくさんの種類の薬草があるとお聴きしたんですが
原野:そうですね、250種類と言っているんですけど、細かく分けると約500種類ほどあるんです。

それぞれの植物の独特の個性がありますので、そのあたりを見極めていくことが大変です。
野菜だと、データ的にいろいろノウハウが確立されてるんですけど、薬草は多種多様で、温暖のものがあれば寒暖のものもあります。
土壌も酸性、アルカリがありますので…そういう気候風土がそれぞれが異なります。

この薬園を何百年と維持してきた実績は大変なことだと思っています。









こうした知識を代々受け継いできた森野家には、薬草栽培に関する貴重な資料が保管されていて訪れた人に公開しています

資料館

資料館

森野賽郭

この像の方は?
森野:森野賽郭(さいかく)と申します。幼少の頃から非常に薬草や山野草に興味をもっておりました。

というのも、宇陀の地は万葉の時代に推古天皇が薬狩りをしたという記録も残っておりますので、当時は周りに薬草などがたくさん自生していたので、興味をもって勉強をしていたと残された古文書からもわかっております。


 
宇陀の景色

家則


森野:当時は、八代将軍徳川吉宗の時代で、幕府はそれまで高価な漢方薬を輸入していたんですが、一般庶民の手に渡りにくいという事で薬草の国産化政策を幕府が進めていたんです。

少し詳しく話しますと、この大和地方に植村左平次(さへいじ)という幕府の採薬使(さいやくし)が派遣されたんですね。

賽郭が若い時から薬草に非常に詳しいということはうわさになっていたようで、その当時の代官のすすめもあり、この大和地方のずっと南の方の深山渓谷を一緒に回る旅に出たわけです。
今でもなかなか行きにくいところだと思うんですけど、そういうところに薬草がたくさんあるんです。




深山渓谷

森野:大和だけに限らず、伊勢や伊賀、近江、越後の方まで珍しい薬草を探していって、幕府の薬草の国産化政策に貢献したわけです。
その貢献した報償として、日本では手に入らない珍しい薬草を幕府からいただいたので、それをきっかけに自分の家の裏山に薬草園を開いたという記録が残っています。





森野旧薬園を作ったのは藤助(とうすけ)さんではないのですか?
森野:藤助という名はこうした功績をたたえられ賽郭が幕府からいただいた名前なんです。
その後、代々襲名することになりまして、森野家の当主が受け継いでいます。

亡くなった主人で10代目で、息子がいるんですがまだ襲名していません。近々受け継ぐ予定です。




長い歴史を感じますね。薬園を維持するのは大変だったのでは?
森野:薬草は生きたものなので、貴重なものほど栽培が難しいんです。

一番大変だったのは、江戸時代から明治に時代が変わる時期で、外国から即効性のある洋薬が入り、薬草園も廃れそうになった時もありました。

漢方薬はじっくりと効いていくという良さがこのごろ見直されているという時代に入ってきたかなと思っています。





貴重な薬草の栽培技術を確立していった森野初代藤助賽郭は、晩年薬園内に建てた桃岳庵(とうがくあん)で薬草の研究に没頭しました

桃岳庵(とうがくあん)

松山本草(まつやまほんぞう)

その中で賽郭が残したものが薬草について詳細に記された手書きの図鑑「松山本草(まつやまほんぞう)」です。 




すごく色使いがきれいな本ですね。

松山本草(まつやまほんぞう)

森野:これは本物ではないんですけど、森野賽郭が約20年かけて描いた植物・薬草図鑑なんです。
250年ほど経っているんですが、ほとんど色は変わらずにそのまま残っております。

当時としては、色付きというのはとても珍しく、先駆け的なものかと思います。






これはちなみにどなたがレプリカをつくったんですか?

森野さん

森野:約2年前に大阪大学の薬学部の高橋准教授がレプリカとして再現してくださいました。






本物もあるんですか??

森野:本物は、松山本草全10巻として秋に森野賽郭の没後250年ということで展示します。


森野さん


初代藤助である賽郭が残した森野旧薬園。
そして貴重な薬草栽培の技術はこれからも受け継がれていきます。 




森野旧薬園

奈良県宇陀市にある、現存する日本最古の私設植物園。
1729年に森野初代藤助通貞(号:賽郭、1690~1767)により創始され、八代将軍徳川吉宗が推進した薬種国産化政策の一端を担った。
当時の薬草の資源情報に関して、豊富な書物(松山本草)を後世に伝えている。
約250種類の薬草木が四季折々に来園者の目を楽しませている。



 

「森野藤助没後250年記念事業」を開催するため、インターネットで寄付を募っています

奈良県庁が2017年に1月に森野藤助没後250年記念事業として奈良と東京で講演会を実施するため、クラウドファンディングで寄付を募っています。

森野藤助賽郭が拓いた日本最古の私設植物園から奈良の地域産業を盛上げたい!
「知る!考える!創る!」」と題し内容は、貴重な生薬国産化へのキーテクノロジーとなる栽培技術やその資料の有効活用、また講演会を開催し薬草を知る機会、考える機会、創る機会につなげるというものです。

期間は8月31日まで
90万円を目指して寄付を募集しています。
寄付は500円から行えます。

また、寄付をしていただいた方には金額に応じたオリジナルギフトの特典などもあります。

詳しくは下の寄付ページへアクセスしてみてくださいね。



寄付金募集ページ

http://japangiving.jp/p/4483










(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課
放送制作係 辻本
電話番号 0742-27-8056

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