【レポート】暗記科目ではない歴史や地理の楽しさを実感!『全国高校生歴史フォーラム』成果発表会

全国から寄せられた研究レポートから選ばれた優秀賞5件

全国高校生歴史フォーラム1

【ナラプラス現地リポート】

全国の高校生から歴史や地理、史跡、文化財、文学に関する研究レポートを募集し、優秀校が発表を行う「第12回 全国高校生歴史フォーラム」が開催されました。
高校生たちが自ら設定した課題について調べ、考察し、探究していくことで、単なる暗記科目ではない歴史や地理の楽しさを実感してもらうことを目指しており、今年は以下の2つのテーマについて募集が行われました。

・テーマA:歴史や地理、史跡、文化財、文学、人物などに関する研究
・テーマB:自然・歴史資産を活用した奈良県の魅力的な観光文化の形成、地域活性化について考案したレポート [新規テーマ]

新たに追加されたテーマBについては、優秀賞の該当作なしという結果に終わりましたが、従来の募集テーマ(テーマA)に関しては、45校から73件の力作が寄せられ、優秀賞5件、佳作5件が選ばれました。

奈良大学講堂で行われた成果発表会では、優秀賞に選ばれた5件の発表が行われました。


全国高校生歴史フォーラム2
「全国高校生歴史フォーラム」は、奈良大学と奈良県が共催しています。清水哲郎 奈良大学学長の開会の挨拶では、暗記科目として捉えられていた歴史や地理を、能動的に学ぶ楽しさを実感してほしいという思いからフォーラムが始まったことなどが紹介されました。

全国高校生歴史フォーラム3
客席からは、たくさんの聴衆が見守ります。発表者の皆さんも、これだけ大きな舞台に立てたことは貴重な経験になったことでしょう。


知事賞に輝いた「岩手県立釜石高等学校 SSH地歴公民(高橋ゼミ)」

全国高校生歴史フォーラム4
岩手県立釜石高等学校 SSH地歴公民(高橋ゼミ)の発表テーマは「南部藩の虎舞の起源を探る~虎舞はどこで生まれ、どのように広まっていったのか~」です。冒頭にステージ上で「虎舞(とらまい)」の実演も行われました!

全国高校生歴史フォーラム5
虎舞(とらまい)とは、虎頭をかぶって舞う郷土芸能で、獅子舞が変化したものとされます。そのルーツは伊豆にありますが、これがいつの頃から、どこで獅子から虎へ変化し、どのように広まっていったのかを丹念に調査しています。
東日本大震災からちょうど400年前に起こった慶長の大地震により、三陸沿岸は壊滅。その復興の願いを込めて、南部藩藩主・南部利直が虎を取り入れたのではないか。虎の姿がリアルなのは、カンボジアから生きた虎が徳川家康に献上された後、1頭を南部利直が拝領していたためだと推理しました。
身近な郷土芸能に興味を持って掘り下げることで、歴史の糸が見事に繋がりました。

全国高校生歴史フォーラム6
審査の結果、この研究レポートに対して「知事賞」が授与されました。おめでとうございます!


学長賞は「岐阜県立関高等学校 地域研究部」が受賞!

全国高校生歴史フォーラム7
岐阜県立関高等学校 地域研究部の皆さんの発表は、地元・岐阜県出身の歴史家の足跡を追った「渡辺三三(さんぞう)の撫順史研究~植民地支配と歴史学~」です。
遺跡踏査の際に撮影された1枚の白黒写真から発表は始まります。渡辺三三は、高句麗発祥の地・高句麗新城、清朝初代ヌルハチが築いた最古の王宮フェアラ(旧老城)を発見するなど、旧満州での史跡調査に大きな功績を残した人物です。彼が発見した旧都・永陵は新聞で「満州の奈良」と紹介され、観光コースの開発が期待されていたとか。
しかし、その活動は抗日パルチザンから襲撃される危険性をはらんでいました。年表と地図で見ると、日本軍とパルチザンとの戦況に大きな影響を受けていたことが見て取れます。
地元の偉人の業績をただ褒め称えるのではなく、親しみを感じながらも、彼が持っていたであろう下心のようなものまで踏み込んで考察している、素晴らしい内容でした。

全国高校生歴史フォーラム8
この発表に対しては、「学長賞」が授与されました。おめでとうございます!


優秀賞作品は着眼点がユニークで内容が濃いものばかり

全国高校生歴史フォーラム9
埼玉県・開智高等学校(中高一貫部)開本嘉仁さん、佐藤竜也さんの発表は、「草加松原団地と現代地域資料保存の研究「高校生草の根アーカイブズ」としての取り組みと課題」です。
埼玉県草加市の「草加松原団地」とは、1962年に建設された“東洋一のマンモス団地”と呼ばれた巨大団地です。高度成長期の社会史を伝えるものであるにも関わらず、その資料がほとんど見当たらなかったことから、管理会社である都市再生機構、当該自治体(草加市)、松原団地自治会への調査を進めていきます。
資料は散逸しており、団地の保存への機運は見られないという残念な結果でしたが、今回の調査で見つかった資料をホームページで公表するなど、一定の成果は得られたようです。「歴史の浅いものをどうやって残していくか」という問題提起になっていました。

