平成30年1月4日(木)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、平成30年の年頭に当たりましての知事の年頭記者会見を始めさせていただきます。

年頭所感

知事:
 まず、簡単に挨拶させていただきます。

 去年はいろいろお世話になりましたが、本年もよろしくお願いします。職員の前でも挨拶しましたが、いつも宮中参賀へ行きますが、今年は行かなくて、奈良でお参りしまして、懐かしい道を歩いたりしました。二月堂から歩いてきたおばさんなんですが、東京から移ってきたが、奈良大好きなんだって言っておられたんで、そういう移住された人もおられるんだなと思って。奈良らしい元気さっていいますかね、ほっておいたらやっぱりちょっと住んでる人が元気なくなるから、医療とかいろんなこともしないといけないが、そこそこほっておいても豊かになる国っていうのはないから、努力して豊かにしていかなければいけない、心も豊かにっていう感じがいたしましたが、新年の出会いでちょっと思ったことでありますが、そのような気持ちを、年頭の気持ちを割と素直に心が動いてるから忘れないで謙虚に努力していきたいなと思いました。仕事始め式で挨拶した延長でありますけれども、一言皆様の前でもご挨拶申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。

司会:
 ご質問ある方どうぞ。

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質疑応答

今年の重点施策

時事通信:
 明けましておめでとうございます。

 今年の奈良県政、どのような施策を重視して取り組んでいかれるか。また、予算の時期もそろそろ迫っており、どのあたりを重視していますか。

知事:
 そうですね。我々の職場は予算を議会で通して、予算を実行して、県というレベルで与えられた仕事を、創造的に実行するという時代に入っていると思います。創造的っていうことは自分の頭で考えるということです。1999年に地方分権一括法ができて、その前と後で実はものすごく国のあり方が変わっているということを書き始めてる人が多く出た。年末年始に、少し読むと、そう書いてる人が多い。それは地方の我々、県のレベルの仕事は国の執行機関だと。国が言えば通達一片で、しなくてはいけないということになっていた。これは明治政府のつくった仕組みですが、それが地方分権一括法で対等の関係にしました。それを充分に意識しなくてはいけない。

 対等の関係ということは自分で考えなければいけない立場にある。財政とか財源の保障というのは、国の仕組み、全体の安定のために必要なわけだけれど、地方組織であることは間違いないので。ただ、考えるのは対等の立場で考えなさいということは、各県そのいろんな考え方の違いが出るのが普通である。あまり出ない国柄だなという、あんまり表面変わってないと思われるところがあるが、実は各県の内部では随分変わってきてるような気がします。

 それを奈良県庁の職員は意識をどれだけするかということに思いが至って、自分の頭で考えようよということを言い始めました。自分の頭で考えた結果、奈良の施策、県という行政単位に与えられた仕事はどうなるのかということであります。これは国がこうしてるからこうという、全体の流れで影響されるところもあります。その地域の独自の考え方で考えた結果、実行する、またできる余地が結構あるということであります。そのときに国に対して同等の立場で要求する、意見を言うということはもう十分可能になってます。聞いてもらえるかどうかは別であるが、意見を言う、この地域の意見はこうですよということを言える国柄にもうなってるということをもっと強く意識していい。

 そういうふうに言うと通る面がどうも出てきてるように思えます。国が先導しないと国は動かないとみんな思っているが、そうではなく、地方が先導して国が動くケースが随分出てきている。そういう実例ケースが出てきているので、その先例をつくるのも一つの誇りであります。そのために勝手に考える。勝手に考えないと地域が発展しない、国が発展しないと国が悪いとなっているんだと、1999年からなっているということを改めて認識をして、奈良県の施策を実行したい。

 抽象的ですが、具体的には今までそういえばということで、色々なことをやり出して、議会の議論を経て、反対の意見ももちろんありますが、地域の意見を得ながら実行してきたように思います。そのスタイルは継続するのかなと思います。自分で考えて思いついたことを形をつくって、プロジェクト方式と言っていますが、例えば大宮通りプロジェクトと名づけて大宮通りのプロジェクトを考えて、独創的なことがいろいろアイデアとして入っているので、それは箱物ですが、医療と介護も大変独創的なアイデアが入っています。そのようなことを実行する立場になっていることを強く思って、認識をして実行するというのが基本である。そのときに意思決定者は議会ですので、議会に十分理解を得るように、対話、ダイアログ、議論というのは必要かなと思います。そのようなスタイルをより意識して実行していきたいと思います。

