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野菜の品種と調理法

 皆さんは、野菜を購入される際、品種を意識したことがありますか?野菜の品種で最も親しみがあるのは、ジャガイモの「男爵」・「メークイン」で、イチゴの「アスカルビー」・「とよのか」、トマトの「桃太郎」などもご存じでしょう。ジャガイモでは料理に合わせて品種を使い分けている方が多いと思いますし、また、イチゴでは好みの品種が決まっている人も少なくないようです。

 ところが、他の多くの野菜では品種を意識しながら調理したり食べたりすることはほとんどありません。昨年の秋、近所の小売店で「京芋」という宮崎県特産のサトイモを見つけ購入しました。タケノコのような25cm程度の長細い形状で、皮むきから切断までが非常に容易なサトイモでした。ところが、煮っ転がしにして食べたところ、普段食べているサトイモと比べて美味しくありません。そこで、宮崎県の知人に尋ねてみますと、宮崎では「京芋」を煮っ転がしにすることは少なくて、汁物、特におでんに入れて食べると美味しいと教えてくれました。再度購入し、おでんに入れてみたところ、本当に美味しく食べることができました。

 当センターでは、これまでの調査で、サトイモの粘りと硬さに対する食感に品種による差があることが判っていましたので、改めて、調理法によって同じ品種でも美味しさに違いがあるかどうかを官能検査(実際に食べて、人間の感覚による評価を行う試験)によって調査しました。
 この結果、蒸し芋では美味しいと評価されるにもかかわらず煮っ転がしでは評価が低くなる品種があることや、美味しさに対する評価の品種間差は煮っ転がしやみそ汁よりも蒸し芋で顕著に現れることなどが判りました。

 このように調理によって品種を使い分けた方が良い品目は他にもあり、品種と調理法の関係を整理することで、これまで以上に美味しくたくさんの野菜を食べられるようになると考えられます。現在、当センターでは、ナスやカボチャなどについても品種における味と品質の多様性に着目し研究を進めています。
 最近では、調理することを前提に育成されたトマトの品種(クッキングトマト)も出回るようになっています。これからは、品種が持つ個性を楽しみながら、野菜料理を味わってみてはいかがでしょうか。

kannoukennsa
官能検査の様子 (協力:奈良女子大学生活環境学部食品調理科学研究室)
2005年8月
農業技術センター
野菜栽培チーム  主任研究員 西本登志