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有機野菜は何がちがう

「有機野菜はおいしいし、体にもええ、安全やし安心や!」果たしてどうなのでしょうか。有機野菜は正しくは、化学的に作られた肥料と農薬を使わず育てられた野菜です。ここでは肥料についてみてみましょう。
 有機質肥料だけで育てた野菜がおいしいか、また健康によい成分がたくさん含まれているかどうかを調べた試験研究はたくさんあります。その中には味がよく、糖類、ビタミンC、ミネラルなどの成分が多くなるというものもありますが、差がないものや、かえって劣るという報告もあります。当センターのホウレンソウを用いた試験でも、大きな差がないという結果になっています。また、おいしさなどの質のちがいは肥料の種類ではなく、その量と効き方の問題だという報告もあります。今までの考え方や研究手法では、有機野菜の質のちがいを、明らかにすることはむずかしいようです。
次に安全、安心はどうでしょうか。今、野菜の硝酸が問題になっています。硝酸はヒトの体内で一部亜硝酸に変わり毒性を示したり、発がん性物質ができるおそれがあるといわれています。おおざっぱに言えば、できるだけ硝酸の少ないものが安全で安心して食べられる野菜ということです。有機質肥料で育てたものはどれも硝酸が少ないのでしょうか。野菜は有機質肥料の窒素を一部アミノ酸など有機のかたちで吸収する例もありますが、ほとんどは土の中で分解された無機の硝酸やアンモニアです。たしかに、窒素の量を同じにして土に施したとき有機質肥料のほうが野菜の硝酸は少なくなります。しかし、いずれにしても、野菜の硝酸がどれだけ多くなるかは窒素の量、つまり施す肥料の量や土に残っている窒素の量が問題なのです。これが多過ぎれば有機野菜といえども硝酸を体に貯めこむことになります。
ところで、目の前で売られている有機野菜が本当に無化学肥料なのかも問題です。これには検査認証制度があり、検査員が農家の野菜の育てかたを調べ、確かめられています。農薬も含め基準に合格したものには有機JASマークがつけられています。科学的には窒素の同位体というものの割合から調べる方法も提案されています。
 このように、無化学肥料で育てられた有機野菜は何がちがうのか。関心の高さのわりに、そのすがたは充分とらえられていません。しかし、有機質肥料はもともと食品産業や畜産農家などから出るゴミがほとんどです。そのまま捨てられれば、環境を汚す恐れがあるものです。これらを肥料など資源として再利用するという意味から、有機野菜はちがうのだということができます。

有機JASマーク
2005年1月
高原農業振興センター
総括研究員 浅野 亨