令和3年1月4日(月曜日)知事定例記者会見

司会:
 それでは、年頭にあたりまして、知事の定例記者会見を始めさせていただきます。
 まず最初に、知事より一言ご挨拶申し上げます。よろしくお願いします。


知事年頭挨拶について

知事:
 座ったままで失礼いたします。先ほど職員の皆様にもご挨拶いたしましたが、去年からコロナの年でありましたが、今年もまだ続いております。県の役割をよく自覚して、コロナ(対策)に協同して、全力で向かっていきたいと思います。改めて医療従事者の方々には感謝を申し上げる次第でございます。

 それとともに、奈良県では、奈良新「都」づくり戦略という政策戦略を練っております。今年も奈良新「都」づくり戦略に基づいて施策を実行して、芽を育て、実をならす作業をしていきたいと思います。県庁の仕事は、農作業に似たような仕事のように改めて思うところでございます。

 年頭のご挨拶でございますが、去年お世話になりましたが、今年もよろしくお願い申し上げます。


質疑応答
  

新型コロナウイルス感染症への対応について

共同通信:
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 昨年暮れから、毎日コロナの発表をホームページ上で見させていただいていますが、運用病床が、状況的には占有率がかなり高まってきていまして、これについての知事の所感をお伺いします。

知事:
 毎日発表しておりますが、病床の運用、重症、中症、軽症とあります。それと宿泊療養施設を準備しております。年末12月30日から宿泊療養室数を108室から250室に上げました。奈良県は軽症の方が多く、それを入院と宿泊療養に分けておりましたが、軽症の方は宿泊療養でも十分ですし、看護師がおられますので、これからどんどんそちらに移ってくると思います。病床は、重症は当然ですけれども、できれば中等症あるいは重症化リスクの高い方を中心に入院をしていただきたいと思っています。今のところ、宿泊療養室数が250室になってから、占有率が5割を切る状況になっています。これは、かつて7割ぐらいまでいったことがありますが、1月3日時点での宿泊療養の入室者の方は、250名のキャパシティーがあるのに対して110名と、まだ140名分空き室がありますので、もう少し増やすことができると思います。

 入院の方は324病床に対しまして、1月3日時点で277人の方がおられます。空き病床は47病床しかなくなってきておりますが、今申し上げました宿泊療養へまわすことで、この入院の空き病床を増やすことができると思います。急にその部屋を替えることはできませんので、徐々にオペレーションするということになります。幸いに12月30日から宿泊療養の部屋が確保できましたので、そういうオペレーションが可能になってきていると思っています。

NHK:
 今年もよろしくお願いいたします。コロナの関連で、年末を迎えるにあたって、知事は県民の皆さんに、静かに年末年始を過ごしてくださいという呼びかけをされていたかと思います。今日から多分、各職場で仕事始めなどが行われて、人の動きがまた戻ってくると思うんですけれども、この年明け人の動きが本格化する中で、県民の皆さんにはどのような注意を今後呼びかけていきたいとお考えでしょうか。

知事:
 先ほど職員の皆様に対する年頭のご挨拶で申し上げましたが、コロナはインフルエンザと違うところがあるということは分かってきて、感染が分からないままに人にうつしたり、また人からうつされたりという状況ですので、今、世界的にワクチンがない状況だと、とにかく自粛しようと、出歩かないようにしようということしか我々には手がなかったと思います。基本的にはまだそのような状況だと思いますが、リスクを下げるという意味で、できるだけその危ないところに、感染がしやすい類型のところに行かないように、あるいは感染しやすい、あるいは感染の可能性があるところ、例えば通常のご家庭というのは感染者がいると非常に濃厚接触になり、感染しやすいわけで、家庭内感染は全体の4分の1を占めており、家庭内での感染についても注意が必要です。ご注意はなかなか骨が折れますので、どうしても油断というわけじゃないんだけれども、ちょっと隙があるとすぐにコロナウイルスは分からないまま人にうつす準備をしてしまうということが分かってきております。

 そういうコロナに対して、我々は行動パターンで防ぐということになりますので、具体的なことをよく見て、見えればいいんですけど、見えない敵であります。そのような向こうの行動パターンがあるということをよく自覚していただいて、くれぐれもご用心していただくということをお願いしたいと思います。

