平成29年12月14日(木)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、決定・公表を予定されております平成30年度与党税制改正大綱に係る知事のコメントを発表し、それに対する質疑をまず最初にさせていただきたいと考えております。

 では、知事、よろしくお願いいたします。


平成30年度与党税制改正大綱について

知事:
 お手元に急遽、資料配付させていただきました。与党税制改正大綱の決定が、今日の15時目処だと聞いていますので、このコメントも、その決定・公表後、解禁ということでお願いします。書いてあることですが、改めて簡単に申し上げます。

 最初のパラで申し上げたかったのは、今回の税制改正大綱で地方消費税の清算基準ということにつきましては、抜本的な改正であると思います。これまでの経緯で、本県が言ってきたことは、最終消費の実態を適切に反映してほしいということです。消費税ですので、消費地に帰属ということ、販売統計で消費地に帰属させるのは無理な部分があるのではないかということを再三再四申し上げてきました。消費統計というのはなかなかつくりにくいものなので、販売統計で消費地確定というのは難しい面があるということを再三再四、具体的に申し上げてきました。乖離が激しいことがだんだん分かってきたので、その部分については、より実態に近い人口統計、人口の比率でやってもらうという案を出しました。人口比率は消費そのものではないが、統計的に見ると消費の実態が人口で代替すると、消費の実態により近い、今の販売統計よりはるかに近いという項目が幾つもわかってきたので、それを除外して人口に置きかえるということを言ってきました。

 今回は、経緯を引っ張っておりました従業員比率の廃止が実現します。それから、具体的な項目を実態を調べて除外されます。その結果、人口代替が、結果的に50%にきれいになったと思います。これは今まで言ってきたことがこのような形でドラスチックに決めていただいたように思いまして、本県の立場からは意義深いことだと思っています。また、政府・与党の方がよく頑張られました。総務省の自治税務局です。作業されて具体的にまとめられたことを感謝したいと思います。

 その次のパラは、消費地に還元という配分清算基準がはっきりしたんですけども、どのように還元するかという点ですが、新しい経済政策パッケージというのは、消費税率引き上げをある程度見越して使途の変更ということですが、その使途の変更の中で社会保障のために使うとともに、教育にも使おうと、使途の変更も踏まえて、そういったことを国のほうで言われていますので、増収分は教育予算の充実の形で反映させることを考え始めています。来年度の予算編成にどのように反映できるか、具体的にはまだこれからですが、考え始めています。

 また、今回の税制改正大綱では、地方法人課税についても、これは規模ははるかに消費税よりも大きいわけですが、偏在性も高いわけです。これにも31年度税制改正において結論を得るということが盛り込まれています。これは奈良県は具体的な提言をしてませんが、大変影響の大きい分野です。31年度税制改正に向けた議論は期待しているところです。

コメントの説明は、以上です。

 あと、資料がありますので、簡単に説明したいと思います。

 最初の資料は、販売統計は消費の実態から外れているということを言っていたら、その外れていると認定されたのがこのような項目です。持ち帰り消費が多いと販売地と消費地が違ってくるのではないか。衣料、家電大型百貨店などは持ち帰り消費が多い。比率の関係で多いと言われているものです。

 自販機などは、そこで飲まれる方も持ち帰る方も、持ち帰りよりも問題は、自販機の販売が本社で一括計上されて、どこで飲まれたか全くわからない。売上額を本社で一括計上して適当に消費地、販売地を書かれているというのがわかりましたので、自販機による販売とか、その下にあります建物売買業などは、不動産業です。売上高は本社に一括計上されているという実態が明らかになってきました。

 3つ目は、非課税取引の販売を計上しているというもの。これは割と大きいです。医療、福祉、これを除外して人口統計にしようということです。そうしますと、この統計を販売統計から除外しますと、参考に書いてありますように消費税の課税ベースは295兆円ですが、この統計を除外したら148.5兆円になるということで、約半分除外する結果になったということです。統計から外したのは、人口のほうが消費の実態に近いということがわかっていますので、そのようにされたというのがかいつまんだ話です。

 その次のページは、現状の清算基準と、新たな清算基準の違いを図示しています。統計カバー率が現状は75%でしたが、それを除外いたしまして、先ほど申し上げましたように除外されたのが295億円の約半分が、結果的に除外されました。商業統計の除外が117億円から96億円、サービスが85億円から48億円ということです。その結果、販売統計でカバーする率は5割で、その残りは人口でやって、なお従業者数は経緯を引きずっていましたので、その経緯が料飲税の経緯ですが、それがなくなったのでこの際、除外となり、奈良県税調が主張してきた、その筋のとおりですので、そのとおり結果的にしていただいたことはうれしいことだと思っています。

 あとは、奈良県にどのくらい来るのかというのを書いてますが、大体現時点での県独自試算で30億円台半ばと試算をしています。消費税率を10%に引き上げ後は、40億円台半ば、それを地方消費税は按分して市町村に人口配分で行きますので、ここに書いてありますように18億円程度ということです。留保されない分は交付税の減額措置がありますので、さらにネットは減額されますが、自主財源ということですので、県債発生額の抑制、また国のほうでの財源調整になると思いますが、臨時財政対策債を発行して後で支払うよというのもやめて、交付税の割合が多くなる可能性があります。財政力指数も向上いたしますということで、筋を通していただいたのをありがたく思っているところです。

 説明は、以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、この件に係る質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

平成30年度与党税制改正大綱について

読売新聞:
 これはかねがね知事がおっしゃっていたことだと思いますけれども、大体いつぐらいからこの話を、要は清算基準がおかしいというのを主張されていたのはいつぐらいからの話ということ。

 それからこの奈良県に増収効果が当然見込まれるわけですが、その理由というのは、つまりこれも奈良県の問題でありましたけど、県外消費が多くて人口の割には県内の消費が少ないから、要は持っていかれていたものを人口比率になるとそれがその分上がって、最終的に増収になるという認識でいいか。

知事:
 そうですね、2番目の質問で、県外消費が多い奈良県だからということですが、いつごろから気がついてこういうことを言ってきたかというのは、もう随分前だと思います。民主党の政権になる前でした。それは統計上、奈良の世帯当たりの消費は全国3位か4位です。世帯当たりの消費。ところが、消費税の配分額は44位とか45位。どうして1人当たり、人口当たりでどうしてこんな差があるんだろうかと不思議に思っていろいろ調べ始め、すると偏在というのが見えてきました。消費税の偏在ということが見えてきて、偏在の原因は何かということを探り出して、奈良県の消費は大阪で買われることが多いということがわかった。大阪で家電とか、よく例に出したが、パジャマや布団は大阪で買っても、配達される、奈良で消費されるでしょうと。それは除外してもらわないとといったような、ちょっと例をとったシンボリックな陳情をしていました。

 陳情は随分前からいたしました。総務省に陳情して、そのしばらく後で民主党の時の川端総務大臣にそのようなことを言ったら、いや、荒井さんの陳情はよく聞いているよと、その時点ではおっしゃっていたので、そういうような印象、記憶にありますけれども、そのようなレベルの陳情をしてきたので、あまり統計を根掘り葉掘り調べて、こういうふうにおかしいじゃないかということを今回ほど、県の税調でやっていただいたほど念入りにはできなかったが、多少、家電とか大型家具とか例を挙げて、奈良県人は県外で買っている率が高いですよと。ほかの県もそうじゃないですかというようなことを言ってきた。

