令和3年5月26日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、発表案件はございませんので、質問をお受けする形で進めさせていただきます。
 それでは、質問のございます方は挙手にてお願いをします。


質疑応答

新型コロナウイルス感染症対策について

読売新聞:
 新型コロナの最近の感染状況についてです。最近の感染状況について、まず、知事としては今、減少傾向にはあると思われますでしょうか。もし減っているとすれば、その原因、要因は何だと思われますか。

知事:
 奈良県の感染状況ですが、これまでも分析を申し上げてきましたが、大阪の10分の1の波で動いている波形も一緒ですが、その傾向どおり動いている。大阪が下がってきたので、奈良も下がってきたように見えます。それは、大阪が大都市中心の施策である緊急事態宣言を適用されているからではないかと思われます。その結果、10分の1の波である奈良も、かつてに比べると大幅に減少したように思います。

 ただ、この程度でいいのかどうかというのは、また判断の要るところだと思います。大阪でも、緊急事態宣言の延長を要請されました。大阪と連動している奈良にとっても、奈良の緊急対処措置を延長するかどうかという課題があります。今週中に決めたいと思います。

 先週から奈良の緊急対処措置は市町村と協議をしてやりましょうというのが一つの特徴になっております。国との協議を多少遠慮をして、市町村と協議をして地元対策をしましょうというやり方をしています。市町村と奈良の緊急対処措置の効果性ということについて問合せを先週から始めております。時短要請の効果、実効性、あるいはその他のイベント中止、施設の閉館などの実効性について、先週から問合せをしてまいりました。大阪の延長などが表明されてきましたので、奈良の措置を延長するのかどうか、あるいはどのような内容で措置を延長するのか、しないのかということについて、先週からその実効性については問合せをしておりました。今日午後一番にでも市町村に協議の形で、正式に延長が大阪で表明されましたので、それを受けて奈良県どうしますかということを市町村と協議の文書を発出したいと思います。それを受けて、今週末、金曜日になると思いますが、対策本部会議を開きたいと思います。そこで延長の是非と対処措置の内容を決定したいと思います。

奈良テレビ:
 奈良県に今出されている緊急対処措置について、その措置が始まってから、明日で1か月がたちますが、振り返ってみてこの1か月、措置が適用されている県内を振り返って知事はどう思われますか。

知事:
 緊急事態宣言をせずに対処措置をとりました。いまだにその対処措置でよかったのか、緊急事態宣言を取らなかったから困ったというのはまだ分かりませんが、先ほど大阪と連動しているという点では同じような結果になってきております。その大阪と連動して下がってきたのが、大阪の緊急事態宣言のおかげなのか、奈良の緊急対処措置のおかげなのか、連動しているので分からないとこがあると思いますけれども、その分析をして今週末の対処措置の分析版というのを盛り込みたいと今、勉強しております。

 このような事態で何をとれば効果があったのか、後で追跡することは緊急事態ではとても大事なことだと私は思っていますので、今のご質問で、どのような対処措置の効果と一言で言わずに、その実証性、記録性を尊重したほうがいいと思います。市町村にも聞いていますが、市町村も実証性がないところもありますので、県として調べて、このようなことになったから効果があったと見えるところまではいけるかもしれませんが、感染対策とはこうすればこう効くんだという理論がまだ確立してないように思います。それをできるだけ資料で見えるようにしたいというのが願いです。

 それから、ご質問に対して、効いたか効かなかったかをワンフレーズで答えるとすれば、まだはっきり分からないと思いますという答えになるかもしれません。

奈良新聞:
 1点目は、ワクチンの接種状況について、県内の一部自治体で、高齢者の予約が8月以降になる自治体もありまして、県には7月中に完了とは言っていますが、現在では目処が立ってないというところもあります。県としてどう把握しているのかということと、どう改善していくのかも含めて教えてください。

知事:
 ワクチンの8月以降予約ということでありますが、これまで国の方針は、8月以降でもいいよということになっており、市町村が接種の責任主体ということになっておりましたので、市町村では8月以降の予約も当然入れておられました。今、奈良県で7月末までに前倒しでできませんかということと、研修医の派遣もしますということを問いかけますと、7月末までにできますという答えが返ってきております。その際は、8月以降でないとしないと言っておられる市町はなく、予約の変更を7月以内にされるように聞いてます。そのように取材されると、また分かってくると思いますが。