 このようにすれば、例えば誰とも接触しなければうつらない、うつされないわけですが、そういうわけには我々いきませんので、リスクの高い行動が日常必ず入ってきますけれども、その中でもリスクの低いほうへなるべく行動パターンを変えていただくというのがお願いになります。それをできるだけ具体的に、こういう場合にはうつされましたよ、うつしましたよということが分かるように、大都市のケースと田舎のケースと、大都市近郊の奈良県のケースとちょっと違ってきているように思いますので、そのような類型分析が、行政からできることが一番大事かと思っています。それをまた分析してお伝えしたいと思いますので、それをよく聞いていただいて、自分もうつされる、うつす可能性が、リスクの環境の中にいるということを、よく具体的なケースを見ながら、知っていただけたらと思っています。

NHK:
 ありがとうございます。関連で、そのまさに大都市と言えると思いますが、1都3県の知事が国に対して緊急事態宣言の発出を検討してほしいという要請をしました。こうした動き、現状を奈良県から見て、全国の中でどこか特定の地域で緊急事態宣言を出す必要があると、知事として思われますか。

知事:
 先ほど申し上げましたように、大都市と奈良県の位置づけでは大分違う状況だと思います。私には、大都市の動きについて申し上げる余裕はございません。

毎日新聞:
 明けましておめでとうございます。昨年の12月25日に、知事が県立医大や県総合医療センターの方と何か話合いをされたということなんですが、どのような立場の方と、どんな内容の話をされたんでしょうか。

知事:
 ご質問ありがとうございます。県立医大の方には、一番頑張っていただいていますので、我々が助けることがないかと直接私が聞こうということでやり始めまして、2回目になります。12月25日に来られたのは、県立の4病院でありますけれども、県立医大と県総合医療センターと西和医療センターと南奈良総合医療センターの、それぞれ理事長、病院長、それと事務局長、看護師長などが来ていただきました。忌憚なく何でもおっしゃってくださいということを言いました。いろいろ聞かせていただきましたが、とても頑張っていただいているということがよく分かりました。

 その結果、とにかく県民の皆様に、具体的に病院名を挙げてこれだけ用意しているということをお伝えしたいということを打診しましたら、県立病院の方々は結構ですということを言われました。先ほど運用病床とか重症の病床数は数字では発表していますが、具体的にはどこかということは分かりませんでした。最初に発表していいかどうか聞きましたら、コロナ対策をしている病院というのは、地元から普通の入院や外来の人に敬遠されるという判断があって、やめてほしいという病院があったので、じゃあ全部やめようかということにしていたんですが、改めて聞きますと、県立系は病院名を出していただいて結構です、と。これだけの病床を用意してますから。しかも、相当たくさん用意していただいたので、医療従事者の方にとって誇りになりますと。これだけ頑張っていることを県民の皆様に知っていただきたいと。そのような積極的な反応でございました。それで、年末そのような発表をさせていただきました。確保病床と運用病床は差がありましたが、運用するにはちょっとしたオペレーション、追加の準備が要るということでした。

 その中で、県立病院は重症化に、やはり役目は重症化対応だということを改めておっしゃいました。重症病床、今、27床用意されて、これを確保するというのが最大のオペレーション目的になりますが、それをどこがどの程度確保しているのかということを具体的に県民の方に申し上げたいという申入れをこちらからいたしましたら、結構ですという反応がありました。

 ほかの病院の方にコロナ病床どうですかと、病院名の公表はどうですかと言ったら、まだ躊躇されている病院がございます。それは一応匿名で発表させていただいて、毎日発表している中で、その具体的病院名はまだ入っていないんですが、先ほど報告がありましたので、やはり頑張っていただいている病院とか、重症病床のある具体的な病院名というのは発表したほうがいいんじゃないかと思いましたので、これから毎日発表するその病床の確保、運用病床数に具体的な名前を入れる方向で、資料づくりをするように指示をいたしました。

 いや、うちは発表されたら困るよという病院も入るかもしれません。それは名前を伏せて、しかし、これだけの病床を確保していますよということを、調整して毎日発表するようにしたいと思います。具体的な、事務的なことにもなりますが、年末で大きな一つの変わりがあったのはそういうことだと思います。それが1つです。

