平成30年12月26日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、まず平成30年県政の主な出来事につきまして発表し、今年の漢字について色紙を示しながら説明いたします。
 それでは、まず県政の主な出来事からよろしくお願いいたします。


平成30年県政の主な出来事、今年の漢字

平成30年主な出来事(pdf 224KB)

知事:
 今年もいろいろお世話になりました。ありがとうございました。

 皆さんは世相をどう見るかというお仕事ですが、主な出来事も漢字も、我々はどちらかというと県政から主観的に見ますので、仕事についての成果とか実現がどうかというふうにどうも見てしまいます。県民の方の感じとまた違うのかなと思いながら、この資料をちょっと読んだところがあります。県民の方は、あまり県政、それぞれを十分にご存じないことも多いようにも感じますので、改めてこう列挙いたしますと、我々はこのような事項を喜んだり、一喜一憂したりしているわけです。県民の皆様と大分違うように県政の周りは思ってるなというふうに思われるかもしれません。それはそういう性格でありますので、県庁から見た県政の主な出来事ですということです。

 ここに書かれてあるとおりですが、1からの優先順位ということではなく、分野別に出来事を書いた。皆さんが何か記事を書かれるときの検索資料みたいな感じにもなってしまっていますが、それでも意味があるかもしれません。そのように県から、県庁から見て広報広聴課が編集してくれましたので、なるほどなと思って見ております。主な出来事については、そのようなことです。

 今年の漢字というのも、世の中こういうことだったということを権威ある人が筆で書かれるということが多いんですが、私は、この奈良県はこうだったというほど、皆さんほどあまり知識がないから、私の立場から見て、年を迎えるに当たっての心境というようなことで書きました。

 この気持ちは、過去1年ということですけれども、ここに書いてありますように「夢」、夢を持って仕事をしてきているつもりなのですが、この主な出来事が、夢が実現してきてますねというような気持ちも率直に言って思います。私にとっての奈良県政の夢が実現してきた面もありますので、喜びと感謝をしてますという意味もあります。

 それから、まだ夢が続くというような意味の、今年の時点で、このような夢が続けばいいなというような気持ちもあります。いい夢のようにも思うのですが、このような出来事にあるような夢が続けばいいなという意味の夢を見続けたいというか、追いかけたいというような主観的な気持ちも、このような言葉で、漢字で表しました。

司会:
 ありがとうございました。

 それでは、今ご紹介ありました県政の主な出来事と、ことしの漢字に対する質問のほうございましたら、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

平成30年県政の主な出来事、今年の漢字

時事通信:
 「夢」ということですけれども、県政の中で特にどれが実現した夢だというふうにお考えですか。一番、そうですね、代表的な夢、実現したものを一つ二つ上げていただければ。

知事:
 一番嬉しかったのは、苦労したものが実現したら、それが一番嬉しさにはね返るという意味となりますが、建物ですが、奈良県総合医療センターのオープンは、医療改革の象徴的な意味があり、とても嬉しかったです。出来上がったという意味で。

 そして、結局苦労したもののはね返りですが、奈良市になりますが、コンベンションセンター、ホテルの建設が始まって、まだ姿は見えていませんが、建設が始まったことはとても嬉しいです。夢というふうに結びつく大きな動機になりました。

 奈良はホテルが少ない。10年前に知事になったときもホテルが少なかった。遷都1300年を迎えるに当たって、元首級の人が来られても、奈良に泊まっていただけないといったような事情があった。県営プール跡地のホテル誘致も、リーマンショックでホテルの誘致ができませんでした。数年間、ホテル誘致の感触はもうほとんどなかった。東京を随分走り回りました。森トラストの森章さんのおかげでJWマリオットが進出して、あのようなホテルの建設が始まったというのは、その苦労をしたという意味を込めまして、その夢が実現しかかってるという意味で、まだでき上がってはいませんが、気持ちの上では一番嬉しいことです。