奈良新聞:
 一部遅れている自治体や、予約を入れている自治体で、8月以降に予約をした人に対して、案内で促してるみたいですが。

知事:
 7月以内で予約変更をされる意向だと聞いております。もう一度ご取材されたら、だんだん分かってくると思います。どうぞ、また取材して教えてください。

奈良新聞:
 もう1点教えていただきたいのですが、8月以降に予約を入れてしまった方で、どうしても変更できない人も出てくると、もうそういった…。

知事:
 ご本人が。

奈良新聞:
 ご本人が、希望で。

知事:
 それはご本人の意向だからしようがないかもしれません。7月末までできない、市町村は7月末まででオーケーですと今、意向を聞いていますので、8月末以降でないと私は体空きませんという方がおられるならば、それは変更できないんじゃないでしょうか。

奈良新聞:
 その場合は仕方ないということになるでしょうか。

知事:
 国の意向とか我々の意向は、ご本人の都合つく限り7月以内で完了するという方向です。

 ご本人の希望がそうであれば、それは難しい。希望の事情は分かりませんが、なかなか深い取材だと思います。どういう事情で8月になっているのかも教えてもらうと大変助かります。調整させていただきますので。

奈良新聞:
 はい、分かりました。

知事:
 数が少ないように思いますけどね。ご本人の意向で8月になっているのは、何例ありましたか。

奈良新聞:
 その自治体の報告からの取材です。私が直接その方に言ったとか、そういうわけではなくて。

知事:
 だから、何例ありましたかと聞いています。何例が大事でしょう。1人、2人あれば、ご本人のご都合ではないでしょうかとも言えますが、100例もあれば、ご本人の都合だけではないかもしれないと判断しなければいけませんので、何例あるかは取材の大きなポイントだと私は思います。1例でも書くのと、100例だから書くのと、全く意味が違うと私は思います。

奈良新聞:
 分かりました。

毎日新聞:
 緊急対処措置の延長をするかしないかの決定の流れなんですが、市町村に文書を発出するというのは、具体的にどういう意味ですか。

知事:
 対処措置の内容は、例えば飲食店時短については、奈良県は飲食店クラスターがほとんどない街ですので、大都市の飲食店での休業や抑制というのはあまり向いていないんじゃないか。これは当初からの議論でありました。しかし、大阪が時短をすれば大阪から流れてくる可能性があるので、(県内の)市町村が困るという事情があったので、それならば県が応援しようかというのがストーリーになっています。例の一つとして、市町村と協働あるいは協議してやるというスタイルになったのは、そういう理由からです。マグニチュードの震源地ではなく、マグニチュードの影響を受ける衛星都市というような概念です。実際、統計的にはそのような状況の現象が起こっていると思います。

 それを受けて、市町村と協議してすすめようと。大阪の様子を見ながら、大阪があふれてくると困るよ、防波堤を少しでもつくろうかというセンスが、対処措置の基本的精神だと申し上げていいかと思います。どこで防波堤をつくるのかは、中心地であれば県や国がここを抑えるというやり方ができると思うんですが、周辺を抑えて塀をつくるというのは、市町村と協議した方が事情に即してできるだろうというのが奈良県のセンスであったわけです。

毎日新聞:
 今、時短要請をしている9市町と協議をするという、そういう意味なんですか。

知事:
 全市町村です。この前も、全市町村と協議して、時短については9市町が出てきました。他の休業などいろいろなことについて、全市町村でほとんど同じことをされてないところもありますし、されてるところもありますので、それを全市町村に文書で全項目について聞いていこうと指示をしております。文書の発出はまだですが、今日午後一番にでも発出するように相談してやろうと指示をしております。

毎日新聞:
 市町村の意見を聞いた上で、今週金曜日に最終的に知事が判断すると。

知事:
 決定は対策本部会議で。実は事前の会議は何度もしますので、そこで市町村の意見を聞いて、それを分析してどうしようかということを判断したいと思います。延長の是非と、対処措置の内容の確定ということになると思います。

毎日新聞:
 延長しないという選択肢もあり得るわけなんですか。

知事:
 大概の市町村が、もう延長しないでいいよという答えであれば、県だけ延長しようと言うことはないと思います。市町村主導だとある面思っています。一緒に後押ししますよといったような対応です。

毎日新聞:
 それは、アンケートみたいな感じなんですか。

知事:
 協議文書ですね。協議で、文書を出して返してもらう。アンケートという言い方もあるかもしれませんが。

毎日新聞:
 分かりました。それともう1点。先ほど奈良新聞さんが聞いていたことで補足をすると、私も幾つか市町を取材すると、予想よりも多くの高齢者がやはり打ちたいとなっているところがあるようで、そういうところが少し8月にずれ込んだりもしているようです。知事は、ワクチンは打たれたんでしょうか。

