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水のやり方で、野菜の味が変わる!?

  “うっかり水をやり忘れて枯らしてしまった!”または、“水をやりすぎて根腐れを起こし枯らしてしまった!”という経験のある人は多いのではないでしょうか。

夏も終わりに近づいたとはいえ、まだまだ暑い日は続きます。いつも炎天下にいる植物もやはり暑く、蒸散(葉から水を蒸発させる)が増え、根が土から水を吸収する量が増えます。さらに土そのものから蒸発する水も増えており、土が乾きやすくなっているので、夕立のない日には水をあげましょう。
さて、水は当然、植物を育てるためにあげますが、単に植物を生かすというだけではなく、実は味や栄養にも大きく係わっています。トマトやミカンなどでは、土を乾かし気味にして育てると、甘くおいしくなるのです!

一つめの理由は、栄養が濃縮されること。水が少ないと植物の成長は遅くなるので、大きくなるのに時間がかかる分、栄養が蓄積されます。また、果実の肥大は抑えられ、小さくなるので、その分栄養がギュッとつまります。インスタントのみそ汁を想像してください。お湯をたくさん入れると薄い味になるけれど、お湯を少ししか入れないと濃い味になりますね?

二つめの理由は、水分が吸収しにくい状態に置かれるために、糖分が増えることです。では、なぜ糖分が増えるのかというと、根が浸透圧を利用して水を吸収していることと関係があります。根の水には、各細胞に与えるための糖分などがとけ込んでいて、土の中の水よりも濃い状態なので、その濃度差をなくそうと、浸透圧により土の中の水が根に入ってきます。
そうして水を吸っているのですが、水の量が少なくなってくると、普段の浸透圧では吸える水の量が少なくなります。そこで、より多くの水を吸収できるように、より高い浸透圧を作ろうとして、甘い糖分を多くためるのです。

しかし、なんでも水を制限して作ればおいしいか、といえば、そうではありません。
例えば、ナスはもともと栄養がほとんどなく、水を切らし気味に育ててもあまり味は変わりません。それどころか、皮のつやがなくなり、実が小さく形が悪くなり、収穫量が少なくなるだけです。

また、シシトウでは、水が少ないなどストレス状態にあうと、カプサイシンという辛み成分をたくさん作るので、“うわっ、俺、辛いのに当たった!”“私も”“ボクも”“辛~!これ、辛いのばっかりやん!”と、いうことになってしまいます。
水が多いか少ないか、それだけで、植物の反応が大きく違ってくるなんて、おもしろいですね。
2002.8
奈良県農業技術センター 環境保全担当 
土壌・水質保全チーム 研究員 丸尾奈津