 そして、これも途中ですが、平城宮跡で大極殿院の南門の建設が国営公園100%で始まり、朱雀大路の開園がありました。これも知事に就任した月に国営公園の陳情に行きまして、そこから半年たって、12月の予算編成の大臣折衝まで行きました。奈良県の国営公園化が大臣折衝まで行って認めていただいた記憶がありますので、国営公園、垂涎の的ですが、ポスター一つ作らないで実現した、そのきっかけは香川俊介さんですが、そういうきっかけがあったこと、これも個人のむしろあまり苦労しないでうまくいったという、ありがたい思い出です。

 あと数字の面で、本当に嬉しいのは、がんの年齢調整死亡率がこの12年間で一番下がり、全国6位まで下がった。12年前に34位だったが、6位まで下がってきたという数字と、工場立地件数がこの11年半で317件。京奈和自動車道ができて18年から330件ぐらい工場立地件数が続いて、なかなか落ちないので嬉しい。30年上期で全国7位までなっていますので、奈良のようなところが工場立地件数が全国の1桁になるというのは嬉しいことです。それから、経済の就業地別有効求人倍率が近畿で1位。近畿で1位というのは、滋賀も抜かしてしまってという信じられないようなことです。

 税制で、近々なので書いてなかったかもしれませんが、特別法人事業譲与税(仮称)が創設され、奈良県が相変わらずラストですけども、東京の6分の1だったのが、東京の3分の1まで改善されるというようなことは、それこそ夢が実現し、嬉しい。これは地方消費税の清算基準と連動してましたので、地方消費税の清算基準が、実は陰で随分動きましたが、今度はあまり動いたと言うと東京都からにらまれるので言わなかったのですが、地方法人課税の偏在是正のほうはあまり動きませんでしたが、ずっとレールができてましたので、これは実に嬉しいことです。

 そのようなことで、嬉しいことが随分たくさんありましたので、このように「夢」という言葉になってしまいました。

司会:
 そのほか、ご質問はよろしいでしょうか。
 発表案件につきましては、よろしいでしょうか。
 それでは、その他の質問も含めましてご質問よろしくお願いいたします。

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国及び県の来年度予算について

時事通信:
 国の話ですが、政府の来年度予算案が閣議決定されまして、それに対するご感想、ご所見、どこに着目されているかを含めて、いただければと思います。

知事:
 ずっと構造的なのは、高齢化が進んでますので、社会保障費が高齢者の方に対して多くなるのがしようがないわけです。それを国の財務省と厚労省が高齢化対応で工夫をしております。全力を挙げて社会保障に向かっております。それが、日本ほど高齢化が急速に進んでる国がない中で、日本モデルというのを随分つくってこられております。

 その一つの特徴が、国で、現金給付か現物給付かという考え方がありますが、現物給付しないとケアがなかなかできませんので、現物給付は地方政府をうまく巻き込んで使おうと厚労省が転換されて、その法律も改正され、一つの日本の国のあり方になっております。それがずっと、そのラインで国の予算がセットされてきているというのが、とにかく量が大きいことですので、印象的です。

 もう一つは、国の経済の発展形態です。経済とても大事ですけども、経済の発展形態は、特に日本で大事なのは高齢化と若者対策ということが大事だと思います。若者中心に働きやすい国になるのか、グローバル化の中で、人材で生きてきた国ですので、人が能力を発揮するようになる、その仕組みがあるのかどうかというのはとても大きなポイントだと思っております。これは予算だけの話でなく、国の方針が変わることによって予算の内容も変わってくるというので、そのように、額というよりも質の変化が、気になります。

 働き方改革で大きいものは、予算に反映される面はわずかかもしれませんが、外国人材をどのように使うかというのに踏み切ったという点と、若者の、特に女性の雇用、働き方というので、大きな働き方改革の議論がありました。その手当てがやはりされ始めているというのを気にしております。量は少ないかもしれませんが、現金をばらまいたらできるという時代じゃなくて、工夫をしないと効果が発揮しないよという意味で、働き方というのが大きなこと。経済の中で一番大きなのは、日本は働き方をうまくして日本国民が働きやすいように、能力が発揮しやすいようにすると、まだまだポテンシャルはあるのかなと思っております。その点注目して、充実の方向だと思います。