 それから、具体的にお話を聞いた中で、重症化の最終段階でECMOというのをつけるんですが、血液を替えたり呼吸困難になられて重症化し、ECMOを使用するということ。ECMOは大変だよということを聞いていたんです、大変人手がかかるよと。ところが、まだ奈良県ではECMOの例は2例しかないんですね。しかも、オペレーションされた医師の方から、ECMOは思ってたほど運用が、オペレーションが困難じゃないんですよと。簡単にという言い方をされたかどうか忘れましたが、割と想像よりも楽にできるんですよというお話がありました。ECMOで治療を受けられる方はもちろん大変だと思いますが、使うのも大変だと聞いておりましたので、ECMOをつけるということと、人を訓練することが課題だと思っておりましたけれども、想定よりも楽にECMOも運用できるということも、そういう対話で分かったと。これは私個人の、そういう情報が入りましたというご報告になるわけですが、今ご質問を受けて取りあえず思い出すのはそういうことでございます。

 そのような類いの会話を今後とも定期的なインターバルを取って続けていきたいと思います。やはり続けていくと、病床確保がやはり我々の一番大きな役目だと思っています。その現場の担い手の方と私が直接対話するというのは、ある面、意味があると思います。とにかくリスク軽減の一つの要素だと思いますので、続けていきたいと思いました。

毎日新聞:
 今月から、重点医療機関が11ありますが、それ以外の2つの病院が初めてコロナを受け入れるという体制を取ると聞いています。大阪ではそういう動きがあるようですが、それ以外では珍しい動きで、奈良県としても、これまで受け入れていなかった病院が新たに受け入れるようになると。今月から2つ始める予定ということなんですが、知事としてはもっとそういう病院を増やしていきたいというお考えでしょうか。

知事:
 病院の負担をできるだけ満遍なくとは思っています。年末から始まった病院の中に初めて民間病院が入りました。名前は言っているんだっけ。

担当部局:
 名前は言ってないです。

知事:
 まだ言ってない、言いそうになりましたが、聞いてから言ってよかったです。民間の病院が初めて入りました、何床かすぐには。だからそれも歓迎ですが、今まで県立4病院が頑張っていただいた。それと、市立、公立ですね。

担当部局:
 公立は、名前を出しているところと、名前をまだ出さないでくれと言っているところがあります。

知事:
 そういう状況ですけれども、私から市立、公立、公的病院も頑張っていただいているということを申し上げたい。今度初めて民間病院が入りましたということを、感謝を込めてご報告したいということです。そういう病院は怖いと思われるので、風評被害になることを恐れて公表されないですが、受け入れていただいた病院は、全て感染予防、分離して外来と、あるいは入院と、通常に入院と分けていただいています。

 実績は県立病院のやり方を見れば分かります。県立病院で患者にまだうつされたことはありません。隔離が明確にされているということですから、民間病院だろうと、公的病院だろうと、そのようにしていると大丈夫ですよということを県民の方にお伝えしたいと。心配されないで病院名が公表されても地元で怖がられることはない状況ですということはお伝えてしてもいいのではないかと思います。公表してもいいよというように、地域の見方が変化することがあればと思います。現在はそのような状況ですが、できる範囲で公表できる病院名は入れた形で具体的な確保病床、運用病床という名前にしていますが、公表していきたいと思っています。

朝日新聞:
 明けましておめでとうございます。よろしくお願いします。

 先ほどのNHKの質問とかなりかぶってしまいますが、緊急事態宣言について、既に菅首相が、1都3県に緊急事態宣言を出す方向で調整に入ったという報道が出ていますが、改めて受け止めをお願いできませんか。

知事:
 先ほど奈良県でやることはご紹介しましたので、国の緊急事態宣言を期待する県ではありません。他県がされていることに私が言う立場にもありませんし、言う必要もないと思います。以上です。

読売新聞:
 今年もよろしくお願いします。感染者が高止まりしている状況だと思うんです。県内では、例えばカラオケとか居酒屋さんに時短営業を要請したり、県民に外出自粛を求めたりとか、そういったことは今お考え何かありますでしょうか。

