【レポート】絵画の表現技法に着目!館蔵品展「万葉コレクション展」(県立万葉文化館)

絵画の多彩な“表現技法”に注目した企画展

【ナラプラス現地リポート】(令和2年7月)

奈良県立万葉文化館で、館蔵品展「万葉コレクション展-見る・知る 絵画の様々な表現技法-」が開催中です(7月11日~9月22日)。 万葉文化館は、154人の日本画家が描いた「万葉日本画」を収蔵品の核としてスタートしましたが、多くの寄贈を受け、現在は700点以上を収蔵しています。日本画を中心にジャンルも広がっており、フレスコ画や油彩画など西洋の技法を使用した作品や、現代美術的な作品なども収められています。 今回の企画展では、収蔵されている絵画の“表現技法”に注目。「様々な日本画」「素描と模写」「洋画の技法」「実験的な表現」の4つのセクションに分けて、約60点が展示されています。 同じ制作者であっても時代ごとに表現方法が大きく変わっていく様が見比べられたり、意外な表現方法が用いられていることに気付かされたりと、制作者たちの工夫や絵画表現の奥深さが感じられました。

 

ナラプラス現地リポート
第1章「様々な日本画」より。奄美大島の亜熱帯の植物を描いた作品で知られ、現代でも高い人気を誇る画家・田中一村さんの作品も展示されています。右から≪瓢箪≫(1926年)、≪滝≫(1927年)、≪蓮≫(1927年)、≪蘭≫(1929年)。画壇に登場した最初期の作品で、まだ署名も田中米邨(たなかべいそん)となっています。後の作風とは違い、文人画のような印象があります。

 

ナラプラス現地リポート
第2章「素描と描写」では、スケッチや素描などに関わる作品が並びます。中庭煖華さんの≪蛍光灯≫(1946年)は、法隆寺金堂の壁画の模写に取り組む現場を描いたもの。この絵が描かれてからわずか3年後に失火により壁画が焼損してしまいましたから、作者も大きな衝撃を受けたことでしょう。

 

同じ作者でも表現方法の変遷が比較できます

ナラプラス現地リポート

第3章「洋画の技法」より。奈良市出身でフレスコ画の技法で有名な金森良泰さんの作品が7点並び、表現技法の変遷を見ることができます。

 

ナラプラス現地リポート
金森さんの1990年の作品≪曙光≫は、天上の菩薩や天女を中心に描いています。とても厳かで、優しい静けさが感じられる作品です。

 

ナラプラス現地リポート

1992年の作品≪壁の想い≫(※部分)では、絵画の一部を強く盛り上げ、まるでレリーフのような表現技法を用いており、間近で鑑賞すると迫力があります。2年前の作品≪曙光≫と比べても大きな変化が感じられます。


ナラプラス現地リポート
明日香村の石舞台古墳を描いた≪石舞台≫(※部分)(1994年)では、その表現技法がさらに変化し、大きな岩の一つひとつをレリーフのように表現しています。素朴な画題ながら、洗練された印象すら感じられます。

 

 ナラプラス現地リポート
金森さんの2005年の作品≪花浄土≫(※部分)では、金色で仏さまを、その下には平面的に花々を配しています。こうして見比べていくと、作家のコアな部分を残しながら、月日を経て表現技法がどんどん変わっているのがわかります。

 

ナラプラス現地リポート
こちらは内藤定昭さんの作品です。仏像画を数多く描いたことで知られる方で、今回は仏像画を中心に12点が展示されています。≪御堂内≫(1986年)は、仄暗い仏堂に光が差し込むことによって生まれる陰影が印象的な作品です。


ナラプラス現地リポート
そんな方ですが、その20年前の≪お堀端≫(1966年)では、こんな抽象的な表現技法を用いていました。まったく別人の手による作品のように見えますが、いずれも“光と影”に敏感であるという共通点があるとか。表現方法は変化しても、アーティストとしての関心の方向性には連続性があるようです。

 

間近で鑑賞することで気づく“表現技法”

ナラプラス現地リポート
第4章「実験的な表現」では、より尖った表現方法が見られます。襖8枚に描かれた、岡崎萬帆さんの≪すすき野≫(1992年)は、遠くから見ると凛とした筆使いの端正な作品に見えます。

ナラプラス現地リポート

しかし、間近でじっくりと観察してみると、絵の具を乱暴なまでに飛ばしてみたり、極端にぼかしてみたり、圧倒的な力強さが感じられます。遠くから近くから、いろいろと距離を変えて鑑賞してみると新たな気付きがあります。


ナラプラス現地リポート

三瀬夏之介さんの≪風土の記≫(2014年)は、パネル8枚に描かれた幅17.1メートルの大作です。胡粉や墨、金箔やアルミ箔などさまざまな画材を用い、一部にニスを塗って表面につやを出すなど、様々な表現技法が駆使されています。ぜひ会場で間近からご覧ください!

