野菜栽培ユニット

育種科

野菜栽培ユニット

試験研究の背景
 大都市近郊に位置する奈良県平坦部は、古代から生鮮野菜の供給基地として重要な役割を担ってきました。交通手段の発達にともなって遠隔地に大きな野菜産地が形成されるようになり、シェアは低下しましたが、今日でもさまざまな野菜が、近郊産地の特色を生かしながら盛んに作られており、これら野菜園芸は奈良県農業の特色の一つとなっています。
 主な品目はイチゴ、ナス、トマトなどの果菜類やホウレンソウなどの軟弱野菜で、地元奈良を始め、京阪神や中京の市場に出荷されています。

試験研究の方向
 野菜はその種類が多岐にわたり、消費者が求める品質も品目によって大きく異なります。流通形態の変化にともなって、外観や日持ち性なども重視されるようになってきました。生産サイドに立てば、これらのニーズにきめ細かく対応することが必要ですが、なかでも、野菜が本来持つ機能として重要なのは、新鮮で食味が良いこと、健康に良く安全であることでしょう。野菜の試験研究の目標は、これらの機能をさらに高めるとともに、生産性の向上を図ることによって、高品質な野菜を消費者に対して安価に提供できる生産システムを開発することにあります。また、生産環境および作業環境について快適な環境の解明を行い、快適な農業の実現を目指しています。

具体的な研究テーマ

  • ・野菜の持つおいしさを引き出すことに関する研究

野菜の品質をさまざまな角度から評価し、食味・内容成分と品種や栽培条件との関係や調理特性を明らかにします。

  • ・イチゴ生産の安定化と省力栽培技術の開発

 奈良県農業試験場で育成した新品種「アスカルビー」などの省力的品種の利用により、高齢化したイチゴ産地を活性化できるような栽培技術を開発します。


  • ・快適化技術の開発

 栽培および生産管理を行う作業者の立場で、快適で効率的な作業のできる施設の快適化技術を開発します。


 土を使わず、ピートモスなどの軽量な有機質培地を用いた栽培システムを開発して、イチゴ・トマト栽培の省力・軽作業化を実現します。

イチゴ高設栽培(ピートベンチ栽培)の手引きダウンロード

イチゴのベンチ無仮植育苗の手引きダウンロード(平成17年2月17日)


  • ・イチゴの品種改良

 高品質で、より栽培しやすい、新しいイチゴ品種を育成しています。同時に、病害に対して強い品種の育成にも行います。


  • ・その他

 地場野菜や地域特産野菜の生産振興を図るために、新規作物や導入品種の比較栽培試験などを行います。