注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

小麦の品種

県下の小麦栽培面積は約80ha(平成13年産)で、他府県に比べると少ないですが、ここ数年は作付が増加しています。本県の小麦は中山間部では10月下旬、平坦部では11月下旬に播種され、6月上中旬の梅雨頃に収穫されます。小麦は比較的乾燥した涼しい気候を好みます。そのため、土壌の水分が高いと湿害により生育不良になりやすく、また、収穫期頃に雨が続くと品質が落ちてしまうことが大きな問題です。その対策として、県下でも栽培圃場には排水溝を作って水はけを良くしたり、適期に播種・収穫が行えるよう計画的な栽培管理を行い、良質の小麦をたくさん収穫できるように努めています。

 小麦の品種については、国やいくつかの農業試験場が品種改良をおこなっています。そこで新しく育成された系統・品種について、各都道府県の農業試験場がそれぞれの地域の気象条件に合った品種を選定し、普及に努めています。当センターにおいても、品種比較試験をおこなっており、小麦の品質が良いこと、収穫時期が入梅時期よりできるだけ早い早生(わせ)系統であること、機械で刈り取りしやすいように倒れにくいこと、多収であること等の特性を目標に選抜をしています。
日本は南北に長く、気象条件が多様なため、全国で栽培されている小麦の品種は現在約40種もあります。本県の平坦部では「きぬいろは」という品種が栽培されていますが、うどんなどの麺に加工した場合、なめらかさや粘弾性に優れ食感が良く、早生で栽培しやすいといった特徴があります。また、中山間地域では「キヌヒメ」という良質で寒さにも強い品種が栽培されています。

 従来、国産の小麦は小麦粉に加工され、主にうどんなどの麺用に使われてきました。そのため、めんに向く品種を中心に品種改良がおこなわれています。しかし、最近では、国産小麦を使用したパンの人気も高まっており、菓子パン用品種「ニシノカオリ」(九州沖縄農業研究センター育成)などパン用品種の育成も盛んになってきました。

2001年10月
奈良県農業技術センター 生産技術担当
作物栽培チーム 主任研究員 杉山高世