 それがだんだん調査が進んで、奈良県税調で調査をし、県が調査をして、奈良県税調、税制調査会で具体的に言ってもらって、それをぶつけ始めたことです。

 ぶつけ始めたのは去年ですが、菅官房長官に2度ほど会わせていただいて、こういうことを考えてますよということを申し述べ、去年と今年で1回ずつ申し述べる機会がありました。

 昨年の12月の税制の大綱が決まる直前に会っていただいて、今年の9月に2回要望に伺いました。で、県の考え方をご説明申し上げましたら、よくご理解されておられました。もう私以上によくご理解されていましたので、ちゃんとやるよというようなことでした。

 また、やはりそういうことをやっていただくのは自治税務局ですので、税務局長のところにも再三伺いましたが、今年は10月ごろに伺いました。その時点で県の提言を受けとめてちゃんと見直しますよということは言っていただいてたのですが、この税制は政治的な判断がありますのでどうなるかと思っておりましたが、そのとおりやっていただいたというふうに思います。

NHK:
 コメントも出していただいていますが、知事が長年提言してきたことがこのように形として示されたことへの今のお気持ちというのを改めてお聞かせいただきたい。

 常日ごろ知事はこういったことを、目に見える形で県民に示したいと、おっしゃっていたかと思いますが、今回この30億円台半ばの増収ということが見込まれるということで、具体的にどう活用したいかというところを今の段階でわかれば。まず、お気持ちからお願いいたします。

知事:
 そうですね。最初申し上げましたように、清算基準の見直しが必要でしょうということを言ってきたのですが、具体的にこのような形になって、何度も党の税調の方々、税務局へ足を運びましたが、このように本当に具体的にしていただいて、彼らがすごいなといいますか、このようなことをできるんだということを思います。これは奈良県の利益のためでなくて、陳情とはまた違う。税制を納得のいくようにしてくださいということを言ってきて、奈良県も、もちろん利害関係がありますが、消費税が上がっていく中で、しかも社会保障に使うというときに、地方消費税の配分が理屈に合わないことがあると納得感が出ない。社会保障のために増税するのに、配分に理屈に合わない差があると困るということを言っていて、それを酌んでいただいて、納得感のある税制をしていただいたというのが何よりもうれしく思っています。気持ちの面ではそうです。

 あと、使途が多少、増えるわけですが、それをどのように使うかということですが、社会保障に本体はずっと使っていくわけですが、さらに政策パッケージで教育という面が出てきました。教育は、高等教育、就学前教育、いろいろあります。

 あるいは奈良県の教育の課題も税源があれば使いたい項目も多少あるので、それを来年度の予算編成過程で練っていきたいと思います。使える規模もそんなに多くないので、それで使えて目に見える形になるように練っていきたいと思っています。

時事通信:
 先ほどの話の中で、菅官房長官に要望に行かれたということですけれども、いつごろなのか。2回行かれたのか。

知事:
 去年12月の、去年の税制大綱が出る少し前だと思います。そのときに、官房長官はすごく内容をよくご存じで、税務局長に何度も議論をしたとおっしゃったので、その時点ではびっくりしました。県の要求もそのシチュエーションもよく理解されてまして、偏在是正という理屈の合わない面はちゃんとすると。そのときに、去年で大きかったのは、抜本的改正を今年度やるという項目が入ったこと。去年は多少変更がありましたが、それでは不十分だと思っているとおっしゃったのが大きかったと思います。だから今年度の抜本改正どうするかということにつながったのだと思います。その抜本改正の内容がこのようになってきた。一時は、そうですね、もう党の関係者の意見では、全部人口基準にしてもいいじゃないかと。私もドイツみたいな例もあるということを言っていましたが、地方消費税は譲与税ではないという意思表示を求められていたので、5割という形も大変要求があったのではないかなと思います。

時事通信:
 これからの話ですが、県は統計改革の結果が、販売統計がさらに荒っぽくなることを恐れて、もともとは60%でいき、80%もということを主張されていたが、そのあたりは今後続けて要望しますか。

知事:
 地方消費税の人口比率増、販売基準除外というのが、今後あるかどうかですが、統計が抜本的に改正される可能性もあります。

 商業統計とか物販統計がさらに統計自身が荒っぽくなってくる。すると消費地を判断できるかどうかますます分からないという項目が出る可能性があります。そのようなことが目に見えてくれば、さらに判断していただくということはあると思います。現在での販売統計の把握の実態から判断すると、そこそこしていただいたというふうに思います。今後の販売統計の簡素化とか、きめの荒さが出てくると、そういうことも期待したいと思います。

 60%、80%と言っていましたが、そういう荒っぽいところがあるなということ、しかも将来のことを見越してと入れてた面もありますので、現在では50%で大変立派な成果だと思っています。

時事通信:
 法人二税の話もここに出されていますが、こちらは確か法人税の収入もかなり下位だった。

 1人当たり法人税は、最下位ですね。このあたりもちょっと県としても提言、要望等々を未来に向かってされていくのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

知事:
 今までしてましたが、法人二税は消費税と違って、消費税は地方消費税の清算基準だから理屈ははっきりしましょうと。

 法人二税は、経済の実態を反映すると東京都に集まり過ぎてますよと。それを法人二税を譲与税で判断すると、配分しようということが基本、特別税とか譲与税という、これは譲与税は政策配分であろうかと思いますので、これはどちらかというと理屈よりも政策の面になると思います。法人二税も、これは人口割で平等にしろという理屈はすぐに立ちませんが、偏在是正、経済活動がいろんな国の形の結果、東京に集まってしまう。本社が多いとか、いろんなことの結果で集まって本社に計上されて、経済の実態は地方にあるわけで、従業員割りなど、色々な譲与税の配分基準はできてますが、地方の工場で生産をして働いているが、法人税は東京で納められる、本社があるからというような実態をどう見るかということになります。地方消費税ほど理屈ではっきりと判断できない面もありますが、これは実質的に譲与税的に今まで配分されておりましたので、東京都との関係で政治的な状況があろうかと思います。

 譲与税の配分は、各地方の知事はすごく熱心に言っておられる面ですが、知事会でそういう意見があると、東京都の副知事が出てきて、何をけしからんと何度も言っていましたので、知事会の中では大いに議論が分かれるところであります。国のほうで、地方を元気づけて経済も持ち直そう、地方で働き場をつくって、給与を上げて、国のバランスをとろうという、国全体に大きくかかわる話かなと思います。東京都とか大都市の経済が伸びると、経済の中身自身で地方が潤うというトリクルダウンという考え方がなかなか実態になってないというのが一つの判断のもとだと思います。これについても期待したいと思います。

日経新聞:
 教育の分野ですが、先ほど高等、幼児教育とおっしゃった。もう少しだけ具体的に教育を今の段階でどんなイメージをしておられるんでしょうか。

知事:
 教育分野の奈良県の課題は幾つかありますが、今まで全体になっては、国も直接、力を入れてきたわけですが、保育、補助金的には企業型保育に補助金を出すとか、あるいは教育の中で高等教育はまだちょっと難しい面もあります。高等教育とか、あるいは文化芸術の奨励とか、特に大きなもので私立学校授業料、高校授業料無償化といったようなことが課題でありました。

 奈良県のプロパーといいますか、特異なものは、空調の話、それから耐震化の話、設備的な話もありました。大きなあれでいけば、私立高校の授業料、空調化、耐震化みたいなものがテーマとしてありました。私立学校の無償化は国のほうのパッケージの中でも入ってきますので、このような予算規模ならば、そういった課題に新しく、多少ですけど、増える財源を使っていくというようなことを考えたいと思います。