知事:
 まだです。

毎日新聞:
 いつ頃打たれる予定ですか。

知事:
 7月になると思います。

毎日新聞:
 1回目が7月ですか。

知事:
 7月中には打てると思いますが。

毎日新聞:
 1回目が7月終わりぐらいだと、2回目は8月になります。

知事:
 2回とも、できれば7月中に打ちたいと思いますが、日程調整が要るという立場でありますが、だんだんワクチンが到達してきています。接種状況というのも大事な資料ですので、この対処措置の次の報告では、ワクチン接種状況を報告のコンテンツに入れていきたいと思います。その中で、高齢者はどうかというのは、個別であれば、市町村と一緒に調整して遺漏のないようにしたいと思います。いろんな事情があると思いますが、私どもから聞いていると、混乱しているというふうでもないんです。今まで9月でいいと思っていたのに、急に7月にするよと。接種者がいないから9月にならざるを得ない。このように言い訳ができたんですが、じゃあ研修医を派遣するよといったら、ああ、それならばと接種会場をつくったり、市町村に手間がかかっていると思いますが、市町村は接種会場づくり、予約のシステムづくりはよくやっていただいていると思います。まだ全体として(接種率は)低いんですが、接種者を派遣して実施するということになればずっと進むように思っています。市町との協議の感触はいいように聞いておりますので、大丈夫だなという感じだけですけどね。それはまた統計を出していくとわかってくると思います。

毎日新聞:
 先週、コロナの関連で補正予算を知事の専決で編成されましたが、新たに6月議会に別の補正を諮る計画はあるんでしょうか。

知事:
 緊急対処措置を延長し、時短の要請をする場合、時短協力金というのは少なくとも出てくると思います。早く協力金を出すならば補正予算の専決をさせていただくということになると思いますけれども、6月1日以降の協力金というのは、県会の開会が6月の半ば過ぎになると思いますので、普通は補正予算の採決は最終日になると思いますが、国の補正のように最初の方に採決してもらうので間に合うのか、専決をさせてもらうのかというのは、議会との協議になると思います。もし、早く協力金を出した方がいいということであれば、議会に議案として諮るわけではないんですが、今度の対処措置の中で、もし時短協力の延長ということであれば、これだけの予算が要りますから、その際は補正に出しますよというのか、専決をさせてもらいますよということを議会に説明しながらすることになると思います。

 その他の予算があるのかどうかは、例えば認証制度が追加であるのかどうか、量が増えてくると補正ということにもなると思いますが、まだ内容については確実にはなっておりませんので、延長に伴い必要となる予算は入れていかなければいけないと思っています。

共同通信:
 ワクチンの余った分の活用について伺います。県内でもこれからどんどんワクチンの供給量が増えてきて、今後キャンセルが出てきてしまう量も増えることが想定されます。市町村もなるべく廃棄することを避けたいと思っていますけれども、この間みたいに首長や職員の方が打っていて批判を浴びるということもあったりして、割当て先に悩まれている自治体さんも多いかなと思っています。

 そこで、県警の警察官にキャンセル枠を充てるというのは今のところお考えでしょうか。というのは、警察官というのは検視や留置管理、取り調べなどで感染者と接触するリスクも低くはない、高い部類に属すると思います。これから梅雨の時期になりますので、災害派遣の現場に行った際には、これも一部限定ではありますが、救急隊員や自衛隊員はワクチン接種しているのに警察官だけは受けていないというのも、若干その現場のリスクを高めるんじゃないかなとも考えられます。他の自治体では、例えば保育士や学校の職員が余ったワクチン分を接種するというケースもあるようなんですけれども、警察官であれば県民への理解も得やすいかなと思いますが、いかがでしょうか。

知事:
 余りワクチン、余りというのはどうして出るのかということになりますけれども、今、ロットで来ますと、1瓶6回ですか。6回ショットを打つときに、その日のうちで余ってしまうと、1瓶の3分の1でも、6分の1でも余ってしまうともったいないじゃないかと思われて、そばにいる人にあげようじゃないけど、打ってしまおうというような事例だと理解をしています。わざと余らせてこちらに回すよというのではないように聞いております。余りを出したら、解凍していますのでもう使えなくなるということです。今のところまだなけなしのワクチンですので、余りを使うというのは合理的な考えだと思います。