 

館蔵品展「万葉コレクション展 -見る・知る 絵画の様々な表現技法-」


●会期:2020年7月11日(土曜日) ~9月22日(火曜日・祝日)
●開館時間:10:00~17時30分(入館は17:00まで)
●会場:奈良県立万葉文化館 日本画展示室
●休館日:毎週月曜日(※月曜日が祝日の場合は翌平日)
●観覧料:大人 600円、高校・大学生 500円、小中学生 300円 ※展示作品はすべて奈良県立万葉文化館の館蔵品です。
展覧会についてはこちらをご覧ください。


瑞々しい感性!「万葉ギャラリー展」も開催中

ナラプラス現地リポート

奈良県立万葉文化館では「万葉ギャラリー展」が開催されています。高校生以下を対象に『万葉集』の歌から感じたこと、想像したことやイメージを絵や書で描いた作品を募集したもので、計752点の全応募作品が展示されています。

 

ナラプラス現地リポート

応募作品の一部。テーマも表現方法も多彩で、楽しく制作したことが伝わってくるかのようです。この展示は11月29日まで。今年度の作品募集も7月末から始まる予定ですので、ぜひご参加ください!

 

万葉ギャラリー展


●期間:2020年11月29日(日曜日)まで (※当初予定は8月30日まででしたが、期間を延長しています)
●場所:奈良県立万葉文化館 企画展示室前
●料金:無料
●応募総数:絵画569点、書183点(計752点)
詳しくはこちらをご覧ください。

自宅で楽しめるコンテンツも公開しています

ナラプラス現地リポート

また、奈良県立万葉文化館では、ダウンロードしてステイホームしながら楽しめるコンテンツなども公開しています。ぜひご自宅でお楽しみください!
おうちで遊ぼう!「万葉歌留多(簡易版)」
こども向け解説シート「『万葉集』ってなんだろう?ー初級編ー」「飛鳥池工房遺跡開設シート」
奈良県立万葉文化館公式YouTubeアカウント

■交通案内

「奈良県立万葉文化館」(高市郡明日香村飛鳥10)は、近鉄橿原線「橿原神宮前駅」より、飛鳥駅行きバス(明日香周遊バス:赤かめ)に乗車(約20分)。「万葉文化館西口」下車すぐです。

※新型コロナウイルスの状況により内容が変更に、また開催が中止となる場合があります。あらかじめご了承ください。 ※ご参加の際は「うつらない」「うつさない」の予防措置の徹底をお願いします。

 

(リポート・写真 / ナラプラスライター N)

(記事投稿者)
奈良県庁広報広聴課 中路・林野
電話番号 0742-27-8325

この記事を読んで「いいね!」と思ったらお友達にシェアしていただけると嬉しいです。

 
 


このエントリーをはてなブックマークに追加
 


こちらで更新情報をお届けしています!

Facebookページ まるごと奈良県リンク先(Facebookサイトへ移動します) Twitter せんとくんのつぶやき(twitterサイトへ移動します)

スマホアプリ『ナラプラス』で奈良県の最新情報をゲット!

スマホアプリ「ナラプラス」

このアプリでは、奈良県の地域の話題、奈良の観光や食、文化など、おでかけの情報や、くらしに役立つ情報、災害情報などを中心に記事を配信しています。

アプリの紹介記事ページへ移動する

ナラプラス春ver.

このアプリでは、奈良県の地域の話題、奈良の観光や食、文化など、おでかけに情報や、くらしに役立つ情報、災害情報などを中心に記事を配信しています。

アプリの紹介記事ページへ移動する

 

お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報紙係 TEL : 0742-27-8326 / 
FAX : 0742-22-6904
放送制作係 TEL : 0742-27-8056
県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327
相談ならダイヤル TEL : 0742-27-1100