注意 過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。

スイカのお話

 いよいよ夏本番になり、スイカがおいしく感じられる季節になってきました。スイカにまつわるエピソードをお持ちの方も多いのではないでしょうか。私はスイカを見ると、夏の暑い日差しのもと、学生時代の友達とスイカ割りをして、汗をかきながらむしゃむしゃ食べたことを思い出します。
 今回は、そんな誰もが知っているスイカについてのお話です。

 スイカの原産地はアフリカの砂漠地帯とされており、中央アジアで種子を食べるために栽培されるようになりました。その後、地中海・中国・アメリカで品種改良され、果肉が食べられるようになったと言われています。我が国には中国から伝わり、各地で栽培されるようになりました。天保の改革(1840)の頃には「日本総国に西瓜を作らざる処は稀なり」と書物に書かれるほどでした。また明治初期には、アメリカから肉質、甘味などに優れた‘アイスクリーム’などの品種が導入され、それまでに栽培されていた品種との自然交雑により、様々な品種が現れました。大正時代に入り、奈良県の農業試験場で品種改良が盛んに行われるようになり、いわゆる『大和スイカ』が誕生し、全国に広まりました。現在売られているほとんどのスイカのルーツはこの大和スイカなのです。
 ここまで読んだ皆さんは奈良県でスイカ産地はあったかな?と首をかしげるのではないでしょうか。昭和30年代以降スイカに代わってイチゴの栽培が増えていき、県内では下市町などを除き、スイカ畑はほとんど目にできなくなりました。しかし、実は今でも奈良県内の種苗会社は全国で利用されるスイカ種子の約8割を生産しており、日本のスイカ栽培の大きな原動力となっているのです。

 近年県内種苗会社各社では幅広い消費者のニーズに応えるために、元来の赤肉の大玉だけでなく赤肉の小玉スイカ、黄肉の小玉スイカ、黒皮スイカなどの品種改良に取り組んでいます。先日県内種苗会社でスイカ新品種の試食をする機会がありました。5月の初旬でしたが、ほとんどのスイカは12%以上と十分な糖度があり、改めてスイカの美味しさを堪能しました。その中で私が今年注目しているのは黒皮の小玉スイカです。収量が少なく、流通が少ないために多少値段が高めということでしたが、糖度が高く、大玉スイカに負けないシャリ感がありました。外観は皮が黒く、砲弾のようなユニークな形をしており、贈り物としても喜ばれるのではないでしょうか。

 もうすぐこれらのスイカが店頭に並ぶと思います。もし機会があれば、一度家族や友達とわいわいと言いながらみんなで食べてみてください。

 
             左)黒皮スイカ             右)従来のスイカ
黒皮スイカ従来のスイカ

2006年7月
奈良県農業総合センター
生産技術担当 野菜栽培チーム 技師 後藤 公美