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水性植物 クワイの話

 食用のクワイはオモダカ(オモダカ科)の変種で、原産国中国から導入され、平安時代には既に食用にされ、古くから水田で栽培されてきました。葉は矢尻型の葉を持つ葉柄が数本、水面から抽水し、高さ60~100cmになります。クワイの花は白く小さな花が夏に咲きますが、食用にされる品種はめったに咲かないようです。
 
 食用部位の塊茎(イモ)の付き方は、親株の根の部分から4~5本のほふく茎を出し、その先に淡藍色の子イモを付けます。その風情が子供に乳を与えている優しい母の姿に例えられ、漢字「慈姑」を当てたと云われています。
 
 正月のおせち料理に出てくるクワイは、イモから勢いよく伸びる大きな頂芽に縁起をかつぎ、立派な芽が出るようにと願ったものです。肉質は里芋と違い、サクサクとし、粘り気が少なく、ほのかな苦みの独特の風味が味わえます。またクワイ煎餅としてお菓子に加工されています。クワイの栄養価は、デンプンやカリなどミネラルが豊富なことは他のイモ類と同様ですが、タンパク質が多いことが特徴です。
 
 水田雑草のクログワイ(カヤツリグサ科)は現在、日本で食べているクワイと種類を異にし葉の無い茎が直立しています。塊茎はクワイと同じ形状ですが、アクが強く、食べられません。しかし、クログワイの仲間のオオクログワイは中華料理の食材として使われています。
 
 家庭でクワイを作るには、水を蓄えられる容器が必要で、発砲スチロールやプラスチック製の衣装ケースなどが利用できます。一つの親イモから4~5個の小イモが採れるので正月の残りを4~5個植え付けると冬には20個ほど採れます。鉢の底に約20cm畑土を入れ、芽の先が土に隠れる程度の深さに種イモを植え付け、水を5cm程度の深さに張ります。あまり隅に植え付けると、親イモから出たほふく茎が容器の壁に突き当たり、片面が扁平な小イモができます。肥料は植え付け前に緩効性の肥料を1m2当たり50g程度土に混入し、8月にも同量施します。水が涸れないように管理し、11月以降に地上部が枯れてから小イモを掘り採り収穫します。
 
 英名アロウヘッドは葉が矢尻型の意味。日本でも葉の形が特徴的なクワイは古くから親しまれ、武士の鎧や衣服にデザイン化され、家紋にもなっています。夏の鑑賞用水生植物として、小型の睡蓮鉢に植え付けるのも面白いのではないでしょうか。

kuwai
2004年4月
奈良県農業技術センター 環境保全担当
土壌水質保全チーム  総括研究員  小野 良允