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土がなくても野菜ができる

  年の初めにあたり、私達の食生活に欠かすことのできない野菜の栽培についてお話しします。野菜はどうやってつくられているか思い描いてみてください。多くの方は、土を耕して種をまき、水や肥料をやって育て、やがてうれしい収穫が訪れる、簡単に言えばそんな様子を思い浮かべられることでしょう。しかし、土のないところでも野菜はつくられています。皆さんが身近に目にしているものとしては、スーパーマーケットなどの野菜売り場に並んでいる水耕栽培のネギ,ミツバなどがそうです。

 でも、本当に土がなくても野菜は大きくなるの?と思われる方もおられるでしょう。そこで、植物が生きるためには何が必要なのかを考えてみましょう。植物は光合成によって自ら栄養をつくり蓄えています。この光合成には二酸化炭素、水、光の3つが必要です。さらに適度な温度があれば生育はよくなります。大きく、おいしい野菜を育てるためにはこれらに加えて肥料が必要になります。つまり、土は必ずいるものではないのです。

 では実際に、どのようにして土なしで野菜作りは行われているのでしょうか。
 シートや発泡スチロールの枠組みで土に接しないようにしたり、それらを台に載せて高くした栽培槽(以下、ベッドという)に、水に溶かした肥料(培養液)を必要に応じて流して栽培します。この栽培方法は「養液栽培」と呼ばれています。

 栽培方法としては、
1.ベッドに培養液を溜めたり流したりしてつくる方法(水耕)
2.ベッド内の根に培養液を吹きかけて根に直接肥料を与える方法(噴霧耕)
3.ベッドに土の代わりになるものとして砂やロックウール、ピートモスやおがくずなど(培地)を詰めてそこに植物 
  を植えて液肥を流す方法(固形培地耕)
の3つに大きく分けることができます。
いくつか例を挙げると1はネギ、ミツバなどの葉菜類が多く、2としては業務用のサラダナなどの栽培がありますし,3の固形培地耕ではイチゴ、トマトなどの果菜類、バラ、カーネーションなどの切り花類が栽培されています。

 近年、このような栽培方法の面積は横ばい傾向ですが、そんな中で全国的に台の上にベッドを設けて培地を詰めてイチゴを作るイチゴの高設栽培は急激に増えています.県内でも4ha以上で行われており、摘み取りができるところもあります。これからイチゴのおいしい時期になりますので、一度、イチゴ狩りで養液栽培を見て、触れてみてはいかがでしょうか。

2005年1月
奈良県農業技術センター
野菜栽培チーム 主任研究員 矢奥 泰章