 その中で教育も関係すると思いますが、特に保育とか就学前の教育、予算ですから教育費用というのに注目されることが多いんですけども、大事な全体の国民の過ごす時期、国民の一部が過ごす大事な時期ですので、それをとても大事だと国が認識をしてくれた面もあると思います。

 財政ですから無償化とか経済的なことが中心ですけども、助かる面もあるんです。その経済的に助けるのと中身を充実するのと並行できるようにと願っています。そのようなメッセージも入っていると思います。

 それから、もう一つは、地方政府は直接ではないですが、安全保障をどうされるのかなという、アメリカとの関係で安全保障費が膨らんでいるような気がいたします。

 日本の安全保障というのは、ずっとこの100年間、戦争の世紀、日本、東アジア中心に戦争の世紀でしたが、この1世紀は、我々日本だけが周りと戦争したのではなくて、ヨーロッパも戦争して、ヨーロッパの戦争に大分巻き込まれた面もあるような感じもいたします。

 とりわけスターリンとヒトラーの大げんかに巻き込まれたと思うんですけども、今はどういう構図になっているでしょうか。トランプと習近平ですかね、これは口のけんかだからまだいいのかもしれないけど、防衛費ということでは、そのけんかに多少巻き込まれているのかなという印象があります。世界の情勢の中での安全保障予算というのは、これは個人的に気になります。ポスト的には関係ありませんが、予算はそんなところです。

 ほかは全体予算をちょっと真剣に見立てたということもありませんので、今ご質問があって、思い出して感じるところをちょっとランダムに列挙しただけで、申しわけありません。

時事通信:
 あと、追加でもう1点、来年度予算の中で防災のことですとか、それからあと地方自治体に対するお金の振る舞い方も結構手厚いように思います。これは奈良県にとってもチャンスではないかなと思いますが、そのあたり奈良県としていかがでしょうか。

知事:
 地方財政の主計官が奈良県に4年いた前田君だけれど、主計官レベルで奈良県に手厚くということはできないわけです。ただし、地方に何か手厚くもしなっているとすれば結構、前田君頑張っているなというふうに思います。

 それは地方の仕事をどのようにフィックスするかということへの国の対応と裏腹だと私は思うんですね。こういうふうに、このように仕事をさせるからこのように予算つけるよと、こう二つ一緒におりてくるのがいいと思います。よく分権、分権って、個別分権を何か、すだれ分権と私の言葉では、すだればっかりおりてきてカーテンにならないと遮光もできないんじゃないかというような意味です。この部屋はこのようなカーテンをおろして、このようなカーテンで飾りなさいというふうにまとめてその分権があって、まとめてその予算がつくというふうに、まとめ分権のほうがいいと思います。そういう傾向になってきてると思います。厚労省、医療介護などは現物給付の傾向が強いのはそのようなことです、あとそのような意味でおくれているのは教育行政、文科と農水だと思います。防災のほうは、国の方針と地域の方針と全く一致しないといけない分野であると思います。

 もとから防災、インフラについては、割と地方分権が進んできてた分野だと思います。それが予算的に充実されたと思います。制度的にどうだこうだというのでなく、防災は他山の石をよく見ないといけないと思います。岡山の真備町であんな災害が起こったから、ほかも同じような地形に見えるが大丈夫か。大丈夫なところと大丈夫でないところがよくわかってきております。

 きのう関西広域連合の会議があってその議論も多少出ました。ほかの防災の対応を学んで、一番いい対応を取得するというのが我々為政者の最も大事な点だと思います。

 防災は地方の一番大きな仕事に今なっております。予算がたくさんついたらできるという、そのような研究、学びで抜け目ないように、抜けないように勉強するというのが必要だと思いますが、完璧はなかなかありません。それを上回る自然の破壊力があるときもあります。

 災害が起こらないのはたまたまそこを襲わなかっただけであることが多いので、備え備えの意味が、安心して寝られるということはないんですけども、備えだけは十分せないかんというふうに思います。

 そのような方向で、災害が起こったからだと思いますが、中央政府は災害対応に手厚くするというのは、復旧ではなしに事前の予防というのにも、強靱化という名目で手を入れていただくのはありがたいと思います。