日経新聞:
 地方にも18億円程度回ると思うんですけど、財政の厳しい市町村も多いと思うが。

知事:
 よかったです。市町村と一緒にしましょうかということも一つのテーマになると思います。来年度予算に向けて、市町村とちょっと協議をすることもあろうかと思います。県・市町村の政策パッケージというようなことかもしれませんけども、一緒に同じ方向でお金を使いましょうというようなことはあろうかと思います。

日経新聞:
 財源の使い道については、市町村ともよく協議してということか。

知事:
 そうですね、地方消費税の増収分どうしましょうかということを協議して使うことになればと思います。

毎日新聞:
 念のために確認ですけど、私立の無償化は国のほうで話をしているけれども、県としては今の空調とか耐震化の設備面のことも検討したいということでよろしいですか。

知事:
 そうですね。私立学校無償化は国のほうが大分対策が出てまいりましたので、それと調和するという面があろうかと思います。空調のほうは、各県それぞれやっていて、奈良県は遅れているという面もありますので、県立高校の空調、あるいは市町村が管理をされている中学校・小学校の空調、あるいは私立学校の空調とか、そういうものに、全体のバランスもあるので協議、協調が要る分野ではないかというふうに思います。

 できればそういう方向で進むことであれば協議をして進んだほうがいいだろうというのは、先ほど申し上げたことです。

司会:
 本件につきましてはよろしいでしょうか。
 それでは、ここで1件、知事から報告がございます。ジャポニスム2018に春日のおん祭が出演することにつきましてです。知事、よろしくお願いいたします。

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ジャポニスム2018の出展について

知事:
 口頭になります、資料がないので申しわけございません。ジャポニスム2018というプログラムが国のほうで進んでいます。それに参加するということで、ジャポニスム2018には仏像の展示と、河瀬直美さんの新作映画封切りにあわせて、おん祭りのお渡り式、また舞楽、能を来年秋にパリに出演、出陣する方向で話が進んでおりますので、ご報告させていただきたいと思います。

 全体のお祭りのパリジャポニスム展示はまだ最終発表がありませんので、口頭であれば報告可能と内諾を得ましたので、明日からおん祭りが始まりますので、口頭プレゼンさせていただきました。そういうことで、政府が主催されますジャポニスム2018の一環で出展になります。

 スケジュール的には、来年7月に開会式があります。これは安倍総理とオランド前大統領の約束で、安倍総理も行かれるかと思います。その開会式には河瀬直美さんの新作映画が封切られるということが一つ固まっております。来年の秋ごろにはこのおん祭りが出陣するということになります。また、再来年の1月に、ギメ東洋美術館で興福寺の国宝の金剛力士像と重文の地蔵菩薩像の展示が行われます。ジャポニスムの中でのプレゼンス、存在感が増すと思います。奈良のイメージ、ブランドをアップできる、奈良はパリ、フランス人の方に大変印象深く来ていただいてますので、さらに大きなプロモーションになると思います。

 今申し上げましたおん祭りの出展は、採択審査中でございまして、全体は改めて詳細が発表されると聞いています。おん祭りが内定段階にあることは口で言っていいということでしたので、おん祭りの前日ですので、報告させていただきました。以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 本件にかかっての質問はございますでしょうか。

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質疑応答

ジャポニスム2018の出展について

時事通信:
 おん祭りの出展とは、現地でどんなことをされるんですか。

知事:
 明日からおん祭りが始まりますが、お渡り式と言われる行列が一つ出ます。また、舞や能が出ます。ほかの能とか舞とかは独立した芸術になっておりますので、春日のおん祭りでは一体としてやっていることを、その由緒を説明しないといけないと思っております。

そういったコンセプトのお祭りを長年昔から切れ目なく続けてきたことが、ヨーロッパの人たちにとって、切れ目なくというのは不思議だということで、彼らはすごく探求します。一つこんなお祭りを、こういうタイプのお祭りはどういうことか、どうしてこんな形になっているの、どうして能と結びついているのなど、そういう反応があろうかと思います。おん祭りというパッケージの祭りは、奈良の祭りのコンセプトを説明するいい機会でもあろうかと思います。

 この祭り自身は大きな、すごい、例えばねぶたとかというのとはまたちょっと違う、あれは農村のエネルギーを象徴するようなことであります。奈良のおん祭りはそれとはまた違う気持ちが入っていると思います。大変精神的な意味があると思います。祭りの意味をどのように説明して、それを感じていただけるのかというのが大きなプレゼンの内容でございます。このような日本が持っております、歴史的に持っておりますものは、我々日本人もあんまり深く認識してない面があります。それを認識するとともに、その基本コンセプトをお伝えするというのがこういう交流の事業の大きな意味ではないかと私自身は思っております。形だけじゃなしに精神面を、仏像もですが、どういう気持ちでこういう仏像ができたのかという、彼らはとても哲学的に質問したり考えたりされます。それに十分応えられないと、単なるお祭りかと、パリ祭のほうがいいということになってしまいます。パリ祭は独立の革命の意味があり、それを祝うというコンセプトがありますので、奈良のお祭り、日本のお祭りは何を祝うのか、お願いするのかという、自然との関係というのがすごく大きなことだと思います。そういう精神の構造をうまく説明できることになればと思います。

司会:
 本件につきましてはよろしいでしょうか。
 それでは、生駒市西松ヶ丘の対応につきまして、続きまして知事から発表をよろしくお願いいたします。

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生駒市西松ヶ丘の復旧対策について

知事:
 西松ヶ丘について進捗がございましたので、報告いたします。

 暫定対策はやっておりますが、復旧対策をどうするのかということです。土砂がさらに崩壊いたしましたので、そのことも踏まえて専門家の方の助言をいただいて、暫定対策を超える復旧工事の、復旧対策の内容をまとめてきました。今日ご発表いたしますのは、その復旧対策の対応がまとまってきたということです。対応は、こちらの斜面を見ていただきますとわかりますが、この薄いのが旧斜面です。ここに少し線が入っておりますが、これがこの黄色いところまで崩れたということです。これをどのように固定するかということです。一番大きなものは、この鉄筋挿入工という、串を入れる、さらにグラウンドアンカー工と言われる太い串を入れて、花崗岩がある、多少かたいところまで差し込んで、こちらのほうはこれにふたをするといったことが大きな工法です。アンカーや鉄筋工を施工するということが一つ大きいと思います。

 もう一つは、この斜面がこうなっております。斜面の形状を成形する。形状を、ぼこぼこしているとより崩れやすいので、一定の形状にするということが2つ目。もう一つは、法面がこうありますが、それを表層加工して、上のほうをしっかりと、景観もありますけれども、崩れないように緑化や排水工の整備をするということです。このアンカー工と鉄筋挿入を基本にして、この表面を加工するということで専門家の方のご意見をいただきましたので、その復旧工事をこのような内容で実行したいと思います。すぐにでも発注をしたいと思います。発注をして、発注手続が進めば、今年度内着手が可能ですので、今年度内着手を目途にしていきたいと思います。できるだけ早く、復旧工事までいきますと大変安定すると思います。

 こちらのほうでいえば、これは横で見た住宅地のそばですので、このような範囲で、上のほうは鉄筋工、下のほうはアンカー工で、このアンカー工はこれほどの数を打ち込むということになります。そのような押さえの工事をすることを基本でいいということを専門家から伺いましたので、これは代執行の工事ですが、工法が固まってきましたということと、年度内工事開始を目途に発注しますということをご報告させていただきます。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、本件に係るご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