 問題は、誰に打つか、そばにいる人に打つのか。システマチックに打つ方が合理的だし、納得感があるなと思いますけれども、県の立場から、こういうふうにしろよというのは、なかなかその、余りがどのように出るのかということになりますが、現場任せのようになっているし、それもある程度合理的なように思います。ということは、接種会場を運営されている市町村任せということになると思います。その余りが出る発生の原因から考えますということですので、市町村にお任せをするという立場ではありますが、市町村がどのようなポリシーで余りを打つのかということは、だんだん事例が出てくると整理をされてくるように思います。それはできるだけ望ましい人に打つという、望ましいということになるといろいろ考え方が違ってきますので、今までは医療従事者、高齢者という順番でありましたけれども、その他についての望ましい順番というのはまだ確立しておりませんので、望ましいというのは市町村判断ということになっているのですけれども、今のところしようがないかなという感じを持っています。県からこうしなさいという指示をすることはまだ考えておりません。

日経新聞:
 ワクチンの関連で、弊社が23日現在のワクチンの接種率を調べたところ、奈良は5.2%なんですね。そんなに全国的にめちゃくちゃ低いわけじゃないですけれども、例えばお隣の和歌山県は17%、滋賀県は10%となっています。例えば、時間外とか、個別接種に協力金を設けてそれを加速するというようなお考えは、今、知事はありますでしょうか。和歌山県はそういうことをしているらしいんですけれども。

知事:
 個別診療所の協力金を、ワンショット2,500円から7,500円に上げるというようなすごいやり方を国は取ろうとされていますけれども、国がそのようにされてくると、それなりに敏感な診療所が多いですから動くんじゃないかなと思います。それで動くのも情けないような気も私はいたしますけれども、それでも早くやるという政権の強い意向ですので、それも一つの方法だと思います。

 奈良県は、そういう方法を取るのではなくて、研修医が今、延べ963人と聞いておりますが、229チームを派遣することを考えております。今現在、15市町が希望されております。6月1日から、研修医による接種をいたしますが、奈良市が最初で、そのための接種会場を設けられると聞いております。

 各地でやっておられます、大規模なところにたくさんの医師を置いて、たくさんの人を集めるというのではなくて、1チーム5人で、5人でも1日で900人に打てるんですね。900ショット打てますので、割といいパフォーマンスだと思います。診療医に打ってもらってももちろんいいんですけれども、5人で打つと1日900人に打てるのと、規模が中小規模になりますので、なるべく分散的に、高齢者の身近なところで打てるというメリットがあるように思います。これも一つのやり方だと思います。大規模で何千人と集めるというのも一つだと思いますが、1日900人の会場をそこかしこにつくっていくということができれば、それも一つだと思いますし、指導医と研修医でチームをつくっていくということを奈良のやり方に今取り入れようとしております。ワクチン接種率は、今は1回目接種率が6.9%と5月24日現在で聞いておりますけれども、高齢者はまだたくさんおられて、高齢者の接種率6.9%ですので、6月1日から研修医の派遣接種をやり始めますと、急速に接種率が上がることを希望をしております。

 今まで市町と協議を重ねてきて、今のところ8月にまだ予約が残っているという方もおられると、先ほどご質問の中でありましたが、希望されない方を除いて、希望される方は7月末で完了できるんじゃないかと担当は聞いておりまして、そのような報告を受けております。7月末まで待たなくてもできるだけ早く接種した方がいいと思いますので、できるだけ前倒しをして、この研修医の派遣がうまくいけば、これを続けていきたいというのが奈良のやり方。小規模と言わない、中小規模の1日900人の接種会場をできるだけ多く、集落の近くに分散的につくって研修医を派遣するというやり方を、市町と協議をしてやっていきたいと思っております。6月1日からスタートするということで、また具体的な場所が決まればご案内を差し上げたいと思います。

日経新聞:
 この間、知事会で知事が、薬剤師さんを打ち子として採用したらどうかと提案されたと思うんですけれども、それは県内で今何か具体的な準備をされているんでしょうか。

 それと、もう一つ今案が出ているのは、救急救命士とか、臨床検査技師とか、そういう人たちを打ち子にしたらどうかという意見も出ていますが、その点について知事はどのようにお考えになりますでしょうか。

担当部局:
 薬剤師さんは、制度改正が必要になります。県として国に制度改正の要望を出させていただいておりますので、その状況を注視していきたいと思います。

 あと、消防士さん、救急救命士さんですとか、臨床検査技師さんはまだ情報をしっかり入手できていませんが、国でそういった対象の方が接種可能になるという、そういった通知をしっかりとやってくれれば、それを踏まえて検討していきたいと思います。以上です。