 災害が起こらないと激甚にしろ予算がおりないよというんではなく、同じような災害が起こりそうなところは工夫して備えろよというメッセージが入っていると思います。それに呼応してどういう備えをすればいいのかということを、そのソフトだけじゃなしに、ハードでも勉強しなきゃいけないというふうに思います。

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宇陀市宿泊施設について

奈良新聞:
 先週末ですが、宇陀市の住民投票で宿泊施設の建設に反対という、僅差で、そういう結果が出ました。それの受けとめと、今後県と宇陀市でやっているまちづくり事業、核となる施設だったと思いますが、今後どうするのかを教えてください。

知事:
 県と一緒にやっているまちづくり事業ですが、県でも市町村でも、一方がやめたと言えばやめになります。したがって、そのまちづくり事業の中で市がそういう判断されたら、その部分は落ちます。だからそれなしのまちづくり事業を考えようということになります、これからはですね。

 それは市の判断で、このまちづくり事業のアイテムに入れませんよというだけの話であります。その上で、基本的な議論もこれからは出ると思います。

 基本的な、というのは、では宇陀市では宿泊施設は要らないんですかということが、また議論にはなると思います。要らないとおっしゃるのか、こういうやり方はできないとおっしゃっているのじゃないかと思っております。ほかのやり方があれば、宿泊施設もあればいいなと思われてるんじゃないかと、まだちょっと直接、あした市長が来られます。そのような中で話はもちろん続くわけでありますので、まちをどのような形でよくするかというのは、意見をかけ合っていくということは、奈良モデルによるまちづくりのプロセスです。

 榛原、宇陀でも同じように続くと思います。ほかのまちでも、落ちたアイテムもありますし、新しくできるアイテムもありますので、それは両方の意思が合意されたら盛り上がるということですから、片方が欠けるとなくなってしまうんですね。

奈良新聞:
 あしたの面談は、宇陀市長と一対一でしょうか。

知事:
 だと思います。ご挨拶だけかもしれませんけど、気にされているのかもしれません。だけど今みたいな対応ですので、これからまたまちづくり協定がなくなるわけでもないと思います。

奈良新聞:
 その住民投票の結果を受けての報告とかではなくて・・・

知事:
 ではないかなと予想しておりますけれど。

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国道169号高原トンネルについて

時事通信:
 川上村の国道169号の高原トンネルの話、ひび割れが見つかって、僕もこの間行ってきました。迂回するのに時間がかかっていて、川上村にとどまらず、その南の上北山、下北山との交通、物流にかなり影響があると思うんですが、知事は今後、どのように手当てしていくつもりですか。

知事:
 高原トンネルについては、三日前の日曜日に伯母峯峠道路の起工式があって、そのときに黒川近畿地方整備局長が来ておられたので、その席上、打ち合わせをしました。

 また、道中、上北山へ行く前に高原トンネルの中とクラックを見てきました。クラックが、トンネルの出口に向かって斜めに入ってるんですよね。これは上で土崩れが起こっていることが想定されるんですね。中心部はなくて、出口のところだけです。そのクラックの外側と中側をこんこんとコンクリートをたたいてもらいましたが明らかに音が違う。要は、中は滑らなくて外は土が滑って、コンクリートに亀裂が入って、それが浮き出しているような音なんですね。これは危険だと。斜めに亀裂が入って、それが足元で剥落しているような、浮き出しているような音があって、天井まではまだ亀裂はないんですが、天井に亀裂があると車道にどさっと落ちる可能性があるというのが一番想定される危険な形態です。それを防ぐには、まずその落ちそうなところのトンネルの内側に、内側トンネルをかぶせるという工事があるんだそうですが、一つはそれをすぐにしようと打ち合わせをしてきました。

 すぐにするにしても、二、三カ月はかかるということです。通過中、上からぼろっと落ちて車に当たって事故が起こらないための防止装置で、トンネルの中全部をしなくてもよさそうなので、専門家に見てもらって、クラックの周辺と出口の近くに。土の中まではわかりませんが、土が滑っている進行の様子を見るのと、防ぐ手当てをするのは、道路管理者である県としては放置できないと。すぐにでも専門家に聞いて、そのような工事で、剥落しても道路通行車に被害が発生しないようにしようと、内トンネルをつくりたいと。ここまですれば、ほかはそんなに浮かないから経過観察をしますという対応の方針を一つ確認しました。