生駒市西松ヶ丘の復旧対策について

毎日新聞:
 復旧工事ということですが、前回のとき言われた応急的なものと、また違う位置づけの工事ということでしょうか。

知事:
 これで斜面は大体固まりますので、かぶせた違法土砂が崩れるということに対する復旧ということで、ほとんどこれで大丈夫かというふうに専門家の方は言っておられます。こちらは民の住宅ですが、これが崩れるから危ないよと、こう心配された。これを固めるともつんじゃないかと思われます。

毎日新聞:
 そうすると、新たな工事で、予算もまた新たにかかるということになるんですか。

知事:
 これは新たな工事です。行政代執行でありますが、土砂を違法で盛られた方がこのようにしとかないといけなかったのをしなかったため、県が代執行でいたしますということです。あとは求償いたします。

毎日新聞:
 工事の額と、その予算は今後どうされていかれるお考えですか。

知事:
 額は、予算は確定ではありませんが、1億円台と聞いています。年度内着工と考えております。このような規模の工事だと、完了は1年程度と私は聞いております。確定要素は、行政代執行に対する取り消し訴訟、執行停止の仮処分申請が出ております。裁判所の判断でどうなるかです。仮執行で執行停止になったらその分遅くなるわけで、それは不確定要素であります。それがなければ県の是正命令を出して是正をされなかった、代執行をします、もう発注するという段階まで来ましたので、そのとおり進めて、この安全・安心感を与えることになればと思っています。

毎日新聞:
 今回、民民の、三郷も含めての話ですが、案の定、常任委員会で、民民の土地に対して、例えば不法投棄しているところに県や自治体が協定結んでかかわっていくべきじゃないかということを主張されている議員さんもおられた、そういった話というのは知事のところには報告は上がっているんですか。

知事:
 もちろんです。葛城だったか、五條だったか、五條は産廃富士というのが、もう有名な事例がありました。これは産廃業者への、許可以上に拡大された方の是正命令ということでした。ほかでも三郷で土砂が崩壊して、民民の調整が司法とか民法の世界になりますが、今のところ官が出る余地があったのは、土砂が押して道路が閉塞されるとか、河川が閉塞されるという観点で、河川の閉塞を避けるために土どめをするとかいったような公共工事をいくつか行いました。

 すると、全く広い広大な民の土地で、隣の隣地に土をかぶせたり、掘ったりして俺の地面がおかしくなるぞというのは、今の法制では全く民民です。これはどう考えればいいかということで、それは、自分の地面をいろいろ手入れしたからうちの地面の形状が変わったということになり、これをどう調整するかというのは、直ちに官が出るようには法制上なっておりません。しかし、現実の課題としては発生すると思います。それで官が出るべきと、こうおっしゃっても、法制の仕組みがないと官は出られません、というのが今のポジションです。

毎日新聞:
 全くそのとおりです。しかし今回の西松ヶ丘なり調査するに当たり、税金を使うことに関して、民民の土地に対して理解という点でどこまで得られるのかという部分があって、その議員さんがおっしゃられたように、民民の土地であっても何でもかんでも県が関わるべきだというふうな話にもなりかねません。

知事:
 そう言われるので、「しろ」という意見と、「してはいけない」という意見が混在しているわけです。県の立場は、法的な根拠がないとできないということを、これ住民の方には、そんなことを言ってもと、こう言われる面はあります。また皆さんも、住民はこう言っているよといってプレッシャーをかけられることはありますが、法理がないと違法工事、違法行政行為ということになりますので、それは慎重にせざるを得ないところです。

 ただ、今やっている手法で、住民の安全・安心に関する願いをどのような形で実現できるのかという、法理を一々たどりながらやるというのが当然です。これも代執行というところまでいきましたが、それには危険性があります。まだ落ちたというのはこちらだけですから、落ちるかもしれないとご心配に対して何かするというのに、また判断の困難があったと思われます。今から思えばそのように思いますけれども、こういうのはやっぱり法理を積み上げてしないと、あとまた違う意見が必ず途中からでもおっしゃるように出ます。荒っぽくはできないので、ちょっと考えながらしているというのが実際ですね。

毎日新聞:
 あの部分、県のほうが踏み入っておられるのではないかという意見もある感じがしますが。

知事:
 これは代執行ということで、是正命令をされないのでということで、ということは政治的プレッシャーに押されてしまっているんじゃないかというご意見ですね。そう言われないように頑張らないといけないと思います。

 法理を詰めるのは、今の法制ではっきりしない部分があります。しかし、法理をたどってしか行政できませんので、法理、法理と、こう言っております。その範囲の中で動くということですが、現実には実際にあのような姿をよく報道されます。県民の方には、なぜ県がしないのかというのを、今みたいなご意見をぜひまた書いていただくとありがたいです。そういうご意見あることは十分承知しております。

司会:
 本件につきましては、よろしいでしょうか。
 それでは、その他の案件を含めましてのご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

生前退位・離宮構想について

日経新聞:
 天皇陛下の退位のスケジュールが固まりましたが、上皇陛下の離宮構想は何か進展がありましたか。

知事:
 進展はございません。ここで思いつきみたいに聞こえたかもしれませんが、明治時代、明治22年に明治天皇の離宮を春日大社の境内の飛火野に作るということが決まりまして、御料地として指定されまして、明治の終わりまでずっと御料地だったんですけれども、離宮は作らないということで春日大社に返されたといういきさつがありました。そういう明治天皇の離宮という構想もあったならば、離宮ですから常に住まわれる必要はないんですけれども、奈良は、私の勝手な見方、見立てですけれども、両陛下は奈良のことを父祖の地とおっしゃって、とても来ていただいてよく歓迎をしていただきますし、両陛下はいごこちよくご滞在なされたような気がいたしますので、離宮ということがもし何かの形でできればという思いを先行して言ってしまいましたが、その後、具体的な場所というのはなかなか難しくて、いっとき内部の検討で平城宮跡の一角にどうかという話もありましたが、それもなかなかこれという場所をすぐには思いつきませんので、今のところ諦めたということに近いかもしれません。何かここはどうだろうかという場所がぱっと出れば、また復活すると思います。

日経新聞:
 宮内庁とは一回も接触はしていないのですか。

知事:
 していません。宮内庁に行こうかと思いましたが、宮内庁長官はご行幸があった時はお礼に行ったりしますが、こういう話が出てから宮内庁長官にお会いする機会がなくて、事務的にもまだ、具体的な場所もある程度想定できないと構想だけで行くのもと思って、接触はしておりません。

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リニア中央新幹線・北陸新幹線について
奈良新聞:
 リニア中央新幹線や北陸新幹線の関連で、関西国際空港まで延伸させる構想について、何か進展はあるんでしょうか。

知事:
 進展というほどではありませんが、構想をもう少し具体的に発表する機会があればと思っております。いつになるかは、急に出るかもしれませんし、思わせぶりで、しばらく出ないかもしれません。

奈良新聞:
 具体的に詰めておられるというところですか。

知事:
 検討はしております。

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生前退位・離宮構想について

共同通信:
 離宮構想のご発言の中で、諦めたというお言葉があったと思いますが、心境としては、そちらに近くなっているということでよろしいですか。

知事:
 今の段階では諦めたに近いということです。これといった場所がない。内々で個人的に想定していた場所がありましたが、やっぱり難しいかなと見立て直しましたので、良い場所が奈良であればと思ったんですけれども、今のところなかなか見つからないなというような感想ですので、諦めたに近いかなという自己心情を表現しました。