知事:
 国で打ち手を多様化しようと。緊急ですので。戦場になると、おまえは医師の免許を持っているのかと聞いて注射を打つのでは間に合いませんので、誰でもワクチンがあれば打てよということになるのが普通です。戦場ではありませんけれども、医者でないと打てないよというのはちょっと堅苦しいところがあると思います。こういう緊急時の医療制度体制の見直しというのは、必要だと私は思います。緊急時こそ、今までほったらかしにしていた医療制度の見直しが可能だと思いますので、ぜひ国でも前向きないろんな分野の対応をしていただければと思います。

日経新聞:
 先ほど協力金の関係で市町村と協議をするという話の中で、例えば市町村の意見が割れた場合に、A市は協力金を続けてほしい、B市は要らないと言った場合の判断というのはどうなるんでしょうか。一律になるんでしょうか、それとも個別になるんでしょうか。時短の協力金の関係で、先ほど市町村と協議をするとおっしゃいましたが。

知事:
 どのように分かれるのかということなんですけれども、今のところ市町村で協力金を出すよという市町村、奈良市だったんですが、あったので上乗せしましょうと。それで手を挙げないところはその必要がないわけで、市町村がやるよと言っているのに、それでも県はやらないということは、よほど効果がないじゃないかということが見え見えなところがあればそういうことも起こり得るかもしれませんが、なかなか効果があるなしの判断をし難いので、市町村の判断を尊重してということになると思います。

 市町村で分かれるというのは、うちはしないから他もしてはいかんよというところがあれば、ちょっと分かれるということになると思いますが、それはあまりなさそうです。トレードオフになる分野はどこかということになると思いますけれども、その事例が出てきたら判断したいと思いますが、協力金を出すことについては、県は上乗せしますよという姿勢が基本で、それは変わらないと思います。上乗せしないけれどもそれでいいかという聞き方はしないと思います。

日経新聞:
 分かりました。9市町村、足並みをそろえるだろうという知事の見立てということでしょうかね。それとも、もう一度確認ですが、9市町村の中でもし分かれた場合には、それぞれの市町村の判断を尊重するというお考えでしょうか。

知事:
 そういうことですね。もうやめたというのが9市町から出てくるかもしれないというご想定だと思います。それならやれよということは県は言いません。結構ですということだけです。

産経新聞:
 先ほど研修医の派遣の話がありましたが、最初に研修医の派遣の話をされたとき、いわゆる集団接種会場への派遣だけではなく、例えば課題になっている在宅での介護を受けているような、会場に自ら赴けない高齢者のご自宅に派遣するという案も出されていたかと思いますが、そちらの進捗状況はいかがでしょうか。

知事:
 在宅へ派遣するというのは、実は厚労省からタクシーの移動についての補助があるということを聞いた上でのことです。高齢者が出にくいところ、田原本町がタクシー会社と契約をして、接種者を接種会場までタクシー会社に補助をして送っておられますけれども、そのやり方は大変いいと思いますので、他市町村にも同じやり方をしませんかと県から積極的に紹介しています。厚労省の補助も多少出るようですので、少なくとも身体障害者や不自由な方であれば、全額、国が出してくれるという補助体制になっております。それはぜひ使っていただけたらと、県から積極的に案内をしております。

 出にくい方も出てきてもらうということですが、それが第一弾ですが、本当に出られない方もいらっしゃるかもしれない。そうであれば、多少不効率ですけれども、研修医に在宅を回ってもらうということもあり得るのではないかというアイデアを言っています。しかし順番としては、まず、市町村の接種会場で中小規模の集団接種をしていただき、7月末までにあらかた終わってもらうというのが第一弾で、その時に家から出にくい方はタクシー代を補助してでも来てもらうというのが第二弾。第三弾が、それでも来られない人がいれば、研修医を派遣してでも順番に打つことを考えようと。第三弾目ですので、その案内もしておりますが、順番に回るのは非効率ですので、1日1チームで行っても、900人も打てません。やはり900人が受けられる会場からやりまして、ある程度進んでいったらそういうことも導入していただきたいと思いますので、今のところ、まだそういうきっかけはございません。アイデアだけ出しただけですけれども、今後、高齢者の接種が進むと、今度は若者、健常者は自分で接種会場に出てこられるというのと、取り残された高齢者がいらっしゃる場合は、こちらから積極的に行くという段階も出てくるのではないかと思います。その時はタクシーの補助も使って、研修医も派遣をして、ということも考えたいと思います。

