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ゴボウを食べましょう

 ゴボウの根は地中に向かってまっすぐに成長し、おそらく最も深く根をのばすことのできる根菜です。 だからこそ、ゴボウは、地中から多くのミネラルを吸収し、栄養成分が豊富となるのでしょう。ゴボウは、無機質ではカリウム・カルシウム・鉄分が多く、タンパク質も野菜としては多く含まれます。ダイエタリーファイバーと呼ばれる食物繊維も多く含まれていますので、便通を良くするだけでなく、満腹感を与えて過剰のエネルギー摂取を防ぐと言われています。また、この食物繊維は体内で消化されてもブドウ糖に変わりにくいので糖尿病の予防にもなります。

 ゴボウは平安時代に中国より薬草として伝わりましたが、当時の日本はまだ野菜の種類が少なかったために野菜として食用になりました。現在でも、野菜として栽培しているのは日本人だけのようです。戦時中の捕虜の食事にゴボウを出したことが後で裁判になったことがあります。外観が黒茶色で、少々のアクがあったからでしょう。しかし、このゴボウのアクには発汗・利尿・解毒作用があり、外用薬としは発疹・皮膚炎・やけどの治療に効果があり、抜け毛の予防にも使われるようです。このアクを抜くには熱処理で充分です。春から夏に収穫されるゴボウにはアクが少ないので、さっとゆでてサラダにしたりそのまま炒めてきんらにするとおいしいです。

 ゴボウは宇陀地方の代表的な特産物であり、伝統的な作型は初夏に種を播き正月前に収穫する秋ゴボウですが、周年生産をめざして、春に種を播き夏に収穫する早生ゴボウ、秋に種を播き春に収穫する春ゴボウが導入されてきています。このうち、春ゴボウは新ゴボウとも呼ばれ独特の苦味と香りが珍重されています。春ゴボウの茎葉を冬枯れさせないで生育を続けさせるには、ビニールをったトンネル栽培が普通となっています。しかし、設置に手間がかかるうえ、強風や降雪で破損することがあります。高原分場では簡なべたがけ栽培でも、トンネル栽培と同等またはそれ以上の効果があることが明らかになりました。べたがけ資材としては長繊維不織布を用いた区が比較的良い成績でした。なお、べたがけにビニールを用いたところ、日焼けして収穫皆無となりましたので気をつけましょう。


1999年11月

奈良県農業試験場 高原分場 主任研究員 谷川賢剛