時事通信:
 天皇陛下の退位の話で、正式に退位日が決まり、新しい天皇陛下の即位日も決まりました。そのご感想、コメントをいただけますでしょうか。

知事:
 ご退位自身、いろいろ天皇陛下のお気持ちに沿うようにというのが、こんな地方の一個人の気持ちでございましたが、気持ちの面ではやはり寂しい面があります。何度も奈良に来ていただきましたので、お話しする機会がたくさんあったので、寂しいなというのが感慨です。退位という、言ってみれば政治的行為でもありますが、天皇陛下の退位というのは、これについてはいろいろ議論があるようですが、私自身は退位という政治的、歴史的な意味という面については、余り深く考えるほど勉強しておりませんので、退位自身についての所見とか感想はございません。個人として、寂しいなという情緒的な感想が中心で申しわけありませんけれども。

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障害者雇用について

朝日新聞:
 障害者雇用の状況の集計結果が発表されました。2年連続で全国1位。奈良が全国1位と聞く機会が余りないのでうれしいなと思っているんですけれども、それだけではなくて、雇用率の達成企業割合が10位から5位になりまして、これが大きいかなと思います。そのことについて改めてコメントをいただければと思います。

知事:
 他の県と異なる特長は、奈良は中小企業の方が随分障害のある方を雇っていただいています。現場にも行きましたが、印象的なのは、奈良積水という、バスタブなどいろいろなものをつくっておられる企業が、その作業場で働いている方は、全員障害者の方ですよということを言っておられた、そういうふうに働いていただくようにうまくアレンジされた。

 もう一つは、奈良市の南の、郡山に近いところで、リネンを洗濯して出す事業をされておりましたが、多少大きな作業所で、全員障害者の方で、社長になる女性が、「何とか君、何とか君、こうだこうだ」と、その現場を指揮されているのがとても印象的だった。その障害者の方の行動パターンをいろいろ見て、こうだ、こうだということを指揮されていたことが印象的ですね。

 あと、長い経験をお持ちなのは、黒瀬さんだったかな、植村牧場の牛乳配達の経験を語るセミナーをした。何十年も牛乳配達を知的障害の方がされている。するとエピソードで、配達して覚えると、覚えてもらうのは大変なんだけど、覚えてもらうととってもきっちりと配達されるんだけれども、旅行に行くから何日から何日まで配達要らないよと言われたら、それをこなすのが大変だったというエピソードを、ああ、それはまたいろいろなエピソードがあるんだなと、しかし、そういう苦労を30年、40年と続けていただいて、そういう話を聞く機会があり、みんなにご披露してもらうようなことをしましたので、これはすごいなと思って個人的には感激した記憶があります。

 そういう方が奈良では非常に多くいらっしゃったのがこのような結果につながって、そういう方は、そういう事業所があるのは、多少の苦労はありますが、できるんだからといって応援団をつくると、それを県の仕事として広げようということで、障害者のクラブみたいなものを作って、できますよと、こういうのをしましょうよということをやってきたように思っております。そのような地道な努力も一つ後押しになったのかなと感じております。これを堅持したいと思います。

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平城宮跡前の積水化学工業所有地について

朝日新聞:
 この間議会で話題になって、奈良新聞さん書いておられましたが、平城宮跡の前の積水の土地について、どのように県として関与していくのかという方針、取得の意気込みがあればお聞かせいただければと思います。

知事:
 積水化学の子会社がセキスイハイムに譲るか貸すかで、セキスイハイムが建て売り住宅を作るという情報が入ってきました。それは困るなということで、開発といいますか、どのようにするのかは県もいろいろ考えもありますので、相談してやってくださいということを、私の名前で社長に文書で申し入れた経緯があります。情報を知ってからしばらくたって、口頭で申し入れてもすぐに動かないということがわかりましたので、とにかくということで、これは発表なしでしましたが、出口県議会議員がそういうことがあるよという情報をおっしゃったのと、周りの住民の方が、「建て売りをすると、あの場所は大事なのに、わやになってしまう」と言ってるぞと、県どうするんだと、そういうように個別に言ってこられました。

 そして、どういうことになっているのかとおっしゃったので、その経緯を伝えて、文書を出しましたと、ああ、そういうことでご質問されたというのが、かいつまんだ、知ってる範囲の経緯です。

 それで、積水化学に申し入れて、県は何を考えているのかということでございますけれども、1つは、今の時点で申し上げられるのは、朱雀大路がずっとありますが、大宮通りで国営公園事業の一環として大宮通りまで朱雀大路を延ばすということは今、進行して間もないです。それを私は三条通りまでは延ばしたいと思っていましたので、そうしますと積水化学の朱雀大路のところは、工場を朱雀大路用に譲ってもらわないといけないということが一つです。朱雀大路については、南に羅城門があるので、そこまで広げたいと大和郡山市長はかねてから言っておられたんですが、これは羅城門まで広げたら、あの広いところを広げてシャンゼリゼみたいになってしまう、軍隊パレードみたいになってしまうので、個人的にはそこまではと思っており、とりあえず三条通りまでは朱雀大路が広がればと思っています。西の側は少なくとも。

 建て売り住宅になるとそれで永久ストックになるということが1つ。もう一つは、北のほうは近鉄線の移設に絡んで、大宮通りに近鉄線が移設されたら、朱雀門前駅というのを作りたいという、これは近鉄の駅なのでこちらが勝手に言えませんけれども、そういう構想を近鉄にはもう申し上げている経緯はございます。そのような構想があったので、よく大立山まつりでも平城宮跡へ行くことが不便だと、こうおっしゃっていますが、西大寺から平城宮跡を避けて大宮通りに入った時は、あのあたりは2階ぐらいなると、道の真ん中に線路をして、そのために道を広げないといけない、その広げる余地がないといけないということで、あの北のほうは用地として住宅が建つと何もできませんので、県としても確保したいなということは構想のもとにありました。

 もう一つは、これ民の話になりますが、さらに少しセットバックをした上で、これは普通の民地ですので、平城宮跡が多少眺められるホテルなどがいいんじゃないかなと思っておりました。これは民間の投資があるかどうか、名前はパレスホテルでいいんじゃないかと、朱雀門ホテルでもいいんだけれども、そのような構想がありましたので、いずれにしても困るなということでございました。昨日奈良市長と奈良市内のまちづくり構想について話して、奈良市もそれは困るなということで、見解は一致したように思います。

 これから積水化学に申し入れを続けていくということになると思いますが、そのような経緯と思いで積水化学の全部建て売り住宅はやめてもらって、北のほうはそういうふうに、それで駅用地が留保ですが、その間、駐車場があのあたり要りますので、こちらに余り入ってこないための駐車場をつくっておくというのも一つ事業の中に入ってくると思います。朱雀大路をつくる、それから朱雀門駅の用地を確保する、それから駐車場を確保するというような3つと、民の話ですが、ホテルができたらいいなと思います。さらに、南のほうの三条通りに行く用地は、共同住宅的なものは上に建ってもいいですが、下のほうは天平の雰囲気のあるまちというようなことができないだろうかという構想を持って、中国でもいろんな観光地でありますが、古いまちを復活して楽しんでもらう、ミニテーマパーク、ミニストリートですね、というようなものがあってもいいかなと内心は思っております。これはまだ構想の構想、まだ初期の段階です。そのような考えが根っこにあるものですから、建て売り住宅は困るなというような反応でございました。