産経新聞:
 自宅で寝たきり等でなかなか出向くことができない高齢者に関しては、7月以降になるのもやむなしという感じですか。

知事:
 いや、早く終われば、そういうところを回れるかもしれませんので、そういう方も含めて、私は家を出られないんだと、もう家で寝たきりだという人にも、お医者さんの判断で、打つべきかどうかという判断も別途必要ですので、その両方の判断をして、来て打てますよ、あるいは行きますかというご相談をして、行くならば派遣するということも考えられ、往診医ということになりますが、それは通常の医療機関でやってもらってもいいけれども、先生もなかなか大変だと思いますので、代わりに研修医でも行けますか、研修医の行動の余力が出てきた時ということになると思いますが、できればそれも含めて7月中にできたらと思いますが、どれだけ打てない人が出てくるかということにもよると思います。

 まだ全体として6.9%ですので、会場に来てもらってどんどん打ちましょうという時期です。6月中の様子を見ると、これからその後のことも判断できるかなと。早々とアイデアだけ飛ばしてしまったということになりますが、そういうことも前広に、アイデアはアイデアとして言っておいたほうがいいかと私は思いました。

産経新聞:
 分かりました。研修医派遣で、もう少し細かい部分ですけれども、今15市町が希望されているというところで、15市町全てに新たな中小規模の接種会場を設置するということで、市町と県とで協議を進めていくということですか。

知事:
 そうですね。会場の設営については、市町と協議をしてというように思います。いろんな場所で、集落が人口減少で少ないところだけど面積が広いというところは集落で、1日の接種量は少ないが、1つずつ集落を潰していくといいますか、展開していくという作戦になろうかと思います。

産経新聞:
 ただ、あくまで新規に設置する会場だけではなく、既存の会場にも派遣するということでいいですよね。

知事:
 ああ、そうです。新規だけでなく。

担当部局:
 今、知事が答えたのは、集団接種会場での稼働を上げるのと、新しく設けていただくのと、その市町村と協議しながらベストマッチでミックスをしていきたいということです。

産経新聞:
 分かりました。現状で新たな会場を設けることが決まっているのは、奈良市と、それ以外にもありますか。

担当部局:
 ございます。今、整理しておりますので、固まり次第、報告したいと思います。

知事:
 今の話で言った、最初は地元医師会だけでは平日皆埋まらない、平日が2日しか埋まらないと。空いている日の接種会場は、接種医がいないということから、その間を埋めるのに研修医を派遣しましょうかという発想から生まれたので、元は既存会場に派遣しましょうかということから発生しています。それはそれで空いている平日、空いている空き日の接種を研修医でしましょうかというのは当然いたします。そういうことが来るならば、大都市などは接種会場が奈良市に3つですけれども、4つ目、場合によっては5つ目ができてもおかしくありませんねということになってきている状況です。

NHK:
 先ほど、まず一旦研修医の派遣というのを高齢者接種でやってみて、うまくいけば続けたいとおっしゃいましたが、続けたいというのは、いわゆる一般向けの接種でも引き続き研修医の派遣を今考えているということでしょうか。

担当部局:
 研修医も研修があるので、研修指定病院からは、研修医派遣は6月、7月に限ってくださいということをかなり強く言われています。8月以降についても引き続き医療従事者の確保は懸案だと思っていますので、そこはまた改めてプランニングして、市町村でしっかりと接種ができる環境を整えたいと思っています。

NHK:
 それから、県の緊急対処措置に話を戻して恐縮ですが、この後、各自治体の意向を聞くということと、その効果について考えた上で、最終的に週内に判断されるということですが、現状、知事としては現在の県内の感染状況、あるいは医療の状態、そして周辺の府県の動きを含めて見たときに、延長の必要性については、どのようにお考えでしょうか。

知事:
 国の緊急事態宣言あるいは蔓延防止と、国の措置の意味を考えながらしなければいけない時期にも来ていると思います。県のそれぞれの対処も同じだと思います。緊急事態宣言はどういう戦略で出されたのかということをよく眺めてみますと、飲食店を閉鎖しようという思想は大都市向けだなということを改めて思います。飲食店をシャットダウンすれば感染が抑止されるよという理論、論文があったから適用されたというような話も出ているようです。これはしかし、政権の責任ですので、田舎から見ますと、飲食店のシャットダウンというのはやはり大都市風だと思います。

