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中華料理の知恵


 皆さんは中華料理をどのようなテーブルで召し上がりますか。私のよく行く餃子やラーメンの店ではカウンター席か、普通のテーブル席ですが、少し上等の中華料理店なら回転する丸いテーブル席が普通ですね。中国では客人をもてなす時、同じ料理を取り分けて饗するそうですが、この回転式のテーブルを使うと、大きな皿いっぱいに盛った料理でも、お客さんの方はテーブルを回すだけで、ほとんど体を動かさずに取ることができます。しかも最近流行の回転寿司と違って、回る方向が一定ではないので、ほしい料理に近い方向に回すことができ、大変合理的です。
 
 さて、話は変わりますが、農業試験場ではホウレンソウづくりの70%以上の時間を占める包装作業に、回転式の作業台を利用して省力化を図ることに成功しました。一般の農家で行われている包装作業では、畑からコンテナで運ばれたホウレンソウの古葉を取り除いて一旦コンテナに戻し、それを包装する人のところまで運び、またコンテナから取り出して袋に詰めています。
 
 そこで、この手間を省くため、農業試験場高原分場では回転台を製作しました。この回転台はコンパネとキャスター3個、約2,000円で製作できるものです。作業者はこの台の周りに座り、古葉を取ったホウレンソウを1袋分ずつ回転台に載せ、包装する人は台からホウレンソウを取って袋に入れます。回転台は、どちらでもホウレンソウを取り易い方向に回すことができ、誰が回してもかまいません。ホウレンソウの流れがスムースで作業者の動きも少なくなり、コンテナに出し入れする手間が省け、作業の時間が約40%も短縮できました。効率が良くなるだけでなく、作業者が回転台を中心に対面するので会話がはずみ、単調な包装作業の雰囲気を和らげる効能もあります。

  人の動きを最小にして、しかも物がスムースに流れる。中華4000年の知恵が、大和高原の野菜作りに生かされたのでした。


1998年8月

奈良県農業試験場 高原分場 主任研究員 中野智彦