 もう一つは、土が流れているのをどこかで止められたら根本対策になりますが、トンネル内の剥落が、亀裂が、白屋地区の土が滑っているかどうかということもよくわかりません。それについては、土が滑っているのかどうか、それが影響しているのかどうか、またそのときはどのような対応をすべきかということは、ダムの専門家に調査してもらおうと。これは近畿地方整備局でダムは調べてもらおうという方向で議論しました。

 もう一つは、迂回路の改善ですが、迂回路は長い時間一方通行になっていますので、こちらから行くのが終わった後だと、場合によっては10分以上、20分ぐらい待たないかん。すると、待ち過ぎだという不満が発生するので、これはアイデアだけですが、(何時)10分に南から行きますよとか、北からは(何時)20分に来ますよというふうに、一方通行で定時的にこの対応をできないかとかね。すると時刻を覚えておられると到着時間を調整して行ってもらうことができないだろうかとか、その途中でのすれ違いの改善ができないかとか、夜暗いので明かりをつけられないかとか、その迂回路の改善対策を並行して検討しようということ、これは年内でも実行できるところは実行してもらうことも固まりました。その3つですね。

 いずれにしても、トンネルの中の剥落があると怖いので、しばらく剥落があっても止められるような内トンネルをつくるのは、とりあえず県の施工でさせてくださいと、またできるだけ早くするがしばらくはかかりますと、村長さんたちも一緒に聞いておられました。

時事通信:
 どれぐらいになりますかね、結構長引くと大変そうだなと。

知事:
 今のところ、二、三カ月だと聞いています。

 工事開始は、きょうの時点でわかりませんが、至急と指示をしています。できるだけ早く、方針が決まって、専門家のアドバイスでもあるので、近畿地方整備局から意見はいろいろありましたが、内かぶせをする方向で、近畿地方整備局には道路の専門家もおられるので、それでよければ発注をすることになると思います。すぐにでも始められたらと思っています。それでも二、三カ月かかると。それと、迂回路の関係になるかもしれないけど、鉄骨か鉄筋が不足してきているので、資材の調達が間に合うかという懸念も出て、工期が数週間延びるかもしれないと聞いています。確定的な期日はまだ聞いていませんが、ざっくりと言えば二、三カ月、それが三カ月に近づくかというような報告です。

奈良テレビ:
 トンネルのコンクリートの外側で地すべりが起きている可能性があるという指摘がある。外側というのは。

知事:
 山側ですね。山側の土がダム側に向かって滑っているんじゃないかと想定されるんですね。外の土が滑っているので、張ったコンクリートの引っ張られ方が違って、亀裂になったんじゃないかと。いずれにしてもコンクリートが動いたほうが浮き出してくるから、コンコンとすると、もう浮き出した音もありました。今は、下のほうですが、上のほうが浮き出していると危ないということなので、内側にトンネルをつくる工法があるのでそれを早くしようと。コンコンはずっと続けますが、毎日コンコンとたたいて、きょうは大丈夫だというわけにもいかない、というところまで現地で確認してきました。

毎日新聞:
 二、三カ月かかるというのは、全面復旧に二、三カ月かかるということですか。

知事:
 トンネルの内側のかぶせを必要なところだけつくるだけでも二、三カ月かかるんじゃないかと。トンネルの内側のほかの部分はそんなに動いてないだろうということなので、全面でなくても大丈夫だと。出口の亀裂、その前後にかぶせないといかんということですね。

毎日新聞:
 内側のトンネルの完成をもって、全面復旧という理解でいいんですか。

知事:
 それはもう全面復旧。トンネルの上で土が崩れるとコンクリートが引っ張られるんじゃないかという想定ですから、コンクリートが落ちなければいいでしょうと。トンネルが崩れるわけじゃないということです。

