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サツマイモの話

 夏の猛暑、度重なる台風の上陸。本年は、まさしく異常気象続きで、野菜価格の高騰が起こりました。
そんな中、猛暑が幸いして豊作の作物もあります。その一つがサツマイモです。価格は前年を下回っているほどです。この機会にサツマイモを見直してみませんか。

 サツマイモは、江戸時代から栽培奨励され、食糧飢饉を救った作物として有名です。単位当たり収量が米の約4倍、多収事例では約10倍の記録があります。また、やせ地で少ない肥料で育つ、乾燥に強い、同じ土地で何年も栽培できる、土壌の被覆性が高く雑草に強いなど、栽培面でも長所がたくさんあります。多収性と作りやすさが昔から奨励された理由です。

 栄養面の高さも見逃せません。焼き芋にした場合のビタミンCが23mg/100g。ちょっと大きめのサツマイモ1本で1日のビタミンC所要量が確保できます。

 また、植物繊維がコンニャクと同程度含まれています。食物繊維の働きで、胃腸の働きがよくなり便秘予防になります。皮もいっしょに食べると、その付近に含まれる特殊成分によりその効果はさらに高まります。しかも、サツマイモに含まれる食物繊維は良質で、摂取したカロリーの15%を吸着して体外に排出する報告もあります。栄養的にはもったいないのですが、食べ過ぎによる肥満を防ぐ効果が期待できるようです。
 この他、カルシウム、リン、鉄、カロチン、ビタミンB1、B2なども豊富に含んでいます。

 蒸したり、焼いたりするのが、代表的な食べ方ですが、おいしく仕上げるコツは、じっくり、ゆっくり加熱することです。
 サツマイモを加熱すると甘くなるのはサツマイモに含まれるデンプンがベータアミラーゼという酵素によって分解され、麦芽糖に変わるからです。この酵素の働きが活発になればなるほど麦芽糖がたくさんでき甘みが増します。この酵素が働きやすい温度は約50~75℃。したがって、サツマイモの甘みを充分引き出すには、この温度帯をゆっくり通過させることです。電子レンジで加熱したサツマイモが甘くないのは、急速な加熱によりこの酵素の力を発揮する時間が足りないからです。
 健康食品そのもののサツマイモをホクホクに調理し、この冬を元気に乗りきりましょう。


サツマイモ
左の大きめのを焼き芋にすれば1日に必要なビタミンCがとれる

2004年12月
奈良県農業技術センター
研究企画課総括研究員 源田直司