注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

アブラナ科野菜の採種

 以前にも、当コーナーで農業技術センター研究員がアブラナ科植物の採種時の注意をお知らせしました。その後も、自分の家でアブラナ科野菜(例ーヤマトマナ)の種を採りたい方や、「エルシン酸」を含まない食用油の菜種の種を採りたい方からの問い合わせもあり、再度注意点を整理しました。 

アブラナ科植物は、他家受粉植物なので訪花昆虫により容易に他品種と交雑します。他家受粉植物は自分の花粉では受粉せず、他の株の花粉を必要とします。そこで、圃場に残ったアブラナ科野菜(ハクサイ、ダイコン等)や土手のアブラナ科雑草の花が満開になった春の時期は、蜂等で他の品種の花粉が運ばれて自然交雑しやすくなります。
自然交雑で得られた種子は、親とは異なる形質を示します。
菜の花から食用油や燃料の生産を目指す「菜の花プロジェクト」では、心臓に害があるとされる「エルシン酸」を含まないナタネの種が必要とされます。ところが、従来から栽培されている在来のナタネには、多くのエルシン酸が含まれるため、在来ナタネとの交雑を防ぐ作業が必要になります。そこで、4にアブラナ科植物の一般的な採種作業の手順を載せましたので、参考にしてください。 
また市販のアブラナ科野菜からは採種は困難です。種苗会社から市販されているアブラナ科野菜(キャベツ、ハクサイ、ダイコン等)の育種は、ほとんどの種はF-1(一代交配)育種の種のため、仮に他のアブラナ科品種と交雑しなくても、二回目の交配時には遺伝形質が分離を起こし、形質のそろった野菜にはなりませんので注意して下さい。
採種作業の手順

まく種がF-1(1代交配)の種でないことと、形質がそろっていたこと確認しておく

1) 優良株の選抜  
 花の咲く前に2本以上(1本では受粉しない)の優良株を選ぶ。

2) 隔離
 よほどの山間地でもない限り、露地状態で自然交雑を防ぐ事は困難です。花ができる前に大きめの鉢などに植え替え、訪花昆虫が入らないようにしたビニールハウスや網室に隔離します。
 鉢などに移植ができない時は、圃場から形 質の異なる株をぬきとり、優良な株を数株選び、全体を寒冷紗等で覆い、訪花昆虫から隔離します。

3) 採種・保存
 サヤが茶色になれば株ごと刈り取り、10日ほど乾燥し、シートの上でサヤをたたいて種を取り出します。ふるいわけた種を、風通しのよい日陰で3日程さらに乾燥し、品種名を書いた封筒へ入れ湿気や虫の入らない容器で保存します。乾燥が充分でないと保存中にカビが発生しやすくなります。
 採種した種が正常に交配しているかどうかは、種の外観では見分けができないため、うまく採種できた年の種を予備に保存しておくことも必要です。
2005年6月
 農業技術センター普及技術課
 課長 安堂 和夫