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民泊について

時事通信:
 県独自の考え方でやっていかれることの一つで民泊について。県は骨子案で住宅専用地もオーケーであるが、奈良市の仲川市長が前回の記者会見で、奈良市内では農家民泊や町屋に民泊を限定する対応を検討されてるとのことですが、県と市とで違うと思うのですが。

知事:
 まだ奈良市も最終的ではないと思います。

 いつもだけれど、最初にぱっと市長をアタックするから、市長がぱっと反応されるような感じがします。これからいずれにしても法律上、保健所設置市と県は協議が要る。協議なしで私はやりますよって、そういう国柄でもなくなっている。命令する国柄でもないが、協議は要る。協議はこれからでしょうからね。

時事通信:
 これから奈良市と県とで協議されるのか。

知事:
 当然。向こうから協議しなくてはいけないと、法律に書いてある。県がやるときは協議する。県としては、協議のための材料をこの前、構想として発表した。市はもし考えがあれば、県と協議する内容をこれから詰められるということ。市長の一言、あるいは知事の一言で決まるわけではないと思います。そういう感覚だという思い。市長の感覚を忖度しますと、各地で旅館があるところは民泊を入れるなということでプレッシャーがかかっている状況にあります。奈良市の場合はわかりませんけれども。

 民泊のそもそもの正体は何かということになりますが、限界供給力か定常供給力かというので随分違います。限界供給力といったときにはピークで、その供給力はある面フラットです。ところが、需要のほうは波が打って、供給力を超える場合がある。その超えたものを受けるのが民泊というふうに認識するのか、通常ある供給力として認識するのか。これは随分違います。インバウンドの波は日本の観光需要の波をうまくマッチするような波である場合も多い。なので、それを地域でどれだけ受け入れるかという知恵がいるように思います。ある時期、限界供給力というか、需要が増えてきていることは確かです。定常供給力の波が上がってくると、基本的には供給力を上げていくことが基本であるが、波があるときは限界的に対応するのが普通の手法なので、民泊は定常供給力の性格と限界供給力の性格と2つあると思う。限界供給力としてやるときには、京都市が言うように閑散期だけ営業するって、このようなことはあり得ない。これは法律違反ではないかと言われてるところがある。

時事通信:
 民泊新法の趣旨を全く見てないということですか。

知事:
 全く理解していないと言われているところがある。私が言っているのではなく。そのように国が言っている。法律はこうだと言っているのだからということはある。むしろ夏の、ほかでないときに供給すべきだというのが一つの法律の趣旨であるからということ。需要と供給がマッチしないといけないからということ。

 それともう一つの事情は、違法民泊。今は民泊は違法でも何でもなくなって、違う形で存在しているが、だんだん民泊業務ができると、違法民泊と言われるものが出てくる可能性がある。だからきつく締まると需要の実態があると必ず潜ってしまう。それは法の趣旨に反するのではないかと思います。明確に表に出して営業してもらうというのが法の趣旨でもある。だから隠せというわけではない。表に出してやるべきところと、してはいけないところを明確にしようということが法の趣旨なので、法の趣旨を体した条例というのは、バラエティーはあるにしても一つの枠があるでしょうと県は思っています。

 だから全体の需要がずっと上がってきているから、奈良県の猿沢インを作る時も、県の旅館の人が反対をどこか陰で訴えに行かれたという経緯もある。各地とも皆そういう体質がある。競争相手を駆逐するという体質があるが、駆逐していると自分の営業よくなるかって、そういうことではないのが実例である。競争相手がいい形で、イコールフッティングが必要。イコールフッティングで出てきて、それでマーケットで仕事をしてもらうという形はどこなのかというのが、民泊の大きな挑戦だと思います。だから協議はこれからだと思います。今みたいな法律の求めていること、マーケットが要求していること、確保すべき規範性っていうのは何かっていうことを議論して固めていくのが大事かと思います。新しい法律なので、各地でいろいろブレが出ているように思います。各地の知恵を、自分はこのようにして考えて、この地域ではこのようにしますよということを実行すればいい話だと思います。既存の旅館の多いところは民泊はだめだめという政治的な声が多いように、最近そういうような動きは聞いております。6月施行まで、どのようにおさめるかというのはこれからだと思います。2月に条例が出ます。

