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球根の話

 春になり、暖かくなってくると、秋に植えた球根類が日増しに葉を広げ生長する一方で、グラジオラス、ダリアなどの春植え球根の定植適期がやってきます。球根とは、地下または地際の器官が特別に肥大して、多くの貯蔵養分を含むものを言います。

 一般的には、球根を植える時期によって、秋植え球根(チューリップ、フリージア、ユリなど)と春植え球根(カラー、カンナなど)とに分けられたりしますが、肥大した器官の種類と形態の違いによって分けてみますと、球根類はりん茎、球茎、塊茎、根茎、塊根の大きく5つのグループに分類できます。

 りん茎はもともと葉と茎に由来し、短くなって扁平となった茎のまわりに多肉化した葉または葉しょう部(りん片葉)が重なりあったものです。りん茎の中には、チューリップのように、毎年母球が消耗されて新球に更新するもの、スイセンなどのように、母球が毎年更新されず、新しくりん片葉を増やして球を肥大させるものがあります。これらのタイプは外皮が存在することから有皮りん茎と呼ばれています。一方、ユリなどは外皮で覆われていないため、無皮りん茎といわれています。

 球茎は茎に由来し、短くなった茎が肥大し、薄皮で全体が包まれたもので、グラジオラスやフリージアなどがあげられます。球茎は毎年新しい球茎と交代します。

 塊茎も茎が球または塊状に肥大したものですが、薄皮に覆われていない点で球茎と異なります。シクラメンのように年々肥大していくタイプとアネモネやジャガイモのように分球して更新していくタイプがあります。

 根茎は地下茎が球状にならずに全体的に肥大したもので、カンナなどがその例です。球茎の寿命が1年であるのに対し、根茎は毎年全体が新しくなるのではなく、古い部分も一部残ります。

 塊根は根に由来し、ダリアやサツマイモのように根が肥大したものです。

 このように、ひとまとめに球根類といってもその肥大した器官が葉、茎、根と様々ですが、球根という形をとることで、自らが成長しやすい環境になるまで、暑さ、寒さ、乾燥にじっと耐えることができ、球根植物が自然の中で絶えることなく生き残っていけるのです。

2000年3月

奈良県農業技術センター 栽培技術担当 花き栽培チーム
主任研究員 藤井祐子