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今年(2004年)のキュウリは、なぜ何故にがい

 2004年の夏は例年にない猛暑が長く続き、気温は高く降雨も少なく経過しました。農業技術センター(橿原市四条町)での6月の気象は、最高気温の平均で平年(95-03年の9年平均)より6.6℃高く、降水量は平年の66%、7月は同様に1.7℃高く、降水量は58% ときびしいものでした。このような状況の中、農業情報相談センター緑の相談室によせられる質問には、果菜類の生育や品質に関するものが例年より数多くありました。その中から今回は「キュウリのにがさ」にスポットを当ててみましょう。
 キュウリはインド北西部からネパールにかけての地方が古里。地域には野生のキュウリが今なお存在しています。この野生のキュウリは非常に苦味が強くて食用にむきません。
日本には中国を経由して、10世紀以前に伝わったと言われています。我が国で栽培される品種は、中国の華北で発達した「華北型」と東南アジア経由で中国南部に伝わり日本に入った「華南型」がありますが、現在では多くの品種に分化しています。昔の品種は苦味があり、特に若い果実にはその傾向が強かったそうです。これは、ツルに近い肩の部分にククルビタシンという成分が含まれていて、酵素エステラーゼが作用することで、にがくなるといわれています。しかし、品種改良が進み現在のキュウリには、このククルビタシンは含まれなくなっています。そのため、昔のようににがいキュウリは姿を消してしまいましたが、栽培条件を変えることで昔を思い出すキュウリもいるようです。昔なつかしい「にがいキュウリ」は、チッソ肥料を多くやり、成熟期を高温、乾燥で育てるなどで再現される場合があります。
 また、最近人気上昇中で、商社から「奈良の栽培農家を紹介してください」とメールが届くニガウリには、現在のキュウリがなくした苦味成分ククルビタシンの仲間「モルデシン」が含まれています。
 キュウリのさらなる需要開拓には、適度ににがい品種の利用やそれにあった料理法の開発も必要なのでしょうか。

左 : にがさをなくした「キュウリ」
(写真:ときわ研究場提供) 
右:にがさを残す「ニガウリ」
(写真:トキタ種苗提供)

2005年1月
奈良県農業技術センター 情報相談係
総括研究員 川岡信吾