毎日新聞:
 予算はどれぐらいかかるんでしょうか。

知事:
 幾らになるのかな、予算は聞いていません。

毎日新聞:
 それは予備費で対応ですか、それとも2月補正であげるお考えですか。

知事:
 補正だと少し先だから、予算も聞いていませんが、すぐにできるような予算となると予備費とか。補正であげて通すというほどじゃないか。いずれにしてもすぐにでも工事を、と言っています。専決になります。

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国及び県の来年度予算について

毎日新聞:
 (県の)来年度の当初予算の概算要求について、選挙を控えているので骨格と思いますが、知事としての思いを教えてください。

知事:
 骨格です。だから当初予算はあまり勉強しないよと言って、4月から一生懸命やるからと、骨格にしてくださいと、こう言ってます。

毎日新聞:
 そうすると、特に何か思いがある事業が入っているわけでもない。

知事:
 骨格だから入らないと思います。

 骨格でも、継続したタイプの、4、5、6月でもついてないと早くしないと困るというような予算があればそれは入ることが通常ですから、そういう予算で必要なものは入れてもらっていいですが、なるべく本当のスケルトンに、骸骨になるように、間に合うように作ってもらったらと言ってます。

 予算は、先ほど言ったみたいに、お金をばらまくのではなく、工夫をしないといけないといつも思ってます。工夫のしたがりなんです。工夫をしろ、工夫しろと、こう言ってるから、工夫をするのにこんな骨格で工夫というのはすぐにできないから、工夫は当初に議論が入ったときに工夫をしようと、こういうように今言ってます。

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国道169号高原トンネルについて

奈良新聞:
 内トンネルは、出入り口のどちら付近でしょう。また、何メートル区間程度作るという、そういうものはありますか。

知事:
 どのぐらいかな、トンネルの亀裂が、トンネルの上まで、やはり数メートル、一、二メートルではないんです。目分量ですが、これが斜めにずっとあると、幅がすごく長くなるでしょう。真っすぐだと2メートルで亀裂は、そんな亀裂ではなくこう斜めだから、少なくとも上でこう亀裂があるようなところはカバーしないといけないという感じはします。それは、僕の素人の目分量ですが、ここで数メートル、5メートルは要るのかなと思います。それを重ねて、その前後も処置しないと危ないかというのは専門家の判断だと思います。亀裂したところだけ内トンネルだけで済むのかどうかというようなこと、それは工期とも関係しますので、それだけしたら通行可能になるかどうかは、また専門家のご意見を聞かないと私みたいな素人ではわからないですが、そういうやり方ででもしたらどうかということで打ち合わせてきましたという、今の時点でのご報告です。

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今年の漢字『夢』について

奈良新聞:
 今年の漢字が、夢が実現したことの「夢」ということでした。将来実現させたい夢は何かありますか。

知事:
 夢はたくさんあります。毎晩夢を見るから。夢は、言えば実現しますか。実現しそうな人のところではなるべく言うようにしています。皆さんの前でも言えば実現しそうな気がしますが、実現すればいいなと、その可能性の程度は別にして、そうですね、夢らしい夢というかね、実現はなかなか難しいですが、夢は、リニア関連です。ハード的に、奈良県はインフラが少し遅れていたと思います。インフラの関係が関西は遅れているなと。僕はそういう鉄道インフラの仕事してきたから思うわけなんですけれども、奈良は特に遅れてる面もあったなと思って。

 よく言われるのが、新幹線と空港のない県が3つあって、山梨、三重、奈良なんです。山梨、三重、奈良は、今度リニア中央新幹線が通るから、新幹線の駅若しくは空港がない県はなくなる予定であります。空港のない県はもう少しあります、三重もないし、山梨もないし、奈良もないということで、奈良県では、リニア中央新幹線が来たら、その土が760万立米出ますので、それを五條まで専用軌道で運んで大規模防災拠点を作ろう。大規模防災拠点には、南海トラフ地震があると大規模な滑走路があったほうがいいというのは山形空港の例で学んだところですが、2,000メートルでも足らないぐらいだったというような、いっとき大変だったというような話です。すると、南海トラフ地震があると、南紀白浜だけでなく、五條のような場所に、大阪湾にも行かなければいけない可能性があるので、滑走路があると固定翼で輸送力が全然違うから、2,000メートル滑走路つきの大規模広域防災拠点というのが夢。それはリニアの土を専用軌道で運んで、専用軌道は、将来鉄道化しようと考えています。新幹線の常電動リニア新幹線で奈良市附近から五條まで行って、それを延ばして橋本から関空まで行くというのが私の夢なんです。

