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果物の食べ頃

 皆さんは美味しい果物を食べているでしょうか?果実は幼果の時、緑色をしていますが成熟するにしたがってそれぞれ固有の果色になります。成熟の段階によって、未熟・適熟・完熟・過熟と分けられますが、食べて最高に美味しいのが完熟した果実でしょう。しかし、完熟した果実は日持ち性・輸送性が低下し、なかなか流通にのらず皆さんのお口に届かないのが現状です。

 ところで、美味しい果物とはどういう果実をいうのでしょう。果実の品質としては、糖(甘さ)・酸(酸っぱさ)・香り・肉質・色など考えられますが、糖酸比(糖分率)のバランスの良い甘い果実が美味しいとする意見が多いでしょう。果実の糖としては、ショ糖・ブドウ糖・果糖が、酸としてはリンゴ酸・酒石酸・クエン酸が主役ですが、果実の種類や時期によりその構成比は変わります。

 果実の成熟生理の点からみますと、成熟期後半に果実の呼吸が上昇する時期がみられます。これをクライマクテリック・ライズといい、ほぼ同時かその直前に果実内に植物ホルモンであるエチレンが発生し成熟を促進します。このようなタイプをクライマクテリック型果実といい、リンゴ・ニホンナシ・スモモなどがこれに属します。一方、カンキツ類・ブドウなどは成熟期にこのような呼吸上昇は認められず、ノン・クライマクテリック型果実に区別されます。
 
 また、カンキツ類・リンゴ・ブドウ・モモ・カキなどのように樹上で完熟させるものと西洋ナシ・キゥイフルーツ・バナナなどのように収穫後に追熟させて完熟に至るものに分類することもできます。
 
 ここで、美味しい果物の見分け方を少し紹介します。ミカンは皮が薄くて扁平で果梗の切り口が小さく果色の濃い果実が、リンゴは青みが残っておらず果肉に蜜が入っている果実が美味しいです。本県の特産品のカキは果色の赤いものほど糖度が高くなります。
 完熟果を食べようと思えば、条件が許せば自分自身で作ってみるのがベストです。果実に手が触れるか触れないかで落ちるモモを食べれるかたは、満たされた人生をおくっているのかもしれません。

2000年9月
奈良県農業技術センター 果樹振興センター 
総括研究員 今川順一