知事:
 大都市の様子を見てご質問される傾向が強いんですが、奈良の様子をこれだけ説明しているんですから、時短を要請するような場所ではうつっていません。それだけ申し上げておきます。

 今、一番心配しておりますのは、障害者施設なんかのクラスターですね。クラスターが発生してきたことです。飲食店の時短等は奈良では全く関係ありませんので、こんなに言うこともないのはもう調べると分かる話だと思いますよ、これだけ資料出してるんだから。他の例を見て質問する、何か今年もそういうことで始まるのかという感じですが、クラスター事案がすごく増えています。12月で13あるんですね、12月で13あるクラスター事案のことを一番心配しています。これをどのようにするかということに手を打っていきたいと思います。時短よりもクラスター対策というのが奈良県の立場です。

毎日新聞:
 その点なんですが、医療機関、あと介護施設で院内感染、施設内感染というのが結構奈良で出ています。たしか昨年の9月補正で、PCR検査を職員に一斉でやっていこうというような方針だったと思うんですが、あの一斉検査というのはもう実際始まっているんでしょうか。

担当部局:
 年末から始めております。いわゆる感染の拡大しているところを選んで、一斉に奈良県全域を一度にやるというわけではございませんので、ある程度エリアを決めて順次進めているところです。状況を見ながら、また次どうするかというのは考えていきます。

毎日新聞:
 それは具体的にどこの自治体から始めているんですか。

担当部局:
 現時点では、大和郡山市です。

毎日新聞:
 大和郡山市からやっている理由というのは。

担当部局:
 大和郡山市は、人口10万人当たりの感染者数が奈良県内では割と多い地域であるということ、それから現に医療施設とか介護施設での感染者が発生していると。それと、8月ですが特別養護老人ホームでのクラスターがあったということで、まず大和郡山市から最初にやらせていただいています。

毎日新聞:
 今月から他にも広げていくということは。

担当部局:
 それは状況を見ながら。大和郡山市が全部終わっているわけではありませんので、その状況を見ながら次どうしていくか、また、全体の感染の状況を踏まえて検討したいと思います。

知事:
 一斉検査というのは安心を呼ぶ言葉ですので、言葉にあまり酔ってはいけませんよね。今、PCR検査はどのようにすればいいのか。最初は、重症化、感染症法の対象であり、無料で国がやるということを反映していると思います。重症化予防のために始まったという経緯があります。しかし、そこから先ほどのコロナの対象を見ますと、早く見つけて隔離しないといけないということになってきていますので、PCR検査対象を増やしていこうと。各国でやっておりますが、日本もそうしようと。

 日本の感染症法は重症化予防、感染症の影響を受けてスタートしました。これは皆さん、ご存じのとおりだと思います。これは誤っていたのかよかったのか、ちょっと検証しなきゃいけないと思います。誤りは大体ないのですが、それが濃厚接触者に広がってきました。そこからクラスターが発生しますと、濃厚接触者と重なりますが、その職域を全部やるというふうに、一斉検査は、職域一斉検査や、濃厚接触者一斉検査など、一斉検査でもその使い方が具体的に、個別的になってきております。

 今、一斉検査やりますかという質問は、地域一斉検査ということですが、全部やるというのは効率的かどうかという課題はあると思います。今みたいに全体に広がっているんだから、安心だったらするよということはあります。

 ところが、必要な方がされないケースもあるということは気をつけなければいけないと思います。羽田雄一郎さん、PCR検査までなかなかたどり着かなかった。数日かかったというのが一つの例です。東京の例ではなく他山の石で、どこでも起こり得ることだなと。できることをやっていると、しなきゃいけない人が漏れこぼしになるんじゃないか、これはいつも気にしなければいけないことだと思っています。一斉検査をやれば済むというものではないことを付記したいと思います。

NHK:
 先ほど知事もおっしゃっていましたが、年末から障害者施設のクラスターが幾つか出てきています。これは施設の特徴的なというか、特有の難しさもあるという話も聞いているんですが、知事としてはこういった施設の感染を食い止めるために、どういう取組をしていかなければいけない、どういう取組をしようと今お考えでしょうか。

