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バラを楽しむ

 花屋さんの店先をのぞくと、必ず年中あるのがキクとバラ。バラは洋花の代表ともいえます。とりわけ色彩がカラフルで、一昔前に比べ価格の手頃なものも出回りはじめたため、一般家庭でも買いやすくなっています。

 バラと人とのかかわりは古く、古代エジプトの出土品にもバラの模様が描かれています。園芸種として栽培されだしたのは18世紀以前で、ヨーロッパに自生している野生種間の交配により作出されました。しかし、現在の品種の基本形ができたのは18世紀の終わりで、アジア原産の野生種との交配が盛んに行われ、なかでも四季咲き性のある東アジアの野生種(中国原産のコウシンバラなど)との交配により年中開花する性質のバラが育成されました。

 現在の切り花用の品種は、大きく分けるとハイブリッド・ティー系とフロリバンダ系と呼ばれる品種群が基本で、ハイブリッド・ティー系は四季咲きの大輪一輪咲きタイプ、フロリバンダ系は四季咲き中輪房咲きです。現在はこれらの中間的な品種群(グランディフローラ系)、中小輪タイプの品種群、さらには一枝に4~5輪の花を咲かせるスプレータイプの品種群など用途にあわせ多様化しています。

 切り花用品種の育種は、従来フランス・ドイツ・オランダなど欧米が中心でしたが、近年日本で育成された品種も多く登場しています。代表的な品種としては、ローテローゼ(赤)・パレオ90(オレンジ)・トボネ(ピンク)などをあげることができます。欧米で育種された品種の中には、日本の気候風土にあいにくく、消えていく品種もあります。 

 切り花用品種以外では、ガーデン用品種があり、その多くはフロリバンダ系ですが、最近、アンティック調のオールド・ローズ(ハイブリッド・ティ系が育成される以前の系統のバラ)も流行しており、多くは初夏に一回咲く一季咲き性です。そのほか、主に鉢物仕立てされるミニチュア・ローズ、アーチ仕立てなどに利用されるツルバラ、さらには最近、のり面など地表をカバーすることを目的とした品種(修景用バラ)も人気があり、その多くは病気に比較的強くなっています。 

 使う場面にあわせて、バラを楽しんでみて下さい。

1997年10月

奈良県農業試験場 栽培技術担当  総括研究員  佐々木 茂