 奈良県で統計的に調べている中で、震源地は大都市のように見えます。大都市でどうして発生するのかというと、飲食店だけではなく、買い物、イベント、大きな人の交流が渦を巻いているのが大都市、世界中の様相ですので、ロンドンでもニューヨークでも、大都市をシャットダウンするという方針が取られました。その一部を真似ての飲食店シャットダウンかと見えるんですが、大都市には効くけれども、広くするとあまり効果がないのではないかとも見えるんです。私ごときが言う話ではないかもしれないですけれども。しかし、そのようなことが今、追及され始めているような、大体戦いが終わりかけになると、司令官の戦略がよかったかどうか追及されるのはどの国でも同じで、今後のためにも大事かと思いますので、このような話もしますが、そうしますと、飲食店だけなのか、他のシャットダウンは効いたのかということになる。大都市には効くような緊急事態宣言かと思います。大阪が収まってきていますので、その余波を受けて奈良も収まってきていると見えるわけです。奈良が収まったから大阪が収まったとはどうも考えにくい。大阪が収まってきたから奈良も収まったのではないかと考えるのがまだ普通ではないかなと思います。

 そのようなことを考えて、奈良県の措置の適否、今後ということになるわけですが、どう見ても大阪の感染の10分の1、実は兵庫県は大阪の3分の1です。波が連動しているんですね。ということは、大都市から波が伝わっているように見えます。そのような分析は国からは出て来なかったけれども、都市蔓延分析ということになりますが、蔓延しているのは飲食店だけなのか、都市からの蔓延は他にあったのかということが、まだ戦略の検討会議のテーマになろうかと私は思いますので、それは奈良県からの戦略ではなく、国の戦略のテーマにすべきではないかと思います。

 そのようなこと受けて、奈良県としては、大阪の戦略、交流を抑制してシャットダウンに近いようなことをされると全体に下がっていると、ある面成功しているように思いますので、その余波を受けないようにという防御的戦略で。周辺戦略ということに性格上なるように私は思います。したがって、奈良県の性格として、これまでの効果というのは大阪の効果の影響を受けて下がってきていると、一応仮説として立てておきたいと思います。

 そうであれば、大阪が続けられる限り、奈良県も防御的戦略は取る必要があるのではないかと思われるわけです。それを市町村と確認をして、決めていこうと思います。いずれにしても地震で震源地というのは、奈良市や奈良県から発生するのではなく、やはり大阪市ではないかと思われますので、マグニチュードの余震が西宮市とか神戸市などに相当高いピラー(柱)が立っておりますのでそのように見えますが、そのような分析を、納得感のある分析を国からいただけたらなと常に切望しております。


東京2020オリンピック・パラリンピックの事前キャンプの受入れについて

朝日新聞:
 東京オリンピック・パラリンピックの海外選手をホストタウンで受け入れる件について、県内でも受入れを検討している市町があると思いますが、現状、県内で海外選手の受入れができるかどうか、知事はどうお考えでしょうか。

知事:
 事前キャンプですね。今、6か国の受入れが4市であると聞いております。国からもガイドラインが来ていて、受け入れる場合はこのようにしてくださいということ、やれるんですかということ、やりますかという確認が来ております。ガイドラインを読ませていただきましたが、キャンプ滞在期間中の選手の行動管理は自治体の受入れ責任、これはいいですが、選手などに陽性者が出た場合は、自治体の責任で対応というのがガイドラインに入っております。これができるかどうかは、今のような状況だと可能かもしれませんが、爆発的感染と重なる可能性もありますので、そのようなことも考え、みんな慎重になっているという報告を受けております。

 今のところ、ガイドラインの適用ができるかどうかということを、相手国とそれぞれの市が状況を説明して、来られますかということを確認されていると聞いていますので、そのような調整過程を経て決定されると思います。キャンプ地の受入れは市だけではなく、県も一緒に判断するということになるようですので、市と相談して、オーストラリア、香港、シンガポール、エジプト、ウクライナ、カザフスタンという6か国ですけれども、受入れが可能かどうかという判断を至急したいと思います。

朝日新聞:
 今の感染状況では、受入れはできるとお考えですか。

知事:
 そうですね、選手に陽性者が出た場合の受入れというのは、実は、どの程度の選手が来るのかということも、まだ私はつぶさには知りませんので、全員陽性者だったら面倒を見られるのかという、その悪いほうのリスクになったときのことも考えないといけません。これは県の医療、県の責任でありますので、そのようなことも考えて判断しなければいけない。今の状況なら受入れと判断したと言ったように聞こえたかもしれせまん。それはそういうことではございません。選手団の規模などを考えて判断したわけでもございませんので、今の状況はまだ収まっているときだからという程度ですので、さらに爆発するととても大変だと思ったことを言っただけであります。