知事:
 施設のクラスター発生予防あるいは感染拡大防止ということになりますが、障害者施設は難しさがより重なっていると思います。今まで奈良県で、去年までの統計では医療と福祉のクラスターがほとんど発生していなかった、4%でしたので、発生していなかったというのはうれしいことであると思います。医療と福祉の関係の方は複数感染者を発生させないとすごく気を遣っておられます。それは現実に現場に影響するからだと思います。その他のところでクラスター、例えば障害者施設のクラスターというのはなかなか防止もできないし、しかもそういう施設はサービスを続けなければいけないということが、病院とともに大事な施設ですので、これは心配をしています。

 その予防ということになると、クラスターは、一般の予防だけで済まないかなと感じています。ちょっと工夫をしてくださいということを改めて先ほど12月の13ケースが発生したということ、今までクラスターは発生してないということが奈良の誇りだったんですが、このように発生し始めましたので、クラスター対策を重点化の対策にしていきたいと思います。今まではあまり発生していなかったので、飲食店の時短等も蚊帳の外だったんですが、奈良では施設クラスターが発生してきましたので、重点対象にしていきたい。どのようにするかというのは、まだ私からのアイデアはございませんが、ちょっと勉強して、近々奈良県の施設クラスター対策という形でご注意申し上げる内容は出したいと思います。


知事の年末年始の過ごし方について

毎日新聞:
 年始なのであえて聞きますが、知事は年末年始はどのように過ごされていたのでしょうか。

知事:
 ずっと家にいました。奈良新「都」づくり戦略が155あるのをチェックして、先ほど政策推進課にチェックしたものを渡しました。一昨年は年末年始に、奈良新「都」づくり戦略を全て自分で書いていましたが、1年議論をしていますと、出てきた報告をチェックすることで済むので、随分その労力は短縮されましたが、寝ることと、食べることと、机に向かうこと、その3つでずっと過ごしていました。貴重な時間になりました。よかったです。

毎日新聞:
 ありがとうございました。


今年の重点施策について

奈良テレビ:
 明けましておめでとうございます。今の話の中でありましたが、コロナが終息していけば、県政で去年にできなかったことも進めていかないといけないと思うんですけれども、年末年始にチェックされた奈良新「都」づくり戦略の155ですが、今年コロナが終息したとして、第一に、力を入れて取り組みたい政策を教えていただけますか。

知事:
 奈良新「都」づくり戦略は、今までのやり方でしたら、2月議会の前に県議会議員に報告して、予算編成と年間の政策大綱を並行して議会に報告するやり方をとっています。今まで予算編成のこの流儀は、予算項目別になっていましたが、財政課が英断をしていただいて、奈良新「都」づくり戦略の項目に合わせて予算編成をすると、議会に提示をするということをしてくれましたので、分かりやすくなってくる。県民、議会の皆様にお伝えするには、政策があって予算があるよというのがより明確になるという、来年度予算の形になってまいりますので、そのような体裁で「都」づくりを作り、また予算編成するということになってきました。これも一つのやり方の進歩だと思っています。

 奈良新「都」づくり戦略の中には、実は県庁の中で、骨太方針会議というのを年末からやり始めました。国の骨太方針会議、もうなくなったかもしれませんが、それを模した感じになりますが、大事な方針はみんなで寄ってたかって、議論しようと。

 実は政策推進の中で初期段階にあるものと。中期段階にあるものと、実行段階にあるものと、3段階あると思います。初期段階が割と寄ってたかって議論しないといい方向に、構想、デザイン段階ですけど、なかなかできない。デザイン、プログラム、インプリメンテーション(実行)と、この3つにあると思います。何といいますか、構想と、プログラムと実行という、その3段階が政策にあると思います。骨太方針は、構想段階を固めるというか、デザインをこう、つややかにしようということを、寄ってたかってしたほうがいいし、構想段階でこうやって知事の指示や関係者の議論しても、なかなか構想が深まらないという経験があります。骨太方針会議ということで構想段階の骨太会議をしようと提唱しまして、10項目ぐらい骨太方針会議をつくりました。テーマは、例えば大和平野中央プロジェクトだとか、大規模広域防災拠点の話だとか、近鉄線移設の話だとか、秘密の話はないんですが、構想段階ですので、いろいろ夢が膨らむ話があります。例えば今、中央卸売市場の構想でやっているとすごく進捗があります。それは奈良新「都」づくり戦略の中に構想段階といって反映していきたいと思っています。そこから実行段階になりますと、予算が上がってきます。プログラムで大事なのはスケジュールです。いつ何をするかというスケジュールがあるのがプログラムでは一番、実行段階で大事なのは予算ということになります。その構想段階で大事なのはアイデアということになります。そのように意識しながら、その体制をつくっていこうと。