時事通信:
 国の法律の趣旨をちゃんと理解してということを伺っていると、県の協議に向かう立場として、県の条例と奈良市は歩調を合わせてほしいというふうに思っているように忖度したが。

知事:
 いや、だから議論して、その結果、自然と合わされると大変望ましいと思いますが。合わせてほしいというよりも、それは僣越だから、よく理解されて合わされる結果になれば非常にハッピーじゃないかと思います。それは議論の結果、いやいや県の考えてることはこういうふうにおかしいよというふうに言われないといけない。今、見た法律の解釈、実質上、行動規範の面というのをどのように思って市の意見はこうだっていうふうに詰めて上げてこられるのがいいかと思います。これは政治的な判断よりも実務の判断が大きな意味を占めると思います。県の民泊もほとんど私の意見を入れないで議論をしてもらって、あのような形にしてもらいました。その大まかな骨格は正しいというふうに私は思いました。だから議論を経ないといけないと思っています。

 そのマーケットがどうなっているかというのは、私の今言ったことは全体の感触です。観光産業への感触というのを踏まえて、発言したわけでありますけれど、民泊条例の骨子というのは事務方で詰めてきたものですので、奈良市も事務方で詰めて、県の案と調整するのが望ましいと思います。協議は法定協議だから必要です。そのときは議論をしなければいけないと思います。何ゆえ県の条例は問題かということを議論しなくてはいけない。京都が厳しいから厳しくするということは思われないだろうと思う。京都が厳しくすると、民泊は外へ流れます。奈良市が厳しくすると民泊は天理に流れます、郡山に流れますというのがマーケットになります。厳しくもできると思うが、流れます。奈良市の住宅地ではできなくても天理の住宅地、郡山市の境界の住宅地、駅前の住宅はたくさんある。奈良市の鉄道駅から離れた住宅地には民泊できなくても、郡山の駅前の住宅地から奈良市へ通おうという民泊業がたくさんできる。スピルオーバーという現象が必ず起こります。だから調整が必要だと法に書いてあるのだと私は思います。京都が厳しくすると、近隣の町へ溢れるという結果になると、滋賀にあふれると思います。私の所感、予想です。

時事通信:
 ありがとうございます。

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今年の重点施策

読売新聞:
 民泊の話しがでましたけれど、それ以外一般的なことも含めてどういった取り組みをしていきたいかということと、特に重点的なことについて伺えますか。例えば、年末の庁議の中でもお話ありましたけれども、働き方改革の話も出ましたし、それ以外の各種プロジェクト等も進んでおりますが、観光なり特定の分野でこういうことをやっていきたいっていうのは何かありますか。

知事:
 そうですね。よく重点的な施策とか、そういうふうに質問があるが、県政の様子を見ると、包括行政主体、ありとあらゆることをしなくてはいけない。事故が起これば事故、災害が起これば災害、何か問題が起これば救急、応急、復旧、色々ありますが、その中でずっとこの行政主体は150年、明治からある、県ができたのは明治22年だから130年あるが、その中での構造的な課題とか、構造的に変化したものとか、解決するにも構造的な解決が必要な事項と、そのときばったりでできるものと。よくぱっと聞かれると、そのときばったりの施策を言う政治家が多い。すると構造的なものは、なかなか言いにくい。また構造的なものは日本はとても大事だなと思っています。それは長年の歴史をよく見てということであります。構造的なことを言ってもあまり迫力がないから、あんまりおもしろいこと言ったことにはならないが。ぱっと気のつくこと言うと、実は逆にポピュリズムだといって批判されるので、私あんまり好きではない。構造的なこと言って何言ってるかわからないじゃないかというふうに批判されるが、構造的なのがもうずうっと何十年か構造が変化してきてるのをいいように変化させようという、すごく大きな力が要るようなことは、この10年間を思うと、構造的なのに力を入れようと思ってきた面があったと思います。10年間かかってやっとできたと今思うのは、医療とか観光施設とかということでもある。できてみないと、これを10年前に言っても、「ふうん」という感じですよね。だからこれからも構造的な面もあろうかと思います。

