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花への遺伝子組換え技術の利用

遺伝子組換え技術とは、ある生物が持っている有用な遺伝子を、他の生物に組み入れて新たな性質を加える技術です。最近スーパーで売られている豆腐などに、「遺伝子組換え大豆は使用していません」という表示がされているのを見られた人も多いと思います。遺伝子組換え作物は環境に対する安全性評価や食品としての安全性評価をパスしなければ世の中に出てきませんので、決して危険なものではありません。しかしながら、消費者の半数以上が遺伝子組換え食品にいいイメージを持っていないのが現状です。一方、花き類への遺伝子組換え技術に対しては、口にしないものであることから好意的に受け入れられているようです。

 遺伝子組換えの花の開発では、サントリーが先行しており、平成9年に開発した青色カーネーション「ムーンダスト」が国内で開発された最初の遺伝子組換え作物です。さらに今年の6月に「青いバラ」が開発されました。花の業界では昔から「青いバラ」の育種は夢でした。それをサントリーが14年の歳月をかけ、遺伝子組換え技術を用いて成功したのです。このバラは、色素に関する遺伝子の発現を解析した上で不必要な経路を止めて、青色色素だけが花弁に蓄積するようにデザインされたものです。市場規模から見た世界の三大切り花は、バラ、カーネーションおよびキクであり、企業がこれらの品目に目を向けて品種改良をするのはうなずけます。

 一方、奈良県農業技術センターでもシクラメンやキクへの遺伝子導入に関する研究に取り組んでいます。奈良県におけるシクラメンの栽培規模は近畿で最も大きいのですが、生産現場において夏場の高温が問題となっています。高温の障害を受けないシクラメンを作出できれば栽培途中での枯死を軽減でき、安定生産に貢献できます。さらに、耐高温性で病気にも強いシクラメンを作出できれば、ガーデニングにも用いることができ用途拡大にもつながります。そこで、シクラメンへの遺伝子の導入を試み、9品種への遺伝子導入に成功しました(写真)。今後は、有用遺伝子の導入を試み、生産者や消費者に喜んで受け入れられるようなシクラメンを開発したいと考えています。

花への遺伝子組み換え技術の利用
 写真 遺伝子導入シクラメン
2004年10月
奈良県農業技術センター 資源開発チーム
総括研究員 浅尾浩史