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県下における花き苗物生産の現状と今後

 過去の本県の花き生産の動向を概括すると、発展期を経過して、ここ10年以前に安定期に入ったものとしてキク、植木類、それに続いて鉢物、最近ではバラの生産などを挙げることができます。切花ギクでは小ギクの堅調が続いているのが例外的であるといってよいでしょう。 その中で苗物生産は堅実に増加を続け、現在でも新規参入者が続々と生まれている数少ない分野です。新規参入者の特徴として、若い世代の人達が多いこと、野菜作など農業他分野からの参入が多いことなどが挙げられます。この原因として次のようなことが考えられます。
需要の増加
秋出しパンジーの価格安定
セル成型苗(プラグ苗)システムを中心とした省力生産システムの普及
生産の回転効率がよい
新規参入でも、ある程度の栽培が可能

 なお、苗物生産は奈良県だけではなく、兵庫県を始めとした西日本で盛んで、年産200万ポット以上の生産者はほぼ愛知県以西、九州にまで分布しています。奈良県の生産は統計上では全国第5位になります。県下でも年産100万ポット以上の生産事例が多くみられるようになりました。

 苗物生産が西日本で強い理由として、元々関西では一般家庭用の需要が高かったこと、関東のようにギフト用の高級品に生産がシフトしなかったことなどが挙げられます。その他に職人気質の生産というより、企業的経営に向いたジャンルであり、関西的であるといえるかも知れません。 今後の苗物生産の動向については次のようなことが想定できます。


安定供給が可能な苗物専作経営が中心になる。卸売り市場を含めて、販売経路の確保、価格の安定化に対する努力が必要である。
中京圏・首都圏でも今後生産が伸びると考えられ、東向きの流通が鈍化する可能性がある。

販売価格は下落する方向にある。したがって、生産でのコストダウンに努めなければならない。ある程度の生産拡大、良質な雇用の確保などが重要である。

冬花壇向け商品として、パンジーに代わるものを開発しなければならない。同様に夏花壇用の作物の開発が必要。

 このように流通が大きな問題になることが明らかです。また、生産のコストダウンには単に機械化すればよいのではなく、減価償却を十分考慮に入れた投資が必要で、過大投資は避けるべきです。最も大きな問題は良質な雇用の確保であることはいうまでもありません。


奈良県農業試験場 栽培課 長村智司