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室内観賞に対応した鉢物の遮光栽培

 鉢物生産は全国的に成熟期に入り、新しい需要を興す必要に迫られています。一般需要を伸ばす着眼点として、カジュアル化に対応して、小型化、観賞期間、室内観賞を問題として研究を進めているところです。

 充分室内観賞に耐える製品を作るには、育種に加えて、栽培時の環境の影響が大きくなります。ここでは栽培時に遮光することによって、低照度の観賞時に適応しやすい性質を獲得できるかどうかを調べました。

 供試植物としてアゲラタム、インパチエンス、グロキシニア、コリウス、サルビア、ハイドランジア、ビンカ、ベゴニア、ペチュニア、ホシギキョウ、マリーゴールドを用いました。栽培時に無遮光、または55%、65%、83%の遮光を行いました。開花後97%か99%遮光の条件に移し、室内観賞時を想定して品質状態を調査しました。
 
 室内での開花状態からいくつかのグループに分類することができました。第1グループは栽培時の光条件の違いにかかわらず、暗い場所でも花の品質が低下しなかったもので、グロキシニア、ハイドランジア、ホシギキョウがこれに分類されました。第2グループは観賞時、97%遮光の方が99%遮光より花持ちがよいが、栽培時に遮光を強めた方がよいもので、アゲラタムが該当しました。第3グループは観賞時97%遮光、栽培時に遮光を少なくした方が品質が維持される植物で、ビンカ、ペチュニア、コリウス、ベゴニアが該当しました。このグループは光の強い方が品質維持によいが、ある程度の遮光でも観賞でき、室内観賞用にも利用できる植物であると考えられました。

 一方、遮光下での生育、または徒長程度から次のように分類しました。著しく草たけ、または株幅が増加するものとして、インパチエンス、コリウス、サルビア、ペチュニアが挙げられました。ただしペチュニアは、栽培中に遮光を強くするとその後の量的な増加が少なくなりました。またトルコギキョウ、ビンカは観賞時に97%遮光程度に光が与えられると、形状の変化が少なくなりました。ある程度形状が変化しますが、充分観賞に耐えるものとしてハイドランジアが、また、ほとんど形状が変化しなかったものとしてアゲラタム、グロキシニア、ホシギキョウが挙げられました。

 以上の結果、低照度下での花持ちに対して遮光栽培が効果的である植物はアゲラタムのみでした。形状を維持するためにはペチュニアの遮光栽培が効果的でした。なお、照度の制限による花色の変化はそれぞれの植物で観察されましたが、観賞上問題になるものはみられませんでした。特にホシギキョウの花色は遮光によって鮮やかなダークブルーに、また、コリウスの葉色も濃い赤に変化し、屋外とは異なった鑑賞ができました。

 このように出荷予措としての遮光栽培が品質向上に結びつく植物もみられましたが、ほとんどの植物は本来の性質に大きく影響されることが明らかになりました。今後、対象植物を替えて調査する予定です。なお、供試した植物のほとんどは室内利用が可能であると判断されました。
    

奈良県農業技術センター 栽培技術担当 長村智司