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冬に甘くて美味しいホレンソウ

寒くなってくると、冬の野菜が美味しくなってきます。特に冬のホウレンソウは葉が肉厚で味も濃くなって、本当に旬だなと感じられます。
 夏だと種をまいてから30日で収穫できますが、秋から冬だと50~60日、厳寒期にさしかかるとそれ以上の日数をかけて大きくなります。じっくりと時間をかけて生育して、うまみを蓄えています。真冬だと生育が停滞してしまうホウレンソウもビニルハウスの中では生育しますが、少しやわらかくて頼りない感じです。そこで収穫が近づくころ、ハウスをあけて寒気にさらすと生育が一時停滞しますが、肉厚の美味しいホウレンソウができます。私は完熟ならぬ「寒熟」ホウレンソウだと思っています。

 味が濃くなってくると言うことは、同時に栄養成分も高くなってきます。例えば、ビタミンCでは、夏の3倍以上の含有量があります。1年前に18年ぶりに改訂された5訂日本食品標準成分表から、ホウレンソウの項は夏と冬の2通りの数値が表示されるようになりました。

 私が子供の頃、ホウレンソウの根の紅いところに栄養があるのでしっかり食べなさいと教えられました。調べてみると、たしかに根、茎、葉の順に糖分などの含有率が高いことがわかりました。ただし、根は株全体の重量の3%程度ですので、わざわざ根っこばかり食べる必要もなかったようです。

 ホウレンソウは現在作られている品種だけでも数十種類あります。味については品種間差よりも冬と夏の差の方がはるかに大きくなります。かつては生育が早い品種が好まれたのですが、現在、農業技術センターでは後期にゆっくり生育し、収穫しやすい立ち姿のホウレンソウを中心に選定・推奨しています。あまり生育が早く草丈が30cm以上になると出荷する袋からはみ出してしまうからです。現在の品種には単に収量が多いだけでなく、作業性のよさが求められているのです。
2002年2月
奈良県農業技術センター高原農業振興センター
営農技術チーム 主任研究員 中野智彦