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花の色、葉の色

 植物の花の色や葉の色には、光や肥料が大きな影響を持っています。家庭でもよく気づくことですが、自然光の当たらない室内に長く置かれた植物は色が退化するだけでなく、もやしのように弱々しく伸びてしまいます。これは光不足の状態です。逆に、植物によっては光が強すぎても退色することがあります。ゴムなどでよくみられる現象で、適度に日覆いをすると葉の色が濃くなります。葉の中に葉緑素が多くなった状態です。光とは直接関係ありませんが、ある種の植物生育調節物質(サイトカイニン)を散布しても葉緑素や他の色素を増加させることができます。

 光には量的な影響のほかに、質的な影響もみられます。太陽の自然光のもとではあまり問題にならないのですが、いったんガラスなどを通した光は短い波長の光部分がカットされていて、長い波長の部分、すなわち虹でいう赤色系の部分が中心になります。このような条件で花の色がでにくい植物としては、ブーゲンビレアが代表的でしょう。ガラス室で栽培されたブーゲンビレアは二週間程度自然光に当てて、色を鮮やかにしてから出荷さ
れます。

 肥料によっても花、葉の色は微妙に変化することがあります。主要三元素といわれる窒素、燐酸、カリがバランスよく与えられることが大事ですが、とりわけカリが少ないと色が減退しやすくなります。カリは植物体が柔らかになることも防いでくれます。窒素には色々な形態があって、葉の色をよくするためには硝酸体よりアンモニア体、または尿素体が効果的です。ただし、花の色については一概に効果的とは言えず、かえって硝酸体でよくなる植物もあります。また、アンモニア体、尿素体は与えすぎると大きくなりすぎて、病気や害虫に弱くなる傾向がみられます。

 なお、アジサイの花色を調節するのによく土壌の酸度が話題になります。これはアジサイの花色がデルフィニジンという色素で決定されているからで、この色素に土壌から吸収されたアルミニウムが付くと青系、そうでない場合は赤系になります。土壌中のアルミニウムは酸性で溶け出しやすくなり、簡単に根から吸収されるのです。


奈良県農業試験場 長村智司