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サトイモの個性

 これから年末にかけて、小売店の店頭でサトイモをよく見かけるようになります。

 サトイモの原産地はインド・中国とされていて、日本では「万葉集」にその記述があるように、古い昔から食用に供されてきました。

 ジャガイモに「男爵」・「メークイン」などの品種があるように、サトイモにも多くの品種があります。関東の「土垂(どたれ)」や関西の「石川早生(いしかわわせ)」が代表的な品種で、県内の平野部では主に「石川早生」と「紀州芋」が栽培されています。また、山間の畑作地域では昭和初期に台湾から導入された「烏播(ウーハン)」が作られてきました。

 ところで、皆さんはどんなサトイモをおいしいと感じていますか。数年前の奈良県農業祭で色々な品種のサトイモを来場者の皆さんに試食していただき食味に関する感想をお聞きしたところ、ねっとりとした食感、つまり、粘りを好む人と、少し硬めのホクホクした食感を好む人がいることが判りました。そこで改めて、6つの品種の粘りと硬さが「田原本系」という県内在来品種に比べてどう感じられるかを官能検査(実際に食べて、人間の感覚による評価を行う試験)により調査しました。この結果、図のように、粘りにも硬さにも品種によって差のあることが判明しました。

 ジャガイモの「男爵」と「メークイン」は料理によって使い分けられている場合が多いのに、サトイモでは、これほど品種によって食感に差があるにもかかわらず、そうした使い分けはほとんどされていません。もちろん、店頭に1種類のサトイモしか並んでいないということもありますが、品種と調理法の関係が整理されていないというのが最も大きな理由と考えられます。当センターでは、食生活の豊かさの向上と健康増進のため、サトイモ品種における味と品質の多様性にも着目して研究を進めています。

 サトイモの料理には、煮っ転がしや豚汁といった定番料理以外に、のっぺい汁、田楽、里芋ご飯、いとこ煮など地域に根ざした料理が多数あります。また、最近では、品種名を明記したサトイモが出回るようになっています。この冬は、品種の持つ個性を楽しみながら、サトイモ料理を味わってみてはいかがでしょうか。

サトイモの粘りと硬さに対する食感の品種間差異

2004年10月 
奈良県農業技術センター
野菜栽培チーム主任研究員 西本登志