- 「どこまでが『しつけ』で、どこからが『虐待』?」
- 「このしかり方で大丈夫なのかな…」
- 「言うことを聞いてくれない子どもにイライラしてしまう…」
など、子育てについて悩んでいませんか?
今回の記事では、
奈良県庁こども家庭課の長谷川主任主事にインタビューしながら、「しつけ」と「虐待」、子どもとの関わり方についてお伝えしたいと思います。

奈良県庁こども家庭課の長谷川主任主事
正確にはどういうことを「虐待」って言うんでしょうか? 叩いたり蹴ったりすることのイメージが強いんですが。
長谷川:体を叩いたり蹴ったりする暴力は
「身体的虐待」といいます。
他にも
「心理的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」の3つがあります。
「ネグレクト」ってなんですか?

長谷川:子どもに食事を与えないとか、車の中に放置したり、身体や服を不潔なままにしたりすることです。
あと、子どもを学校に行かせないとか、子どもだけを家に残して保護者が夜に出かけることなども「ネグレクト」になります。
そういったことも虐待になるんですね。
長谷川:はい、子どもを安全に守ることができない状態で放っておくことも「虐待」になります。
「しつけ」と「虐待」の違い教えてください。
長谷川:「虐待」は大人が自分の感情にまかせて子どもを力でコントロールしようとすることです。

長谷川:「しつけ」は、保護者が感情にまかせて子どもをコントロールすることではなく、子どもが自分で自分の感情や行動をコントロールできるように落ち着いて教えることです。

長谷川:「児童虐待」という言葉は、「残虐な扱い」とイメージさせますが、英語では「Child abuse(チャイルドアビューズ)」といい、「アビューズ」は、「誤用・濫用」という意味です。大人が子どもに対して「力を濫用する」というイメージですね。
小さい子どもがなかなか言うことを聞いてくれなくてイライラしてしまうこともあると思うんですが。
長谷川:子育てをしていたら、イライラしてしまうのは特別なことではなく、よくありますよね。
自分なりの気持ちの切り替え方ができるといいですね。
上手なしかり方を教えてもらえますか?
長谷川:子どものためを思って叱っていたはずなのに、子どもを傷つけることになっていたらお互いのためにならないですね。
「○○しなさい!」と保護者の立場で言って聞かせるのではなく、
「同じ目線」「子どもの立場」で考えながら言葉をかけてあげてください。
長谷川:子どもが良いことをしてくれたとき、手伝ってくれた時は、すかさずほめることが大切です。
また
「ありがとう、助かったよ」と
感謝の気持ちを伝えることで関係がよくなるきっかけにもなります。
ほめることだけでなく、感謝を伝えることも大切なんですね。
長谷川:子どもが自分で社会生活を送れるように導くことが「しつけ」です。
どんなに子どものことを思っていたとしても、子どもの心や体を傷つけるような教え方はしつけとはいえません。
感情のままに子どもを責めないためには、まずは保護者であるご自身を責めないことが大事です。
核家族が増えているので、周囲の人の関わり方も大事だと聞いたんですが。

長谷川:子育てをがんばらなきゃと思ってひとりで抱え込んでつらい思いをしている方もいると思います。
「おはよう」や「こんにちは」とあいさつを交わすことや、さりげない一言、例えば「何かあった?」「大丈夫?」などの声かけで気持ちがラクになることもあります。
人に話を聴いてもらうだけでも、気持ちがラクになったりしますよね。
長谷川:最近はSNSなどにも情報があふれているので、人と比べてかえって不安になってしまったというような話もききます。
「知り合いには相談しにくいな」というときには、市町村役場の子育て相談窓口に相談してみてください。
相談しても「叱られる」「相手にされない」と思いがちだと思いますが、困っているあなたに「温かい手」を差し伸べ、一緒に考えてくれる人が対応してくれます。
市町村役場の子育て相談窓口一覧のページに移動する
「心配な子どもがいる」という場合は、どこに連絡すればいいんですか?
長谷川:奈良県の場合は、こども家庭相談センターへお電話ください。
- 中央こども家庭相談センター
電話番号:0742-26-3788
- 高田こども家庭相談センター
電話番号:0745-22-6079
お住まいの市町村役場の児童福祉担当課に連絡をいただいても大丈夫です。
また、全国共通のナビダイヤルもあります。

長谷川:「189」(いちはやく)へお電話いただくと、ガイダンスがあり、お近くの児童相談所へつながります。
奈良県の場合は、さきほどのこども家庭相談センターです。

心配な子どもがいても、連絡するのはついためらってしまうこともありますよね。
長谷川:子どもが自分から周囲の人や相談機関に話してくれることはあまりないので、周りの人が気づくことがとても大切です。
「心配な子どもがいるので、行ってしらべてみてください」とお電話ください
連絡があったら、担当職員が子どもさんの安全を確認します。
連絡をいただいた方の氏名やお伝えいただいた内容は、固く秘密が守られます。
長谷川:連絡で救えるのは、子どもだけではないんです。
保護者も心の中では誰かに止めてもらいたい、助けてほしいと思っていることもあります。
あなたが虐待に気づき、行動することは、保護者を助けることにもなります。
最後にこの記事を読んでいるみなさんに一言お願いします。

長谷川:虐待は特別な場所で、特別な人だけにおこる問題ではありません。
どこでも、だれにでも起こりうる問題です。
みんなで、子どもと子育てしている家庭を温かく見守る地域、奈良県へ!
この問題に関心を持って、 みんなで子どもたちの笑顔を守りましょう。


11月は、児童虐待防止推進月間です。
今回のインタビュー先
奈良県庁こども家庭課(クリックすると課のホームページに移動します)
(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課
放送制作係 辻本
電話番号 0742-27-8056