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アスパラガスという植物

 アスパラガスは江戸時代にオランダより伝わりました。当時は、松葉のような細かい葉が繁った姿をキジの隠れ場にたとえて「オランダキジカクシ」と呼ばれ、もっぱら観賞用でした。明治以降、食用に供されるようになり、大正時代から、昭和30年代にかけてはほとんどが缶詰加工用(ホワイトアスパラガス)として栽培されましたが、現在では輸入缶詰に押されて減り、代わってグリーンアスパラガスが栽培の主流になり親しまれています。

 アスパラガスは多年生植物で、晩秋になると地上の茎葉は枯れ、翌春新しい茎が発生します。その地下には根株、つまり芽と根を着生した地下茎があります。地下茎は、芽をその先端部に密集し(りん芽群と呼ばれる)、茎を地上に伸ばしながら地中を伸長します。なお、グリーンアスパラとして食べるのは、地上に25~30cm伸びた若茎を収穫したものです。また、ホワイトアスパラは萌芽の始まる春先にさらに土を盛り、土中で伸びて白くなった軟白茎を収穫したものです。根は多肉質で太く、長さ2~3mにも達します。この太い根は養水分を吸収する細い側根をそなえ、主として茎葉で形成された光合成産物を貯蔵する役割を果たしています。

 皆さんはアスパラガスの葉ってどこにあるかご存じですか? 「枝に多数着いた松葉状のものに決まってるじゃないか。」と答える方がほとんどだと思います。しかし、実際にそれは、茎が葉のように変化したもので擬葉と呼ばれています。本当の葉は茎に着生した三角形のりん片状のものです。茎が伸長する速度は速く、4日で50cm以上も伸びるというデータもあります。茎は1株から10~30本発生し、放っておくと草丈2mにも達します。

 ところで、なぜ擬葉は松葉状かと言えば、互いに日射を遮らず、枝元まで深く太陽光が入射するのに都合がよい形だからです。このため、効率よく光合成をおこなって根に大量の光合成産物を転流蓄積させ、次々と新たな茎の生産に効率よく回すことができるのです。 さて、アスパラガスの若茎は伸長中の若い組織で、呼吸活動も活発なため、収穫後は鮮度保持が難しい野菜です。購入後は出来るだけ早く調理することがおいしく食べるコツです。


アスパラガスの形態
出典:農業技術体系野菜編8-2 タマネギ アスパラガス 農山漁村文化協会
2001年12月
奈良県農業技術センター 高原農業振興センター
営農技術チーム 主任研究員 滝 憲治