iJAMP-時事通信社- オピニオン寄稿(2016年12月5日 掲載)
         「このくにのかたち」を考える(その16)




1.グローバル化時代、日本は立ち遅れている

 わが国は、生活の質の確保、社会保障の充実の面では、世界の最先進国となりましたが、経済効率化の面では立ち遅れが目立つようになりました。

 1990年から2015年の25年間の日本の名目GDP(国内総生産)の伸びは、ほとんどありませんでしたが、ドイツ、仏、英は2倍程度、米国は3倍、インドは6倍、中国は28倍になっています。1人当たり名目GDPの2015年のランクは26位です。また、日本の労働生産性のランクは21位です。どうしてこのように立ち遅れてしまったのでしょうか。

2.日本の立ち遅れの原因は?

 この間、世界ではIT革命とグローバル化が同時並行的に進行しました。IT技術の活用により、部品のモジュール化が可能になり、製品は国境を越えたアウトソーシングにより完成させることが当たり前となり、グローバルなサプライチェーンが形成されました。

 わが国は、このようなIT革命とグローバル化の進展による世界の生産構造の激変に乗り遅れてしまったのではないでしょうか。

 それでは、そのような乗り遅れの要因となったのは何でしょうか。それは、この生産構造激変に対応できる経営人材が、労働力という、経済資源を十分用意できなかったからだと思われます。

3.わが国では、雇用構造の変革は難しい課題。どのように克服するのか

 これまでの日本の雇用慣行は、メンバーシップ型で、従業員の解雇が困難で、採用後のOJTで人材育成をするのが特長でした。このような雇用慣行は、日本の経済成長を支えてきましたが、経営組織、人材をモジュール化し、生産の効率化を図ろうとする時、うまくいかない結果となりがちです。経営人材の社会移動が困難なため、製造工程の一部をアウトソースして効率化を図ることが難しく、社内に非効率生産工程部門をかかえてしまいがちです。また、そのような部門は非正規職員で埋めようとされがちです。

4.立ち遅れ克服のためには、「働き方改革」が必要

 非効率部門を社内で温存し、時には、そのような部門を非正規職員で埋めるやり方は、社員の雇用維持を最優先課題としてきた日本企業の社風の反映です。雇用の安定という社会保障の大事な部分を会社が担い、社会の安定にも役立ってきました。

 しかし、今、グローバルな競争にさらされ、会社全体が低収益化し、賃金がアップせず、会社全体の士気が上がらないといった会社が目立ってきています。国全体にとってみても、中間層が形成されず、消費が低迷し、経済が活性化されない状態が続いています。これが、これまでの日本の経済の立ち遅れの要因だと思われます。日本経済が立ち上がるにはどうすればよいのでしょうか。日本の最大の資源は人材です。人材を活用するしか、日本の活路は見いだせません。「働き方改革」の実行が今必要だと思います。