病害虫防除ユニット


基盤技術科

病害虫防除ユニット

試験研究の背景

 奈良県では古くから病害虫の発生を抑制するため、水田で畑作物と水稲を交互に栽培する田畑輪換が行われてきました。さらに、水稲・イチゴなどでは優良原々種苗を増殖・配布し、また太陽熱利用による土壌消毒、抵抗性台木の導入、雨除け栽培などの技術が開発導入され、安定生産が図られてきました。
 しかしながら近年、高品質志向に伴う罹病性品種への変遷、海外からの新たな侵入害虫等の発生等により、病害虫の発生様相は大きく変わりつつあります。さらに、都市化に伴う栽培環境の変化とも相まって、病害虫の難防除化への対応、環境に配慮した農薬に頼らない防除技術の開発や、生産者の高齢化に対応した防除技術の省力・効率化が求められています。

試験研究の方向

  • 減農薬害虫管理技術の確立に向けて研究を進めています。

     植生管理によって土着天敵の活動を高めたり、害虫の発生生態を踏まえた耕種的・物理的防除技術を確立する等、有機農業への展開も見据えた、殺虫剤に依存しない害虫管理技術の開発に取り組んでいます。                  

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    eggplant    cultural control   

    マリーゴールドによるナスの土着天敵の温存 多回耕耘によるホウレンソウケナガコナダニ防除

  • 伝子診断技術を用いることで、イチゴの難防除病害の発生を軽減する研究を実施しています。

     薬剤抵抗性害虫・耐性菌の迅速な検定により、薬剤防除の効率化を図っています。
    栽培様式、病害虫の生理生態を踏まえた農薬の効果的な施用技術や、適期防除による合理的な防除体系の組立に取り組んでいます。
     また、生物農薬など環境に配慮した新しい農薬の適応性を検討し、実用化を進めています。

     byougai1    byougai.PCR

  検定試料(イチゴの葉)のサンプリング  イチゴ‘アスカルビー’からの炭疽病菌の検出状況                      
                     病原菌とその近縁の非病原性菌を識別できます。