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咲いてビックリ!イモの花

 当センターにある農業情報・相談センターでは、県民の皆さまから、電話やファックス、メール等で農業や園芸に関するさまざまなご質問や相談にお答えしています。

 さて、今年の相談の中で、特に興味深かったのは「イモの花が咲きました」という内容でした。
 イモも色々ですが、まずは、ジャガイモ。「ジャガイモの茎に花が咲いてミニトマトの果実が成りました。」というお問い合わせを多くいただきました。ジャガイモもミニトマトも同じナス科の作物で、花や果実はとても似ていますが、ジャガイモの実はミニトマトではないので、美味しく頂くことはできません。ただ、ジャガイモの花自体はそれほど珍しいものでもなく、ごく自然に開花します。しかしながら、メークインや男爵イモなどの品種は結実性が低いので、今まで果実がなったのを見られたことがなく、最近出回っている結実性の高い品種を栽培されて初めて驚かれるようです。

 次は、サトイモ。サトイモの原産地はインド周辺の熱帯地域で、その後、中国や東南アジアを経由して日本に伝来したとされています。そんな熱帯性作物のサトイモは、今までの研究から、一定の大きさになれば花芽をつけ、九州や沖縄などの通年暖かい気候では開花しやすいことがわかっています。
 しかし、最近では、本州でも開花が見られることがあり、地域の話題になったりもしています。今年の夏は、平年よりも暑く日照も充分であったので、本県でも「花が咲きました。」とのご相談が寄せられました。
 花は、サトイモ科独特の仏炎花で、レモン色かクリーム黄色をしていますが、日本では開花しても遺伝的に種子が出来ない品種が主に出回っており、花から種を取るのは残念ながら不可能です。

 最後は、サツマイモ。サツマイモは中央アメリカ原産で、アサガオに似た花を咲かせます。日本でも九州南部や沖縄の温暖な気候で普通に花を咲かせるそうですが、本州以北での開花は、やはり珍しいです。
 サツマイモの開花には、短日(日長時間が短くなること)によって開花誘導物質ができることが条件ですが、本州では充分な量ができる頃には秋の気温低下となり、開花までには至りません。
 ただ開花には、日長条件のほかに、植え付け時期や施肥量などの栽培条件、気温や降雨、日照などの気象条件、そして病害虫被害なども影響しており、特に高温乾燥気味の年には開花しやすくなるようです。また、サツマイモは、自家不和合性(自らの花粉で結実しないこと)が強いため、こちらも残念ながら一般に開花しても種子は出来にくいのです。

 さて、それなら一体なぜ、県内のあちらこちらで同じように花が咲かないのでしょうか?
コレ!と決定づけられる原因が不明なことが、われわれ研究員の悩みの“種”なのです。

2006年11月
奈良県農業総合センター
情報相談係 主任研究員  野村昌敏