 きのう、関西広域連合で徳島県の副知事から、僕は国交省の土木屋だったが、関西国際空港に行った後どうするの、徳島に来ないの、といって迫られたんですが、新幹線構想はありますが、それは和歌山まで行って一番短いところをトンネルを掘るというんだけど、リニアは割と上下強いから、リニアだったら徳島まで渡れるかもしれないなと、懇親会の席での話です。

 昨日、奈良の話ではないですが、フリーゲージトレインの講演がありました。フリーゲージトレインの関西での利用の仕方は、実は本四架橋は狭軌なんですが、新幹線にしようと思ったら広軌にしないといけない、広軌にしようと思って研究しましたが、橋桁も補強しないといけないので、広軌にしてもできるようにしとけばいいのにと思ったんだけど、もうできないと。ならば、岡山まで新幹線で行って、そこからフリーゲージに乗りかえて、本四架橋渡って四国に新幹線が上陸する。で、松山、徳島、高知には狭軌で行く。時折トンネルでも改良するとその分だけ早くなる。それでも1分短くするのに100億円かかるという、鉄道はすごくかかるんです。しかし、フリーゲージがもう何年やっても難しいと言われたのは、270キロどまりだと山陽新幹線とか東海道新幹線とかの高速鉄道では、巡航速度がそのぐらいなので。

 すると別に東海道新幹線に入らなくても岡山-新大阪まで270キロではだめなのか。もう一つは鳥取に行く智頭線というのがあります。それは真っすぐ鉄道が走って、単線で狭軌なんですけど、鳥取から岡山に来てそして岡山から新幹線に入り新大阪まで行く。こうすれば日本海と高知から来て岡山で山陽新幹線に入り新大阪に入ると。新大阪で今、研究されているのはリニアとの接続、山陽新幹線とリニアがホームで接続するという構想ですが、それができると四国からフリーゲージに乗って、橋を渡って岡山から山陽新幹線で新大阪に来て、リニアにホームで乗り継いで東京まで行ける。山へも、スキーにも行きやすいじゃないかと思う。これはやろうと思えば実現可能性が高い。

 あるいは、東京の人が鳥取にカニを食べに行こうという時は、飛行機で行くこともできますが、長野の人がカニを食べに行くのはなかなか大変。リニアで新大阪まで来て、特急に乗って智頭線。智頭線に入る特急は京都から出ていますが、新大阪にそのリニアで行って、新幹線で岡山まで行って、智頭線に行くととても早く行けるのでというような交通体系をどうですかと言ったら、後で副知事さんやいろんな人が、あったらいいなと、こう反応がありました。よその県のことは夢で語れますし、同じようなことを奈良県でも、奈良県の夢も語っとかないと、ほかで実現して奈良で実現しないのは寂しいから、そんなことを言っております。

 今の夢がこれからの夢で、夢をちょっと大きな字で書かないかんぐらいのことですけれども。新年どんな夢見れるのかと思います。

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税制改正大綱について

時事通信:
 先ほど税制改正の話で、奈良の言ってきたこと、法人二税の話もあったので、そのあたりの税制改正大綱に対する知事のご所見をいただけますか。

知事:
 税制改正は自治税務局長がよく頑張られたと思って感謝します。地方の税制にとっては東京都との関係がすごく大きかったので、このようなことも今の時期でないとめったにできない。自治税務局長だけでももちろんできないですが、政治的な状況ということもあったと思いますが、そのようなことはめったにできないというふうに思いますので、これも不思議なことですね、そういうようなできる時期もあるのかということであります。できるときは10年か20年に1度ぐらいはあるかもしれない、そのときにその形がよくなるかどうかは、もうそのときの運命だと思いますが、私は今度の税制改正で地方税の偏在是正はとても大事な話だったと思います。

