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身近で見つけた万葉花木

 万葉集は、われわれ日本民族がはじめて、身近に自生している植物を知り、それを明示したところに特色があるといわれています。また未詳植物も多いようですが、万葉集は20巻、歌数4,500余首からなり、この内植物を取り上げたものは1548首(草本類826首、木本と竹類722首)と全体の1/3だそうです。

万葉集の作品の大多数を占めるのは奈良朝に入ってから平安の初年頃までで、万葉時代といわれるのは奈良朝が中心となっています。この万葉集でよく詠まれている植物は、萩(138)、梅(119)、松(81)、橘(66)、桜(41)、柳(39)、卯の花(22)、竹(19)、山吹(17)。

またこの時代よく詠まれた梅は、万葉集より前の時代の日本書記、古事記の記録のなかには桜の記載はありますが、見られないそうです。このことは奈良朝時代の文化人は、文化の進んだ中国へ渡り、かの地の文化を模倣的に身につけて帰朝し、かの地の文化人が愛好していた梅花を愛することが、当時の文化人の象徴となったようです。
多くの植物が観賞されるようになったのもこの時代からで、いろいろの植物を庭園に移し、その美しい庭園を観賞しようと努めたことが推察され、自然を取り入れたわが国独自の庭園のはじまりとなったのでしょうか。身近で見つけた花木にみつながしは、ちちがあります。

1.みつながしは(かくれみの、うこぎ科)
 本州の中部から四国、九州の暖地の山林中に雑木として多く自生する、樹勢が強く、不良環境下でも育つが、理想としては強光の少ない比較的湿気のある場所が適している。物を盛る器として葉が利用されたようです。

2.ちち(いぬびわ、くわ科)
 関東以西、四国、九州、琉球列島に自生し、落葉低木で樹皮は平滑、枝は灰白色、雌雄異株で、実は成熟するといちじくのように紫黒色となり食べられます。植物名はこの木や実を傷つけると白い乳汁がでることに由来しています。

2001年6月
奈良県農業技術センター 生産技術担当 
花き栽培チーム 主任研究員 藤沢一博