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ソバの話

 ソバは中央アジア原産の植物で縄文時代に日本に伝わり、以来広く親しまれています。ソバは日本だけでなく世界中で食べられており、日本では麺やそばがきにして食べますが、東欧ではパンやお菓子にして食べるなど地域により様々に工夫して食べられています。

 ソバは多くのタンパク質やビタミンを含み、栄養価の高い穀類です。含有されるルチンは高血圧に効果がありますし、コリンやタンパク質、ビタミン類は肝臓の働きを助けます。しかし、そばのタンパク質は水溶性で、麺をゆでるときに溶けて流亡してしまうという欠点があります。そばの麺をゆでた後のお湯をそば湯として飲みますが、このそば湯には麺から流亡した水溶性タンパク質が多く溶けているので、栄養的にも合理的な食べ方です。そばを麺にするときには「つなぎ」をいれますが、小麦のようにグルテン(麺をひっつける成分)が含まれていませんので、そばのみで麺にすることは難しいのです。昔のそばは二八そばといわれていましたが、これはつなぎの小麦粉2割、そば8割という意味です。

 奈良県ではソバは8月頃に播種し、11月に収穫します。肥料は1平方メートルあたり化成肥料でひとつかみの半分くらいです。肥料が多すぎると倒伏します。品種は信濃1号がよいでしょう。ソバは成長が早く、雑草より早く大きくなるので除草の必要は特にありません。

 ソバは無限花序で枯れるまで次々に開花していき、種子は充実してくると黒くなってきます。ある程度の数が黒くなった時点で収穫します。なお霜にあたると種子が落ちやすくなるので必ずそれまでに収穫します。収穫したら乾燥し、石臼で粉にします。

 ソバは種子を播いてから収穫するまで3ヶ月程度と他の作物に比べ短く、手間もかからないうえに土を選ばず育つので昔からよく栽培されていました。ソバは自分の花粉では授粉できない(自家不和合性)性質があり、ハチなどの昆虫の力を借りて受粉します。このため、受粉効率が良くないので収量は米など他の穀類に比べて低いのです。全国の10アール当たり平均収量は水稲の500キログラム程度に比べ、70キログラム程度です。しかしソバの仲間には自家受粉する種類もあるので、将来、品種改良の技術が進めば、収量が飛躍的に高いソバが開発されるかもしれません。
2000年12月
奈良県農業技術センター 情報・相談センター 
主任研究員 新子悟志