全国高校生歴史フォーラム10
長野県須坂高等学校 宮崎愛斗さんのテーマは「長野電鉄絵地図における幻の社名から探る 小林一三・神津藤平の先見的鉄道経営構想」です(※欠席のため動画が流されました)。
地元の鉄道に興味があった宮崎さんは、須坂市立博物館の収蔵品である絵地図「長野電車名所案内」の中にあった「長野鐡道」という表記に疑問を持ちます。現在の「長野電鉄」は、長野電気鉄道と河東鉄道が合併して誕生したもので、この表記は他では見られないものだそうです。古書店や市の文書館などで資料を探していくと、同時期の時刻表に同じ表記を発見。合併前のわずかな期間のみ使用された暫定的な名称だったことが判明します。
鉄道が電化していることが大きなアピールポイントだった時代、鉄道と電鉄という小さな違いにこだわって掘り下げていくことで、素晴らしい研究内容となっていました。

全国高校生歴史フォーラム11
大分県・大分東明高等学校 郷土史研究部の皆さんからは、「≪1918≫暴動・戦争・疫病 ―100年前に大分でおきた3つの事件―」と題した研究発表がありました。
調査の出発点は、大分市の桜の名所として知られる陸軍墓地「桜ヶ丘聖地」でした。大分からシベリアに出兵し、1918年に戦死した大分連隊の兵士たちが眠っています。今から約100年前の大分の状況を、地方紙『大分新聞』と『豊州新報』の記事を中心に、丹念に読み解いていきます。
すると、1918年7月、富山県に端を発した「米騒動」、米価の上昇の一因ともなった「シベリア出兵」、さらには人類が初めて体験した新型インフルエンザともいわれる「スペイン風邪」。この3つの事件は、互いに影響しあっていて、それぞれが世界の重大事件と深く関わり、大分と世界を結びつけていたことが見えてきます。
新聞記事という一次資料に極めて近いものから、当時の時代背景にまで思いを巡らせながら丹念に読み込んだ、とても面白い研究でした。夏の記事では「シベリア出兵に関する記事の掲載を禁じられた」など、嫌々命令に従う旨を紙面に掲載するなど、抵抗の様が見られたりするのも、時代性が感じられました。

全国高校生歴史フォーラム12
発表の最後には、植野浩三教授(奈良大学 文学部文化財学科)による特別講演会「歴史研究と博物館展示」も行われました。来場した高校生たちにもわかりやすく、歴史研究のはじまりや調査、展示方法などについて解説がありました。


来年は奈良大学 創立50周年!チャンレンジしてください

実行委員長である土平博教授(奈良大学 文学部地理学科 教授)からの総評として、今年の応募作品の傾向などがまとめられました。
・“考古学のみ”といった1つの路線だけではなく、多面的に取り組んだものが多かった。
・過去→現代→未来という時間的な広がり、他エリアとの地域的な繋がりが見られた。
・地域性を生かしたユニークな視点をもつ作品が多かった。
来年度は、主催する奈良大学の“創立50周年”記念イヤーとなります。全国の高校生の皆さん、ぜひチャレンジしてください!


第12回 全国高校生歴史フォーラム (※終了しました)

●日時:2018年11月17日(土曜日)13時から18時
●場所:奈良大学 講堂(奈良市山陵町1500)
●参加費:無料(申込不要)

●優秀賞:5件
・「南部藩の虎舞の起源を探る~虎舞はどこで生まれ、どのように広まっていったのか~」岩手県立釜石高等学校 SSH地歴公民(高橋ゼミ)
・「草加松原団地と現代地域資料保存の研究「高校生草の根アーカイブズ」としての取り組みと課題」埼玉県・開智高等学校(中高一貫部)開本嘉仁さん、佐藤竜也さん
・「長野電鉄絵地図における幻の社名から探る 小林一三・神津藤平の先見的鉄道経営構想」長野県須坂高等学校 宮崎愛斗さん
・「渡辺三三(さんぞう)の撫順史研究~植民地支配と歴史学~」岐阜県立関高等学校 地域研究部
・「≪1918≫暴動・戦争・疫病 ―100年前に大分でおきた3つの事件―」大分県・大分東明高等学校 郷土史研究部
●佳作:5件
・「形式と戒名から探る地域信仰の形態 ―安中市 自性寺の墓石を中心に」群馬県立桐生高等学校 地歴部
・「「忠魂碑」への“眼差し”~過去・現在・未来~ 埼玉県岩槻区「忠魂碑」群の史資料の“可能性”―保存と課題―」埼玉県・開智高等学校(中高一貫部)歴史研究同好会
・「奥津家文書から見る御旗奉行の役割」神奈川県立秦野曽屋高等学校 日本史研究部 山田史也さん
・「与謝郡与謝野町加悦谷の歴史社会 ―石造物の基数と銘文に着目して―」京都府立宮津高等学校 フィールド探究部 岡野壮一郎さん
・「長崎県壱岐市大久保遺跡の研究 ~縄文時代晩期貝殻粉混和土器に関する一考察~」長崎県立壱岐高等学校 東アジア歴史・中国語コース歴史学専攻

●主催:奈良大学・奈良県
●後援:奈良県教育委員会・NHK奈良放送局・奈良新聞社


(リポート・写真 / ナラプラスライター N)


(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 髙塚・金田
電話番号 0742-27-8325

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