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目に優しいブルーベリー

 春は釣り鐘状の白い小さな花。夏は紫の果実。秋は紅葉が楽しめる。このように、季節感たっぷりのブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類されます。日本にはスノキ属の植物が16種あり、各地に自生しているスノキ属のクロマメノキ、クロウスゴケ、ナツハゼ、コケモモなどは、ブルーベリーの仲間です。

 原産は北米及びカナダの一部。欧米では広く親しまれてきました。昔からアメリカインデアンが果実を常食にしていたほか、葉をせんじて飲んでいた記録もあります。 栽培種は45年ほど前に日本に入ってきていますが、生産量が増えてきたのはここ数年です。栽培種には、ハイブッシュ・ブルーベリーとラビットアイ・ブルーベリーの2種類あり、収穫期は、ハイブッシュが6月上旬から8月下旬、ラビットアイは7月上旬から9月上旬です。

 果実は生食のほか、ジャムやジュースに加工されたり、アイスクリーム、パイ、ヨーグルト、フルーツソース、ゼリー、ケーキなどの洋菓子に使われます。最近では、キャンデイー、ガム、などにもブルーベリー風味のものが親しまれるようになりました。しかし、その効能はあまり知られていません。

 ブルーベリーの効能が注目されるようになったのは、第二次世界大戦中、ブルーベリージャムが大好きだったイギリスの空軍パイロットが、「飛行中、薄暗がりの中でも、物体がはっきり見えた」と言ったことがきっかけになったと言われています。

 以後、フランス、イタリアなどで研究が進められ、ブルーベリーの果皮に多く含まれる赤紫色成分であるアントシアンには、目の機能を高めることが、明らかになりました。

 目をよくするために必要な摂取量は、アントシアンで120~250mg。生の果実なら1日に90~180g食べる必要があります。

 日本ではまだ研究段階で、臨床例はありませんが、ヨーロッパではブルーベリーのエキスや錠剤が、眼科系疾患の治療薬として使われているそうです。 ブルーベリーに秘められた不思議な力は、テレビゲームやパソコンなどのOA機器の広まりとともに、目を使う機会が年々多くなっている私たちにとって、「ベリー・グッド」な果物となりそうです。

1997年11月

奈良県農業試験場 果樹振興センター 総括研究員 川岡信吾