朝日新聞:
 そうすると、あの土地は県で買いたいということですか。

知事:
 県で買ってもいいかとは思っていますけれども、県が全部自分で公共的に利用するわけではありませんので、民間の方の利用も探しながら、いずれにしても積水化学が、ハイムに譲るのではなく、県に譲るよとか、そういう利用がいいよとおっしゃっていただかないとと思いますので、それが今の段階の積水化学との折衝であります。

毎日新聞:
 積水化学さんは開発にあたり、何か許可申請をされているんですか。

知事:
 今は第一種住居地域だと聞いておりますので、そこら辺にある民地と同じように、ここを住宅メーカーに売って家建てるといったら、家は建つような規制になっております。それを実行してもらうと困るなということを申し入れているということでございますので、許可をもらってしかつくれないという状態ではないので、強行されるとちょっと困るなということなんです。

毎日新聞:
 住宅を建てますという旨は、積水化学さんのほうからはもう許可申請が出されているという状態ではないんですか。

知事:
 そうですね、住宅を作る時に許可がいるかは、県に権限があまりないような、市には何か道路つくるとか何かあるかもしれないんですけれども、何か必要な許可、行政手続があって、それを認識されて何かされているというものでもないようですね。だからセキスイハイムに貸すか売るかして譲って、セキスイハイムが建て売り住宅を作るというような方向での動きがあるということは察知といいますか、報告がありました。で、それは社内での検討とまだ聞いておりますが、社内で検討が進んで固まると、飛び出されるとできないわけではないので、少しおそれています。

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近鉄奈良線の移設について

毎日新聞:
 近鉄奈良線の移設の話が出ましたが、その後、進展はあったのでしょうか。

知事:
 正直あまりないです。

毎日新聞:
 仕掛けていくお考えって何かあるんですか。

知事:
 どう進めればいいかということなんですが、移設反対だ、西大寺の連続立交、高架化反対だと、こうおっしゃったので、珍しいことを言うなと内心は思ったのですが、普通ならそういう都市計画に絡む話は、都市計画に絡めば国や県からたくさん補助が出ますので、大概の鉄道事業者は住民の方が喜ぶようなことは競争になっているんです。東京の施設など。だからそういう意味で不思議だなと思ったんですが、反対だとおっしゃっている。しかし、検討はするでしょうといって多少無理に協定に入ってもらったのが1年ほど前。そして、すると西大寺駅は現に大変でしょうと、目をかけているでしょう、道路との交差はどうするんですか、開かずの踏切でしょうと、こう言ったら、道路を上に出す手がありますよと、向こうの近鉄案をその場ではおっしゃったんで、じゃあ具体的にあのあたり、道路をどうして上に出すんですかということを言ってくださいよと言って出てこないというのが今の状態なんです。

 だから、もし道路を上に上げるという案が、なるほどそれもあるなというような案であれば、また検討しなければいけない。具体的にないもんだから、県としては普通なら、普通の工事ならば駅を上げて下を通路にするということが普通のやり方でありますので、それをもう少し検討を進めたいと思いますが、何せ近鉄の鉄道用地の上をどうするかという案ですので、おいそれと勝手な案は出せないわけなんですが、そういう鉄道駅を高架化するということにおいて反対、非協力的でありますので、その情報を出してこういうことで検討しましょうという雰囲気がまだ出ないもんですから。

毎日新聞:
 半年ぐらい前に三者で協議会つくって話し合っていきましょうと。それで、それ以降、近鉄さんは何がしかの意思表明というものは県に対してされているんですか。まだされてない状態なんですか。

知事:
 されてないように聞いてます。その後の動きは、協議は事務的にしているように聞いています。地域デザイン課で専らやってくれてますが、接触は続いていると聞いています。

朝日新聞:
 以前、レベルを上げてやらないと動かないかな、なんていう話をされてましたが、レベルは上がってやっているんですか。

知事:
 私のレベルまで上がってませんですね。

朝日新聞:
 協定結んで、結んだままというのが一番怖いですね。

知事:
 私のレベルではね、レベルの動きはそういうことですね。ただ、協議には応じるということでありますので、反対だけど協議は応じると、こうおっしゃったので、協議は事務的にやっている。私、地域デザイン推進課長に、「やっているのか、どれぐらいまで進んだのか」とこうしばしば声かけます。毎月に一、二度は声をかけます。「進んだのか」、「はい、やってます」とは言っております。「進んでいる」というようには、まだ報告はないです。

朝日新聞:
 それでは、進んでないんですね。

知事:
 進んでないのかなということを私のレベルまでの報告を踏まえると、進んでないのかなと思っています。

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職員の自殺について

朝日新聞:
 昨日、砂防・災害対策課に勤務されていた西田さんのご両親が会見をされたんですが、そこでもブラック県庁だという言葉が飛び出したりしましたが、出退勤システムで打刻がありますよね。あれがどれだけ正確なのかというのは少し疑問があるなと僕自身も思っていて、というのも、職員さんってピッとされた後に帰ると思ったら、帰らないですよね。そこまで仕事しなくてもいいような気がするんですが、きっと仕事の量が多いんだと思うんです。ちょっと意見じみてますが、だからその運用は少し改めたほうがいいのではないかと、そう思ったりします。その打刻の正確性について、知事はどのように認識されていますか。

知事:
 打刻は、現実の行為がどんなふうにあったのかということをつぶさに調査しなければいけないと思いますが、過去の調査には多少難儀がありますけれども。それでも公務災害の認定請求が出たらそれが必須だと思います。それで、それがブラックだとか、そう軽々しく言っていただきたくないと思います。どうしてそう言えるのか、こういうケースで私が一番大事なのは、真相究明、再発防止に尽きると思います。それを政治的なことではなく、事実的な究明をしなければいけないということです。まだあるのかということはとても大事なことですので、今それを、過去の真相、あるいは現実の真相を究明するというのが最大の仕事だと思っています。公務災害認定請求が出れば、補償基金が自主的に、最終的に判断しますので、そこで必ずどうだったのかという調査がありますので、それに備えてちゃんと報告できるようにするのが真相究明につながりますので、それが大事だと思います。それを待ちたいと思います。

 今一つの例で上げられました、打刻した後、残っていたのはどういうことかということは、ブラック企業なのかどうかというのは、その点にもかかっていると思います。私の関心は、ほかの方の出退勤の状況、西田さんの仕事について、西田さんだけに仕事がもし集中していたとすれば、それはどういうことなのかということが真相解明の一つの大きなポイントかなというふうな感じはします。

 私にも、(西田さんが)どういう働きぶりだったのかはよくわかっていませんが、今のところ、西田さんはどのような部署に行っても残業が多かったということはわかっています。ほかの人の働きとどうして違ったのか、あるいは違っていなかったのか。その組織全部がすごく残業が多い中で一人犠牲が出たのならば、ブラック部屋というような認定はあると思いますが、それは真相究明の中で判断されるべきだと思います。あまり人が言ったからといって皆さんのような方がそうだということは言わないで、真相究明を待っていただきたいと思います。真相究明しないと事態はよくならないというのが、私のこういうケースに対しての従来からの姿勢です。真相究明が最重要だと思います。それは早くしないといけないわけですが、改めて、ご遺族へのお悔やみというのは、それとは別に、常にそういう気持ちを持っていますし、改めて申し上げたいと思います。

奈良新聞:
 それに関する改善策として、まずできることはあると思うんですが、改めてご遺族の方も改善策を求めると言ってまして、それに関してちょっとご意見を伺いたいんですが。

