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花とプレゼント

 我々日本人が贈り物をするといえば、歳暮、中元のほか、冠婚葬祭、お年玉のように定型化されたものが多いように思います。花もその中で位置を占めていて、お祝い、お見舞い、などにも利用されています。

 ただし、このように並べるとはっきりしてくるのですが、贈り物ははれの場所に定着している一方、定型化していて、日本人は日常の生活の中での素直なプレゼントが苦手のようです。もとより家庭で花を楽しむ習慣は古くからあって、我々は植物好きな風土性を持っているということができると思います。ただ、しゃれたプレゼントが下手ということでしょうか。

 最近カジュアルフラワーという言葉が聞かれます。普段着の生活に合わせた花とか、それを提供する流通システムに対して使われる言葉です。販売も街の花屋さんでけでなく、スーパーなどにも比較的安価な花が並びだしています。品質も含めて、まだまだ改良されるべきところがありますが、商品が豊富になりつつある傾向にあるといえましょう。鉢物ではしゃれたものが少なく、今後に期待しなければなりません。

 花には自らが楽しむという要素のほかに、贈り物として誰かに喜んでもらう要素が含まれています。むしろ気持ちを表すメッセンジャーの方が大きいかも知れません。気持ちの表し方にはもちろんT.P.O.が伴います。時には装飾品にもなりますが、一番差し障りのないのが消耗品でしょう。その意味で食べ物と花は同じジャンルに分類されると思います。どちらももらってうれしいものですが、時と場合によって使い分けるのが大人のプレゼントではないでしょうか。難しいことですが、花をT.P.O.に合わせて探す時間も、すでにプレゼントの一部かもしれません。    
 

奈良農業試験場 栽培技術担当 統括主任研究員 長村智司