 地方消費税のエピソードは、大阪で枕とか布団買って、家で奈良県民が消費したら、どうして地方消費税が大阪に入るんですかということから始まった。高の原のイオンの売り上げは全部京都の消費税に売り上げに入っているのはどうしてですか、それは入り口が京都府にあるから。そんなおかしなことないでしょうといって順次改善されてきた。京都府と奈良県に分かれている高の原のイオンの売り上げが全部京都府の地方消費税の税収に回ってたんでね、それを発見して、おかしいと言ったら、今度は県境の面積割に変えてくれたというようなこと。そういうようなことが知らないと起こってたんだから、それはもう何年も前からそういうことを言ったのが、今回のことにもつながっている。

 大阪の百貨店の話も、おかしいじゃないですかと。すると、最初の地方消費税が2年間あって、最初は従業員割が減った。従業員割がなくなったのかな。従業員割がなくなって、人口割になった。今度は、人口割が5割まで、2段階で地方消費税が改善しました。その延長で、たまたまその過程で税制改正大綱に今年は法人税改革すると書き込んであるから、書き込んだのがそのように実現するのを、どちらかというと今年は見ていればよかったというぐらいの感じなんで、3年越し、4年越しかもしれない、こちらだけの力ではもちろんないですけれども、そういうことを言えば、それこそ夢だったように思います。なかなか言うことはおもしろいんだけど、とか冷やかされてばっかりでしたが、やってくれる人もいるんだなと。世の中に神様もいるんだなというぐらいに感激する思いです。

時事通信:
 (今の)時期というのは、東京都知事のことを意図しているのかと思いますが。

知事:
 時期は、東京の政局ということもあると思います。地方消費税の清算基準を言うと、東京都も自民党国会議員の人が反対って鉢巻締めてデモされたから、それは難しいだろうと思ってましたが、政局が変わるとこのようにもなるのかなと思ったり。政局を変えるのは、こちらの力でやったわけでも全くありませんけれども。言ってないとなかなか弾みがつかなかった面もあるかなというぐらいは思います。不思議なことも起こるなという気がします。それでも6倍の差が3.15倍の差になっただけだから、まだまだ奈良県は1人当たり法人二税の配分はラストですので。それでも大いに助かりますので、ありがたいと思っています。

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せんとくんについて

NHK:
 せんとくん(のイラストライセンス)を無償化されました。そうしたら申請件数が結構来て活躍しているような気がしますが、仕事ぶりの評価はいかがですか。

知事:
 一緒によく出演することがありますが、例えば東京で企業立地のプロモーションをしたり、観光のプロモーションをすると出てきてくれます。相変わらずの人気です。僕なんかもちろん目じゃないわけで、もうすごく人気があって、相変わらずでうれしいなと。最初、問題にされたのがよかったのか。上海万博でも奈良のプロモーションに行くと、せんとくん、中国の人も随分知ってました。だから非常に国際的であったみたい。割と動きが良くて大活躍だと思います。

NHK:
 今まで有料で全然使ってくれなくて、無償化したら使ってくれるようになったというのは、これは戦略が奏功したということですか。

知事:
 たくさんの民間の方が、いろいろ使ってくれているのでありがたいと思います。もとからそういう稼ぐためのキャラではなく、奈良県のIDを広報するためのキャラなので、奈良県のゆかりのある、奈良のブランド化の一環ですので、有名になるだけでなく、せんとくんに象徴されるような賢い奈良みたいなイメージになればいいなと、私は個人的に思います。せんとくん、動きがいいし、少し賢そうに見えるように思います。少しひいき目かもしれませんが。

NHK:
 無償化する時に、課長級に異例の昇進をしたと思いますが、仕事ぶりはいいですか。

知事:
 本当にそう、ボーナスをあげないといけないかな。よく働いています。県の職員もよく働いてくれていますよ。

司会:
 よろしいでしょうか。ほかにご質問はよろしいでしょうか。
 幹事さんもよろしいですか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 来年もよろしくお願いいたします。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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