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フキはキク科の多年草で、日本では北海道から沖縄まで広く山野に自生し、中国や韓国にも自生は見られますが日本ほど利用されないようです。

寒地にはアキタブキなど巨大な種類も見られます。本来、自生しているものを採取して利用していましたが、畑に植えて栽培を始めたのは平安時代とされています。栽培種と区別して、野に自生するものをヤマブキ(山蕗)ともいいます。菜類には珍しく、雌雄異種がみられ、野生のフキではその比率はほぼ1対1です。耐寒性が強く、地下茎は寒地でも容易に越冬し、12月頃休眠が破れ、新しい地下茎を4~5本出し、その地下茎の先端に長い葉柄を持つ大型の葉(葉柄は30~70cm、上部に葉身を付けます。)が3から5枚発生します。また、充実した地下茎の先端には、葉に先立って早春に、大型の包葉に包まれた花穂(花茎)、すなわち俗にいうフキノトウを葉とは別の茎に発生させます。秋、降霜により、地上部は枯死します。

 花が開かぬ前の若い花茎と葉柄は食用または薬用に供されます。フキノトウは日当たりの良い場所では1月ごろから採取でき、葉柄の採取適期は4~6月ころです。採取は手でかきとるか、葉柄は鎌などで地際部から刈り取ります。

 ヤマブキは、以前はどんなところにも自生していましたが、近年、乱獲により根株を痛めたためか、除草剤使用の影響か、資源量が減少しています。絶やさないためにも、繁殖源の根茎(根株)を水はけの良い畑の周囲などに植え、繁殖させることも必要です。

 苦みの好きな人にはフキノトウ料理がお薦めで、特有の芳香と苦みがあり、焼いたり、てんぷら、刻んで吸い物の実などに使えます。葉柄は青煮、佃煮などに使われますが、何といっても、自生のあまり肥料の効かない(株元の赤い)、痩せ気味で細いものを、4~5月ころの若いときに採って、皮ごと佃煮風に煮込むものが、歯ざわり、香りとも最高です。野生種でも、畑に植えるなどして肥えたものは、緑のものとして和風の煮物によく合います。煮物に用いるのは緑色が大切なので、窒素の効いている、葉柄に発色するアントシアンの少ないものが適します。

《 香りも楽しむヤマブキの佃煮》
葉身を切り落としたヤマブキを水洗、ざるに広げて、天日でしんなりするまで干す。皮付きのまま4~5cmに切ったヤマブキ600gに濃い口醤油200ml、日本酒50ml、味醂100mlを加え、弱火で気長に水分が無くなるまで煮つめる。
2001年2月
奈良県農業技術センター 総括研究員  松本恭昌