朝日新聞:
 やはり一番の課題は、選手団から陽性者が出た場合にどう対応するか、対応できるかというのが一番の悩みどころですか。

知事:
 そうですね。その他にも7項目ほどありますが、一番厳しいのが陽性者が出た場合の自治体責任での対応。いざという時には一番大事な、厳しい基準、ガイドラインではないかなと今見ております。これは医療で、県の責任も発生しますので、つぶさに検討しなければいけないなと思っています。

朝日新聞:
 一番厳しい点で、国に求めたいことや、何か協力を得たい部分というのはありますか。

知事:
 オリンピックですか。頑張ってやってくださいと。

NHK:
 先ほどオリンピック・パラリンピックのホストタウンの話題が出た際に、6か国、4市というお話があったかと思います。県内では当初、ホストタウンとしての登録は、他に2つほど自治体があったのではないかと記憶していますが、どういう扱いというか、取下げみたいな形になっているのか、それともキャンプをやる、やらない、単なる選手の交流とか、そういう話なのでしょうか。

担当部局:
 おっしゃられているように、川西町と田原本町はホストタウン登録はしていますけれども、これは事後交流の予定ですので、事前キャンプではございません。今の状況ではかなり厳しいと聞いておりますが、事前キャンプということで先ほど知事にお答えしていただきました。

NHK:
 事後交流も、選手団は来る想定では。

担当部局:
 最終の判断は聞いておりませんが、厳しい方向で検討していると聞いております。これは町のみで、県は入っておりませんので、こういう表現をさせていただいております。

NHK:
 厳しいというのは、実現が厳しいと。

担当部局:
 実現が厳しいということです。


吉城園周辺地区保存管理・活用事業について

奈良新聞:
 吉城園の周辺地区整備のホテル建設の着工がかなり遅れていて、オープン時期の延長が予想されると。着工が遅れていると報告を受けていまして、6月議会でもその報告をされるではないかという話も聞いております。知事の見立てや、遅れの原因等を教えてください。

知事:
 吉城園は、森トラストさんがつくるといってコンペに勝たれました。その後、公園の整備は進んでおります。ホテルは、マリオットつくられた関係もあって、また観光の情勢がインバウンドが止まっていますので、それとともにホテルの設計の変更をされているということです。

 ホテルの工事は、正確に覚えていませんが、間もなく始まるような、日程も固まってきているように聞いております。だから工事がいつ開始されるかというのは、そうですね、6月議会でも近々発表できるんじゃないかなと思っています。ちょっと正確ではありませんが、工事が始まりますと、1年半か2年以内で完成するのではないかと思いますけれども、当初の予定どおりでフレームは動いております。あとは時期ということになると思います。

奈良新聞:
 ホテルの運営会社は決まりましたか。

知事:
 まだ聞いていません。

奈良新聞:
 まだ聞いてない。

知事:
 ブランドは聞いてません。ブランドも間もなく発表されると思いますが。

奈良新聞:
 聞いてないというのは。

知事:
 森トラストさんからホテルのブランドが決まりました、決めましたという報告は受けてないということです。

奈良新聞:
 分かりました。

知事:
 三つ星か四つ星以上のホテルという条件になっておりますので、上質なホテルということは間違いないと思います。

奈良新聞:
 ブランド名が決まったかどうかも、まだ聞いていないと。

知事:
 ああ、そうですね、ブランド名が決まったかどうかは聞いていません。決めておられるかもしれませんけれども、報告は受けておりません。

奈良新聞:
 一応工事はもうこの夏以内に着工ですか。

知事:
 工事は、ちょっと曖昧ですが、間もなく始まる予定だという情報をしばらく前に聞きました。正式にいつから工事かということが発表できる段階が間もなく来ると思いますが、発表させていただきたいと思います。

奈良新聞:
 工事に関わる文化庁との調整も完了したということですか。

知事:
 文化庁との調整はもう済んでるんじゃないかと思います。それも済んでいなければ工事ができませんので、文化庁との調整あるいは奈良公園地区整備検討委員会との協議はもう大分進んでいたと思います。あとまだ小さなものが残っていたかもしれませんけれども。

奈良新聞:
 分かりました。

司会:
 その他にご質問よろしいでしょうか。
 それでは幹事社さん、ご質問がないようですので、これで終了させていただいてよろしいでしょうか。それでは、本日の知事定例会見を終了いたします。本日はありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係  TEL 0742-27-8325

お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報制作係 TEL : 0742-27-8326 / 
FAX : 0742-22-6904
デジタル広報係 TEL : 0742-27-8056
県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327
相談ならダイヤル TEL : 0742-27-1100