 プログラムになっても多少関与した、実行段階にあると私はあまり口を挟むことはないように思いますが、それでも課題がその都度発生します。実行段階での課題が発生しますので、何か問題はないか、課題になっていないかということを会話するようにすると、そういう流儀になってきています。今年は構想段階の新しい構想ということになりますけれども、あるいは大規模な構想ということになりますが、骨太方針会議、名前はぴったりはしていないかもしれませんが、そのようなやり方でとにかく会議を開始した。また年初そのような会議を続けることになろうかと思いますので、それを予算化すると。

 構想段階の予算化ですので、予算としてはとても小さいんですよね。構想調査費とか、そういうような段階になろうかと思います。それでも楽しみが一番膨らむものですので、そのような楽しみの気持ちを持ちながら、奈良新「都」づくり戦略を年末年始、手を入れていました。それを、2月になると思いますが、皆様にも当然発表して説明させていただきたいと思っています。議会までに発表するというのを恒例化していますので。

朝日新聞:
 奈良テレビの質問とかぶるのですが、コロナを除いて、特に第一に取り組みたいことはという質問だったと思いますが、幾つか挙げてらしたと思うんですが、特にというとありますか。

知事:
 特に、それは個人的な趣味が入るかもしれませんが、地方政府で新しい動きをすると、関心を持っていただけるということが分かってきました。その中での構想だと思います。その観点から申し上げますと、今までやってきたことで関心を持っていただいてきた、大きなものは奈良モデルです。奈良モデルのいろんなやり方が出てきておりますので、最近では、県域水道一元化という大変新しい動き、それから国保の県域化もそうですが、国保の県域化は奈良方式と言われるようになってきています。それから森林環境管理、フォレスター制度ですけれども、関心を呼ぶのが目的ではありませんが、これも関心を呼んで。地方政府の役割は、新しいことをチャレンジできる立場にあります。国は大変です。各省調整しないとけないから大変で、国のやり方を待って地方が動くというパターンから、地方が多少動いて、失敗も成功もして、国がそれをよく見て重点化するという役割の、地方分権の発展形態になってきていると私は思います。

 そのような中で奈良県の取組ということの意味を感じながら仕事をしています。奈良モデルはいろんな類型が出てきて、これは地方行政組織と関係する話ですが、経済同友会から奈良モデルの話を聞きたいという申出がありましたので、1月末か2月になるのかな、準備をしています。地方行政組織に経済団体は関心を持っておられます。日経新聞の方がいらっしゃるかもしれませんが、どちらかというと道州制中心なんですよね。私はあまり道州制が効果的だと思えない立場ですけれども、それと奈良の事情から判断すると地方行政組織の役割というのは、住民自治と言われる民生が一番大事だと。教育、雇用、社会保障というのが一番大きな役割だと思っています。それには地方でできることも当然あるし、新しいやり方も考えなければいけないということで、行政効率化の観点で奈良モデル。で、新しい骨太方針会議でやり始めているのは、大和平野中央の話ですが、土地利用ということ。

 国土利用計画法に基づく土地利用というのは、この国では行き詰まっています。勉強すればするほど行き詰まっているのがよく分かります。土地利用の懇談会を東京で昨年2月にしまして、コロナが発生して2回目ができなくて、ウェブで情報交換をしていますが、2回目、3回目を今年ぜひしたい。すごくいい会議でした。

 それと並行して実は政策大学院大学で農地中心の土地利用の研究が始まっています。それは初めて聞きましたが、そこで奈良県の土地利用制度の現状と課題を紹介してくれという申出がありました。それも、問題意識を共有している人が東京にもおられるんだなということが分かって、とてもうれしい限りです。

