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クッキングトマトの時代がやってくる!?

 海外で食べたトマト料理は実に美味でした。日本に帰って同じようにトマトを料理に入れますが、今一つ味にコクがない。と思っていたら、それは実はトマトの種類が違うからのようです。
 日本のトマトは、「桃太郎」のようにピンク系がほとんどで、これは生食するととても美味しいのですが、加熱調理すると色あせて水っぽく仕上がってしまいます。海外ではトマト料理は加熱調理するのが主流で、トマトの品種も水分が少なく赤みが強い「クッキングトマト」がほとんどです。リコピンが多いので赤みが強く、加熱後も赤みを保つため料理を美味しそうに見せる効果もあります。それに栄養価も高いという研究結果が出ています。日本では、煮ても焼いても生でもよいオールマイティーな品種が求められがちです。しかし、そんな品種は実際にあるんでしょうか?オールマイティーなようでいて、実はみんな中途半端だったりします。
 あるアンケートによると、トマトを加熱調理するときに缶詰を多く使う消費者と、生食用品種を多く使う消費者が半々程度だそうです。手軽に缶詰を使う一方で、生のトマトへのこだわりも強いことがわかります。生はフレッシュ感があるし、缶詰よりも用途が広いのです。缶詰なら「煮込み」や「ソース」、「麺類」に使われるくらいですが、生のトマトなら「スープ」や「炒め物」、「焼き物」にも使われます。私はまだ食べたことがありませんが、トマトの炊き込みご飯やトマトのみそ汁も、美味しいそうです。トマト料理のレパートリーが広がるにつれ、生のトマトを加熱調理に利用する機会が増えることでしょう。
 クッキングトマトと言っているものは、もともと加工用としてケチャップやピューレの原料に栽培されていたものです。以前は一般には出回っていませんでした。そんなところに、農林水産省野菜茶業試験場(当時)から、加熱調理向きのトマト品種「なつのこま」と「にたきこま」が発表され、一般消費者も獅子を入手することができるようになりました。栽培はいたって簡単で、菜園やプランターで自分で作ってみることができます。生食用トマトのような支柱をしなくても、地這いで手間をかけずに栽培できます。ちょうど今の時期から種をまけば、夏には収穫できます。
ある小学校では、クッキングトマトを総合学習に取り入れているそうです。栽培が簡単で、家庭科の料理学習にも使えますし、ある程度加工すれば長期保存して繰り返しトマトに触れられるのが理由だそうです。栽培、収穫、加工という流れから農業と工業の成り立ちについて学ぶことができます。「もともとアンデス地方にあったトマトが、西洋に伝わり世界に広まってやがて日本にもやってきた。」そういう歴史や世界の地理など、クッキングトマト一つで、いろいろなことを学ぶことができるのではないでしょうか。
プラム型品種
球形品種

 クッキングトマトには、丸い果実や卵形のプラム型、角張ったものなど、いろいろな果形の品種があります。
  ジョイントレスと言って、へたから果実が簡単に離れる品種もあります。


2005年5月
農業技術センター
生産技術担当 野菜栽培チーム
総括研究員 前川 寛之