 構造的な面を言っていいならそちらのほうが力が入るからと思います。構造的な面といえば、やっぱり玄関口がなかった奈良県ということ。観光とも結びつくのだけれど、奥まった奈良県という良さもあるが、アクセスが悪い。域内のアクセスも悪いと言われてたので、今度は20年後だがリニアができる。京奈和自動車道が、来年の春にNEXCO化ができるかどうかが大きな焦点です。NEXCO化ができれば京奈和自動車道全通の目処ができる。夢みたいな話だが、リニア、関空新幹線が、20年後、鉄道などの構想が実現したケースが結構あるので、これも大きな奈良県の構造的な願いであるので、それを願いながら施策を進めるというのは、20年ってあっという間ですから。10年前に発議して病院とかホテルは10年かかって来たが、10年前にホテルの訴えに行ったときはもう全然反応がなくて、もうこれは奈良はひどい状況という見方されているのだなと改めて気がついた。奈良の人はそこまでもわからなかったと思う。言ってみて初めてわかったっていう点がある。だけど、これから奈良のホテルは爆発するんじゃないかと思います。レベルの高いホテルが来ると、こんなに良い立地はないから、爆発するんじゃないかと思います。奈良らしさっていうのにこだわって高級感があるということは、世界にあんまり例がない。そのときに玄関、アクセスっていうのはどうなるかっていうようなことになります。それは大きな構造的なことです。そんなことに先を見て力が入りますというような所感になります。

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経済展望について

日経新聞:
 経済展望につきまして、去年の上期、企業立地件数が全国7位で、就業地別有効求人倍率が11月に過去最高と、かなりいい数字が出てきました。今年、何か目標はありますか。

知事:
 経済の動きは、日本経済の動き、その中で動いてます。ところが、有効求人倍率、この10年見てると下がって、上がって、日本の経済の温度が上がると金融と人手が不足になってきております。喉が渇いて、人手不足、金融不足。金融は人為的に飲み物を与えてるから喉が渇かない。お金は欲しい、喉は渇かない。人が欲しい、喉が渇くという。これが人が欲しい、喉が渇くのが地域差があります。有効求人倍率を、ずっとスーパー・メガリージョン構想検討会でのプレゼンのために調べてわかりました。岐阜なんか奈良県の2倍を超えています。東京都なんかは1.5倍とか平均に近いんです。東京都が随分上がるかと思ったら、そうでもなくなってるような状況があるというのは、地域の人手不足の動きをどう見るのかなということではあるんです。

 もう一つは、新しく本が出たので買おうと思いました。「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」という本です。これは、普通は有効求人倍率が上がると賃金が上がりますが、なかなか上がらないのはどうしてかということを書いた本です。すごく興味がある点がそのまま題になってるので、早速買おうと思っております。経済が活性化して人手が不足になると賃金が上がってまた経済を回すという好循環のルートに入ってるはず、賃金が上がらないと消費が伸びなくて好循環にならないことを心配してます。それは地域にいい影響を及ぼすのだけど、日本全体の経済活性化のもとが輸出であれば、輸出基地があるところが人手不足になって潤うということになります。消費であればもう少しフラットだから、全国全体になって潤うといういい効果がある。これだけの先進国だから、消費が上がって賃金が上がってまた消費が上がる。有効求人倍率が上がって人手不足になって、賃金が上がって消費が上がるっていうパターンに入ればいいなというふうに思っています。それで有効求人倍率が上がってるのに賃金が上がらないのはどういうわけか興味のあるところで、私にはまだよくわからないところです。その分析内容はわかりませんが、上がればいいなと思っています。有効求人倍率の波を見てますと、近畿で奈良はこの帯の中で一番下の方でしたが、今は一番上の方にいってるのがとてもうれしく感じております。経済の温度が奈良県は上がってきているとも感じております。

 もう一つは、有効求人倍率の全国平均を初めて上回るようになってきたのがうれしいということです。全国平均を初めて上回るということは、近畿全体が全国平均より下ということになります。これは近畿の経済が落ちているのかなと思わせるところもありますが、これもわかりません。好景気はどこなのかということ、それを輸出産業が牽引してるときは輸出する産業のある場所で、中京、岐阜などの有効求人倍率が上がってるのはそのせいかなと思ったりもします。北陸も観光で上がってるような気がいたします。詳細に地域分析すればそのように思います。その中で奈良県は観光やいろんな製造業もいろいろ頑張っていただいてる面もあるので、小さいけれども徐々に力をつけてるような気がいたします。内陸製造業ですので、大きなアッセンブルをつくる製造業ではありません。しかし、今世界でモジュール化が進んでるので、いいモジュールさえつくれば搬出可能です。いいモジュールが世界どこでも飛んでいき、ジェイテクトがその例です。だからいいモジュールをつくる工場がもっと来てくれればいいなと思います。それは誘致だけでなく、企業の中に県政が力を与える、いいことができることを模索したいと思います。企業が県の、地方の行政主体の力を借りるということは日本の国柄としてあまりありませんでした。だからこれからは地方の大学とか地方の企業が県政レベルで、何か力を注入して元気になるっていうことも可能になってきてるような気もします。奈良県は十分でないですが、そういうような力を入れることも考えていきたいなと思います。