知事:
 再発防止について、真相が究明されないと何もできないということではないわけで、今わかることで、そういうことに至らないように職務状況を改善しようということは、当然これをきっかけにしてしなければいけないと思っています。今、総務部が一生懸命になって退勤管理を徹底するようにしてくれています。時間外勤務の法的な立証は、命ぜないと残業にならない、命じた間は残業しなさいと、それが過度になるとブラックになるわけですが、過度かどうかは管理者に対して指揮監督ができるので、過度に命じたかどうかというのは、一つの我々、さらに上級の管理者の手が出る、リーチがかかるところであります。

 実際は、今の日本の雇用体系では、現場の課長、所属長しか退勤、残業命令が出せない。この命令がないと残業にならないというのが大基本です。それが実態は曖昧であるといけないというのが、今、一番改善をしようとしているところです。事実上のサービス残業と言われるものは、事実上命じてやったかどうかと。それが早く帰らなければいけないので、退勤カードを押してまだ残ってやると。残ってはいけないというので、実際は家でやる方もおられる。それは仕事の量と関係するので、それが常時続くというのは民間だととてもあるんですが、県庁は、「遅れず、休まず、働かず」と言われてきた職場なので、働き過ぎと言われるようなことなのかと。先ほどの記者さんの言葉で、そんなレッテルになるのかと一瞬思いました。普通は、全体としては、それほどでもないように思いますが、枕言葉でおっしゃったので、ふうんと思ったんですが、しかし、個別的にそういう犠牲者が、自死された方が出られたのはどういうことかということは、徹底究明、真相究明しなければいけないと思っています。

 それと、改善はどうするのかについては、とにかく退勤管理です。日本の残業はカルチャー、風習で流されている、つき合い残業があるとか言われて、西田さんの場合はほとんど一人で残っておられることが多くて、つき合いで残されたというような報告は今のところないんですが、ほかの人はつき合い残業が多くてというのがよくある。つき合い残業はしてはいけないということは一つ徹底したいと思います。徹底してきています。

 それと、残業の調査を、本庁においては総務部が随分やり始めて、月に最低1回は庁議で、注意カードというほどではないですが、残業のケースがこれだけあったよということを報告するようになっています。こういったことをずっと続けていかないといけないなと思います。管理の改善ということになると思いますが、それをだんだん続けて、まとめて組織内の新しいカルチャーにするというのが日本企業全体で大事ですけど、県庁でももちろん大事であると思っています。

奈良新聞:
 上司が認めないと残業にならないという、時間外の認定の仕方が、かなり問題があるのかなと思うんですが。

知事:
 残業してはいけないんです。

 そのときに無理に帰れと追い出す責任とか権能があるのかどうかということを、今、総務部に私から問うているんです。「残業が今週これだけになっているぞ、帰れ」と。もちろん残業命令は出してないんですが、自主残業はだめだというところまで指導しないといけないのか、個人的にはそこまでしてもいいと思うんですが。

 個人的な話ですが、息子が残業好きで、随分会社で残っているんですね。そしたら、人事課に時々呼ばれて念を押されるんだそうです、健康は自己管理だぞと。民間の企業ですが、そう言われるんだと。だから僕は息子に、自己管理だからとにかく休め、休めと、こう言っているんです。そのように現場、現場の改善が大事かと思いますので、皆さんも残業というのはおありになると思うんですが、ぜひその改善のノウハウを教えていただければありがたいですね。

奈良新聞:
 やはり、時間外勤務のシステム自体ちょっと欠陥があると思うんですが。

結局、上司が命じて時間外手当も支払われると、やはり働いている者としたらその辺は忖度して,申請せずに残って仕事をすることもあるかと。

知事:
 最近の記憶ですと、とにかく文書で残業命令出せというところまで徹底し始めました。残業命令を毎日文書で、あなたはこれを今日は何時まで残業しなさいということを文書で出しなさいと、忖度のないようにし始めてます。今までは流されて残業したと。いわゆるサービス残業メンタリティーがあったかもしれない。それを排除しようということで、文書を出さないと残業命令にならないということで、管理職を指導し始めています。だから曖昧さは残さないという方向での指導になります。

奈良新聞:
 それは自殺行為があった後ですか。

知事:
 最近です。一つの改善の仕方だと思いますが。

産経新聞:
 結局は残業はみんな好きでやっているわけではなく、どうしてもその仕事量が降りかかってくるからせざるを得ないということだと思うんですが、近年の働き方改革の中で、県庁の仕事はどうしても公の仕事なので、民間のように削減するということが難しいのかと思うんですが、残業をしてはいけないということを言うとともに、県庁として何か仕事量を削減するという工夫はされているんですか。

知事:
 私は削減が必要かどうかというのは、削減しなければならない事情は、ある時期、あるポスト、ある組織に発生しているんじゃないかと、全組織では発生してないんじゃないかと、今のところ見立てております。役所の仕事は季節労働者、私個人も季節労働者であることが多いので、季節が重なるとすごく忙しくなる。予算の時期なんかは忙しくなるのが常ですので、季節に繁忙があるときにどうするか、どう解決するか。仕事がいっときふえたと、そのときは陣容を強化して手当てする。もうとにかく仕事の量はふえる一方です。行政への期待が大きいと、考えないといけないので増える一方で、これを勝手にここまでしかしないよと皆さんに向かって言えるのかというのが私の気持ちです。

 仕事の量が多いから減らすべきだと気楽におっしゃるけども、県民の皆さんに、仕事量を減らしますと言えるのか、というのが私の反応です。すると増員しなさいと。増員でうまく効率的にできるのか。行政効率化で市町村と一緒になって減員して仕事のパフォーマンスを上げようと必死になってやっているわけですが、予算がもっとあれば人をふやしてサービスをふやします、高福祉、高負担にいくのかって、これは大きな政治的な判断ですので、軽々しくは言えない。仕事を減らします、サービス減らしますとは言えないというのが直ちの今の判断です。

 もう一つは、仕事の量は季節的、局所的に発生するんじゃないか。それをどうシステム的に解決するのかというのは、知恵を出さないといけないと思っています。そういうような突出した組織が出ないようにとは思います。

 皆さんも事件があったら、その部署はとても忙しくなるじゃないですか。それをいろんな知恵でされているに違いない。そういう場所的、時間的な繁忙の波を克服するという知恵が要る。それが常態的に、もうとにかくあらゆるところが忙しくてしようがないといったような組織体ではまだないようには思っています。だから直ちに仕事を減らすべきというところまでいかないというのが、とりあえずの反応なんですが。

 それと、もう一つ今度のケースでは、個人の方に仕事が集中したかどうか。それが何か強制されたりしたのか。仕事は命じてやる、時間拘束があってやるものですから、これは日本全体の働き方の大きなポイントですが、拘束性と自主性とをどう折り合うのか、現場で解決していかないといけない話は随分残っています。それを個人に集中しないように、個人のリスクを避けるようにということは、例えば同じ組織の中で残業時間をはかると、一人だけ抜きん出ている。仕事の量は分けたのか、彼に集約させたのかどうかはわからないわけですよね。

 普通私の経験では、よく仕事のする人に仕事が集まる。その人はまた仕事が好きだから余計やってしまう。また期待もあって、出世をして忙しいところにばかり行く。その人が病気で死んでしまうということは、見聞きでは本当にあるんですが、それを組織は、貴重な人材をなくすことにもなりますから本当は避けるべきだと思うんですが、そういう仕組みはないというのが日本の企業の実態だと思います。