 農業経済中心の方になりますが、農地の在り方ということになります。農地の在り方、広くは国土の在り方。奈良県は森林の在り方について一つ違う方式を立てました。農地の在り方はなかなか手が出ません。農林水産省も農地の在り方についていろいろ考えておられると思うんですが、農業経済の農地の在り方、国土利用計画法の下での農地の在り方、これは解決してないんですね。法律、法制上も解決してないということが地方から見るとよく分かります。皆さんにもっと言っていただきたい点ですが、地方からそのように問題意識を持って勉強するという、勉強しないで発信するというのは単なるパフォーマンスになりますので私の嫌いなところですが、勉強した成果を知っていただくのは大変うれしい。

 その観点から、農地の利用とまちづくりというのは大和平野中央の最大の課題ですので、その事例を勉強して、土地利用の在り方とも結びつけて、大和平野中央というのを構想化していきたいと思っています。新しい取組なので、そういう意味の楽しみがあるという事例であります。

 それから、大規模広域防災拠点は、緊急防災・減災事業債の適用があるかどうかというのが大変大きな課題ですので、そのためには基本方針をできるだけ早期につくるというのが絶対条件になってきています。基本方針を早期につくることと、土地取得に向かって五條市長に努力していただくということが大きな課題になってきます。南海トラフが発生したときに効果があることは私はもう間違いないと思っています。意見はいろいろありますが、備えがあるのとないのとでは随分違います。事後の復興対策ほど悲しいことはありません。事前の予防対策をして備えをすると、被害は軽減されます。事前の予防に投資をする国ほど減災があるということは、いろんな経験で知っております。2,000メートル級(の滑走路)が間に合えばというような思いで骨太方針会議のテーマにしています。また報告する機会もあろうかと思います。

朝日新聞:
 今伺ったお話ですと、コロナ以外で特に取り組みたいこととして、大和平野中央の開発や大規模広域防災拠点の整備が、知事が特に取り組んでいきたいことという理解でいいですか。

知事:
 骨太方針会議で何を特記するかとおっしゃったので、そのように。それは新しいという意味でありますので、進捗があった分野という意味で申し上げた次第です。

 もう少し広く取り組みたいことは何かと聞かれたら、骨太を離れて、ずっとやってきている教育や雇用の確保というのは地方政府の極めて大きなことだと思います。時間がかかりますが、雇用の確保というのはとても大きなことだと思います。時間がかかりながらやってきておりますが、目に見える形になるのに時間がかかっているのが状況です。しかし、何か目立つことをするというのではなく、方針を決めてずっと続くというのは一つの大事なことだと。政策を長く続けられる国柄かどうかというのは、我々共通の関心事項ですよね。何か変わったことをやるのかということに注目するのではなく、変わったことへのチャレンジ性と、実行の段階になったら、長く続けないと国が変わらないと改めて思います。

 取りかかりたい項目は何ですかというのは、複数の意味がある質問だと思います。新しく、という言葉が入るとこういうことです。引き続き、という言葉が入ると違うことになります。取り組みたい項目の性格が2つありますよということを明確にしておきたいと思います。持続性のある政策の方が、大事だと思っています。新しいものを目指しますが、最初はあまり目立つ必要はないのです。だんだん軌道に乗ってくると目立つ、奈良モデルがそうです。全然目立つことを願っていませんでした。それをずっとやっていると、もう10年かかってこのような実績になった。これは誇らしいこと、実績があると誇らしい。

 政治で大事なのは、実績だと思います。長くかかる、というように思いますので、それが続くようになれば、政権が代わったりすると右向いてたのが左に行くとか、変な政治の傾向のように思いますね。政治批判をしてはいけません、お互いに身にはね返りますから。

朝日新聞:
 ありがとうございます。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで年頭の記者会見を終了させていただきます。

知事:
 今年もよろしくお願いいたします。こんな調子でいいのか悪いのか分かりませんが、一生懸命勉強してやるしかないなと私は思いますので、またよろしくお付き合いください。ありがとうございます。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

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