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ジャポニスムについて

NHK:
 何度か奈良らしさの話が出てきましたが、具体的に奈良らしさを今年発揮したい分野はどういうところになるでしょうか。

知事:
 具体的に私の個人的な奈良らしさの発揮ということは、奈良の仏像がパリに行くことだと思います。奈良の仏像があんなに残って、このお正月、戒壇院や三月堂を回りましたが、こんなに世界に誇れるようなものが静かに千年以上も置いてある土地は他にないです。知り合いの朝日新聞の社会部長だった人が、会社で疲れたときには戒壇院の広目天の前で2時間座ってたと年賀状に書いてきたことを思い出しました。その広目天は唯一武器を持っていないのです。筆と紙を持ってペン力で仏を、釈迦を守ろうというのが広目天です。そういう、ああいう迫力のある四天王が存在するのは奈良しかありません。それを世界は知りません。大仏殿は参られますが、戒壇院の四天王を見に入ったときには誰もいませんでした。それはそういう文化的な意味を発信してないからかもしれません。それは例えば世界に行くと、世界の人は映像で見たいとおっしゃる、行けないけど映像で見たい。奈良は来て、見てくださいと言っておりますが、あんまり来て入っていただく人はいません。

 映像権っていうことで年末の文化財の検討委員会でも話題になったんだけど、肖像権でアーカイブスをつくって世界にデジタル発信するとすごい人気になる。NHK得意じゃないですか。すごい迫力になる。ミケランジェロなど、世界の遺産がアップで出てくるのに、奈良の仏像っていうのはなかなか撮らせなかった面もあるんで、それは文化財保存行政の一つのテーマですね。撮って発信できないかという意見が青柳さんの前で出ました。そしたら、もっとすればいいと青柳さん言うんです。だけど私有は見せないよと、私有物の限界があります。それをもう少しパブリックに見せるっていうのがとても大事だと思います。構築物を見せるだけじゃない、あの圧倒的な仏像を世界にデジタルで発信すりゃすごい、それがまたお客さんの来るもとになると思います。そういう道筋、奈良がたどれるかどうかが大きな分かれ道ですが説得してみたいと思います。奈良の仏像というのは世界の目でテストされます。

 テストされるという意味では、あの時代の仏像、とても世界史的にレベルの高い仏像が奈良に来て、多分あのときに奈良に来た中国とかガンダーラなんかの経験のある工人が来てあれだけの塑像、乾漆像をつくったんじゃないかなというふうに想像しますが、わからないんです。ああいう影響はもとをただせばアレキサンダー大王だと思います。ギリシャの彫刻の影響を受けたのが中央アジアに滞在して、インドの仏教と邂逅して、日本へ伝わってきた。その時期にタイミングよく奈良に都があったということだと思う。奈良にとってはそれはすごい偶然でした。その意味をよく理解できたらなと思います。それを発信することによって、例えばギメに持っていくことで、もっと多く持っていけたらと思いましたけれども、仏像なり国宝は60日所有者のもとを離れてはいけないという文化庁のルールがあるため、難しい面があります。行って帰って、それがすごい発信力になればと思います。奈良の仏像は日本のほかの仏像と全然違うと私は思います。その時代に伝わったものは、日本の中にも世界にも類がないように思うからです。それをテストして世界の人に見てもらうことはすごい大きな意味、奈良らしさを発見するきっかけになるというふうに思います。

NHK:
 知事、確認ですが、世界に発信っていうのはギメの話だけじゃなくて、仏像の映像も世界に発信したいということですか。

知事:
 アーカイブスが自由に発信できたら、デジタルで発信してると必ずピックアップされて、BBCでもすごい大英博物館の報道されたりするじゃないですか。ああいうふうなことを期待、私はしてますけれども。それには仏像の所有権の壁っていうのがずっとあるんだけども、それを体系的にオリンピックまで発信できたらいいのになと内心思ってはいます。

NHK:
 ありがとうございました。

司会:
 よろしいでしょうか。
 幹事さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事の年頭記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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