 役所でもそうです。国では労働基準法の適用は一度もないままこの年になってますが、ちゃんと管理してほしかったというか、いや、好き勝手したからよかったというか。それは個人の思い方ですが、仕事が好きで働いてもだめだと、労働基準法で言えるのかどうかと。まだ、今の法はそうはなってないように思うんですけどね。しかし、健康管理はいろんな企業で自己責任だとは言いながら、組織が管理しないといけない面が随分出てきているというふうに思っています。それをどのように現場で実現するかというのは、今の県庁での課題でもあると思います。だから仕事の量を減らすべきと言われても、すぐにはこんな反応しかできません。

朝日新聞:
 ただ、問題は、企業も県庁もそうだと思うんですが、仕事量を減らすというのは難しいと思いますが、それを経営者のお立場でどういうふうに効率的にやるかというところだと思うんですね。

 この間、伊藤忠の方が来られて講演されましたが、ペーパーレスだとか、深夜帯の残業を禁止して朝型にして、それでパフォーマンスが上がっているという話がありましたが、そういう取り組みとかを同時並行で改善策を打ち出しますか。

知事:
 県庁はペーパー文化なので、なかなかできない実情なんです。これ(紙の資料を指して)だって、アイパッドでこうというほど、能力がないということでもあるんですが、ある面、政策議論のためのドキュメントがあらゆる所にあるわけですね。気張って口頭で応答して、すぐにその日に片づくのでしたら、割とできるような印象を伊藤忠さんの話では思いましたが、半年、一年熟議をして一つのペーパーにするといったような作業が多いので、なかなかできないかなという印象を受けました。

 それはそれとして、伊藤忠の岡藤さんがおっしゃっているのは、嫌な仕事は長く感じるんですよね。楽しく仕事をするというのは管理職の大きな仕事だと。モチベーションということになるんですが、モチベーションを上げるためにミッションをはっきりさせるというのを、パーソネルマネジメントで奈良県庁はやっています。ミッションを何のためにするのかと不思議に思うと、みんな形だけするんですね。形だけするととても疲れます。自分で考えてやりなさいよということはいつも言ってます。それは自分のやる仕事の意味・ミッション性を、県民や、上司のミッションを、どのように感じるのはレセプターの話ですが、どういうミッションが自分に来ているのか。残業してまでやるミッションなのかということをちゃんと感じるように。ミッションのレベルが高いと、人は喜んで働く性行がありますので、いいミッションを与えるのは組織の大きな役目だぞと、こう言っているんです。それがモチベーションになって、疲れにも影響するというのが一つありますが、いいミッションばかり与えると疲れを知らないまま働くのかというと、人間はそうはできていないので、休暇は必ず要ります。休暇は持つようにと、これはまた違うことでしないといけないと思います。ミッション性を高めるというのと、休暇を、特に長期休暇をとるというのが大きな課題だと思います。

 ユダヤ人の方は、必ず安息日があって、週1回何もしない日があるのがユダヤ人の大きな能力が伸びたもとだと私は思います。必ず休むということがユダヤ教は宗教でやってますが、必ず休むことというのは労働基準法ではそこまで強制できません。働き方改革で今私が感じているところは、その程度です。

読売新聞:
 時間外手当のことですが、時間外手当の予算が決まっていて、それを守るためにあえてサービス残業をしているというわけではないんでしょうか。

知事:
 今はないと思います。かつてはあったように思います。

 実際、中央でもパー配分と言われていましたが、実態と別に生活給のように時間外手当を配分していたのが実態だと思います。これはあらゆる組織でされていたように思いますが、実働に対して払うというのが基本で、法律にはそう書いてあったんですが、実行されてなかったと思いますので、それを実行するというのが大基本だと思います。時間外手当は、議会でも答弁したと思います。そのときの予算はもちろん決めるんですが、組織の中で残業が少ないところに、手当の量があるから残業しなさい、ということにはならないので、時間外手当の予算を超えていたときは、ほかから集めてやるとか、追加で予算やるとか、事後調整は可能です。

 事後調整は、現場では、「昨日残業したらしいな、これだけの残業か」と確認することを、事前の文書命令と事後確認というのは今、徹底してきているというのが県の実情です。これが徹底されたら、それに従って予算は必ずつけることを確定していますので、そういう意味でのサービス残業はないというわけです。それを逸脱する実態が発生するかどうかはウォッチしないといけない。予算がないから残業代出ないということは形式的には今ないわけで、予算追加してでも予算をつけることにしてますので、それはないんですが、昔はあったと思います。県庁だけでなく、中央ではもうそんなことばっかりだった。残業代もらっていればもっと大金持ちになっていたのにと思うのは私だけじゃないと思います。

朝日新聞:
 残業は文書で命令し、これだけしたというのを次の日に上司の方が確認する。そのときに、若い人は「はい、これだけです」と多分言うと思うんです。実際オーバーしてても多分つけてない。実際に文書に基づいて命令を発したというのに対して、必ず翌日に形式的に口頭で確認するという際に、それが自己申告に基づいているということは、文書の範囲を超えてやったとしても、恐らくそれにとどまってますという報告をすると思うんですが。実際のところと、僕もやってしまっていて、自戒を込めて言いますが、その乖離の把握は、やはり会社が努めないといけないのではないかなと思うんです。

知事:
 そうです。それを現場で一々把握できないから、外形的に、例えば退庁時間と残業時間、その乖離がサービス残業か、ご飯食べているのか、たばこふかしているのか、電話しているのか、過去はそういうことを調べてなかったからわからないんですが、これ今はそういうことを具体的に指示し始めようとしています。そういう乖離がある程度ある。ある程度常識的な乖離であれば、荷物詰めたりしているんだなという程度の、いててもおかしくないなというのが、何十分とか時間標準化すればそうですが、それ以上にどうも続いているということになれば、何かあるかもしれないと察知して、このエビデンスを見せて、どうして退庁時間と残業時間の乖離があるのかということを、上から調べに入るというようなやり方もあるかなと思っています。

 まだしてませんが、それはデータが出てきてやることになると思いますので、そういうふうにやっていますからありませんということを言い切れるかどうか、その間は何かという実態が調べてあるかもしれない。あるかもしれないともまだ言えないわけで、あるかもしれないということを事前に注意されるわけですが、やはり調べないとあるかないかもわからないというのが、今の感じですね。ですから、調べないといけない。それは実態と乖離があると、退庁した時間と残業してたはずの時間との乖離が余りにも大きいと、この間どうしたのかを上から、あるいは人事課から調べるというようなことを検討しなさいと指示をしているということです。

朝日新聞:
 そうすると、その基準になるのは、その打刻の時間ということになるわけです。時たまいる、打刻をしてそのまま戻ってしまうという人は。

知事:
 それはないかもしれないですけど、あるかもしれない。あるかもしれないと思って様子を見てたほうがいいのか。というのも、あるとも決められないわけなので。今、退庁して出ていくときには簡単に押してますよね。あれは出る場所はもう決まっているので、あるいは出すだけでぱっとして、部屋に直ちに戻っているのかどうかというのは、具体的には監視カメラつけるなり、部屋を締め切るとか、そういうことはあろうかと思うんですが。その実態の兆候を察知して、さらに調査を深めるという手法になると思います。こういうのは、予期して、こうだ、ああだと決めつけてはいけない世界で、実態をよく把握するのが一番大事なので。実態はこうであるというふうに人事課が時々言うから、実態は調べないとわかんないよと言ってるんですけどね。そういうことを続けることが大事かなと今思っています。

司会:
 では、すみません、かなり時間をオーバーしておりますので、これで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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